ハックの家 遊び空間デザイン 6~8日目 第1回完結!
9月11日より「特定非営利活動法人ハックの家」の障がい児放課後デイサービス「ピーターズキッズ」にて、遊具づくりをしています。
【9月16日】梁、滑り台
前日に滑り台の高さが決まり、同じ高さに合わせて梁を繋げていきます。
工程も半ばを過ぎて、疲労が溜まっている頃だと思いますが、こんなポーズでもキリッとカメラ目線!笑いがたえない遊具制作です。
梁に滑り台の斜面の土台となる木材をかければ、その形がだんだんと浮かび上がってきました。
休憩中に語り合っていると、プレーワーカーも施設のスタッフも地元のお父さんも、仲間のような連帯感が生まれます。
「おれたち、よくここまで作ったよな」 そんな呟きが聞こえるような背中です。
【9月17日】上棟式
この日はウッドデッキの床を張っていきました。木材を等感覚に並べると、風が気持ちいい見晴らし台のようになりました。ここに立てば海まで見渡すことができます。
デッキが完成すると、遊具ですが上棟式が行われました。
遊具制作を手伝ってくださった施設のスタッフや地元の方、それを見守りながら園庭の草刈りをしていた地元のお母さん達、遊んだり大人の手伝いをしたり自由に過ごす子ども達…遊具制作を中心に集まった人々全員で、遊具が無事に完成することを願いました。
遊具制作なのに、子どもから大人まで集まって、まるで地域のお祭りです!
【9月18日】初すべりセレモニー
とうとうこの日が来ました。
すべり面に板を張っているのを見たお母さん達が何かを思いついたようにバタバタと動き始めました。
「そろそろ完成だから、アレやろう!」
おもむろに風船を膨らませ始めました。
「テープカットみたいにしたら面白いと思うんだよね!!」
カラフルな風船が滑り台に飾られます。
制作開始から8日目、滑り台が完成し「初すべりセレモニー」を行いました。
風船と紅白のテープが用意され、全員でカウントダウン。
「3,2,1・・!」
鮮やかな風船を吹き飛ばして、最初に滑ったのはお母さんたちでした。
大人も遊んでみなければ、そのすべる楽しさも、興奮するドキドキも感じられません。 危険ポイントもまた、遊んでみないと見えてきません。
そして子どももきっと遊ぶだろう、何歩で登れるか競争!
足腰が強くなければ、斜面の途中で失速して滑り降りてしまします。
用意された遊び方を消費して飽きる遊具ではなく、発想が広がるほど、そして身体が発達するほど遊び方が増える遊具に。
プレーワーカーが、そこで遊ぶ子どもを見つめて設計した遊具が形になりました。
汗あり、笑いあり、感動ありな熱い遊具制作、第1回完結!
…しかし実は、完成したのは複合遊具のほんの一部だったのです。
第2回は複合遊具がさらに面白くなります。
次回に続きます!
【ハックの家バックナンバー】
1日目 http://playworkers.hateblo.jp/entry/2016/09/12/231000
2日目 http://playworkers.hateblo.jp/entry/2016/09/13/000000
3日目 http://playworkers.hateblo.jp/entry/2016/09/16/112000
4日目 http://playworkers.hateblo.jp/entry/2016/09/25/000000
特別インタビュー「なぜプレーワーカーズに遊具づくりを依頼したのか?」
http://playworkers.hateblo.jp/entry/2016/09/28/202500
5日目 http://playworkers.hateblo.jp/entry/2016/10/11/142300
6~8日目 第1回完結! http://playworkers.hateblo.jp/entry/2016/12/08/000000
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一般社団法人プレーワーカーズ
〇プレーカー・プレーワーカーを呼びたい方、
講演・研修・遊び場づくりなど、その他ご相談はこちらへご連絡ください
〇ご支援のお願い
遊び場づくりの支援や、子どもを取り巻く課題解決のため、ご支援のほど宜しくお願い致します。
http://playworkers.org/donation
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子どものまち・いしのまき2016 vol.3
子どものまち・いしのまきの本番から1ヶ月後に子ども店長の打ち上げ会をしました(o^^o)
「子どもだって打ち上げしたいよ〜」
「みんなでバーベキューやりたい!」
そんな声に応えて計画してみました。
当日配った雑なチラシw
なぜかコピーもせず、20枚くらいひたすら手書きしてました。
本番中は、子どもたちが頑張っているので、事務局長は意外とヒマなんですw
それでも、子ども12人、大人10人が集まりワイワイと食べたり、飲んだり、遊んだり。
準備もみんなでやりました。
お昼頃に集まった子たちと一緒に歩いて買い物。
歩きながら、色んなことを話しました。
6年生女子A「ひとりっ子だと得だよ!お小遣いもあるけど、欲しいって言えば買ってもらえるんだ。」
かずき(ひとり娘の父として複雑な思いを抱えつつ)「じゃあ、欲しいけど買えないなんてことないんだ?」
6年生女子A「そうだね!」
6年生女子B「いいなぁー」
僕は直接話していませんが、他の女の子は、「塾行かないとヒマなんだよねー」と言っていたそうです。
広い意味での子どもの教育をしたい時も、福祉的な視点で子どもを守ったり支援したりしたい時もイマの子どもが置かれている環境を見続けないといけないなと感じました。
大人になるとたかだか10年、20年前の状況も「最近」という一括りにしがちですが、その感覚は違うかもしれないですね。
自戒を込めて書いておきます。
それからもうひとつ。
バーベキューは17:00までの予定だったので、暗くなって来たら片付けを始めました。子どもたちがだいたい帰った後も残り、最後の最後に大人が解散するときまで一緒にいる中学生の女の子がいました。小学生のようにはしゃいで楽しそうにするわけではないけれど、静かに座って、最後の方は大学生と喋ったりしてました。
真意は分かりませんが、きっと帰ってもつまらないんだろうな…。
解散の時に誰かが、「バイバイ!また来年!」と言っていましたが、それを聞いて僕は少し寂しい気持ちになりました。
僕は石巻市民ではありません。
実は、このバーベキューに参加した大人のほとんどが石巻市民ではありません。
いつも近くにいれない大人は時に無力です。
子どものまちはすごく楽しいイベントで、子どもも大人さえも楽しみにしています。バーベキューだって、違う学校、違う学年の子どもたちが集まって、協力したり、一緒に遊んだり、おしゃべりしたり楽しかったです。
だけど、そこから見えてくる子どもの日常は、それとは対極かもしれない。
そういう疑問を持って子どもを見つめる大人がひとりでも増えてくれたらいいと思うし、そのためにまた仕事頑張ろうと思った帰り道でした。
廣川和紀(かずき)
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なおたろうとかずきが来る日
2016年11月15日(火)
亀が森公園・神社に30人ほどの親子が集まりました。
大人は、焚き火をしながらまったりおしゃべりしたり、イモを焼いたり。
子どもは、遊具で遊んだり、山に登ってみたり。
暖かい最後の秋を満喫するかのように外でのんびり遊び過ごしました。
ひとりで登った少年(弟を踏み台にしたのはナイショ)
トンボのエサを探したり、宝物を発見したり
落ち葉もあって秋って感じ
山から降りてきたおじさん(笑)に寄っていく子どもたち
焼きいもしながらまったり遊ぶ
頂上まで行けるのかな?途中いい景色が見えるらしい!
次回予定を手書き看板に!
そう。それが、「なおたろうとかずきが来る日」です。
なんか、イベントチックにしなくても、誰かいる日にちと時間と場所が分かればいいよねーって感じ。
遊びに連れていく場所がないんだーっていうお母さんたちと一緒に情報共有メーリングリストも作成することになりました。
こんな一日のキッカケは、石巻市子どもセンターらいつ主催の移動児童館という事業。
石巻市は市町村合併もしているので、とにかく広い!らいつに来れない子どものために出張しよう!外で遊べるようにしていこう!
と、2年前から、動き始めている事業です。
子どもセンターだけでなく、社会福祉協議会や子どもの居場所、遊び場づくりをしているNPOも協働で行ってきました。
河北地区(追波川運動公園)、桃生地区(桃生総合支所前芝生広場)という2つの地域で行っていたのですが、プレーワーカーズはどちらにも関わっています。
プレーカーでの遊びを展開し、プレーワーカーとして遊び、そして地域の人と関わってきました。
年間それぞれ4-5回っていうペースでやってきました。
最初誰にも知られてない取り組みでしたが、子育て世代(乳幼児親子)の居場所になってきて、いつも来るママたちとは顔見知りって感じになってきました。
でもね。今年度は、11月のあたまで終わっちゃったんです。
それじゃあもったいない!ということで、お母さんたちと話し合いをしました。
「みんな来るって分かってたら行きたい。」
「だったら、プレーワーカーのなおたろうとかずきが11/15、亀が森公園にいます。」
という経緯ではじめの文章に戻ります。
そんなこんなで、誰が集まるかなー?と心配していましたが、ポカポカ陽気のおかげでたくさん集まり、楽しく過ごせました。
そして、こんな相談も受けました。
「蛇田の小学生が外で遊ばない。」
蛇田地区というのは、20年前までは辺り一面全て田んぼでした。
しかし、今では、高速のインターがあり、デパートが立ち、新興住宅地になっています。
それだけでなく、石巻市最大、東北最大級?の復興公営住宅団地が立ち並ぶ町になっています。
小学校の児童数も700人!?というマンモス校なのに、現在体育館を校庭に増設しているらしく、校庭でも遊べない。他に遊ぶ場所もない。
「プレーワーカーズさん来てくれませんか?」
……正直に言って、プレーカーが1日出張で出向いたところで、何も変わりません。
でも、亀が森冒険遊び場の1番最初もそうでした。「震災後すぐで遊ぶ場所がない子どもたちにどうにか遊びを」と考えた大人が公園や学校、地域を歩いて見て回って、「一回遊んでみよう」と始めたのです。
また最初の文に戻りますが、今となってはこうやって子どもや親子が集まる場になっています。
まずは、地域を一緒に歩いて見てみましょう。
そこから遊び場づくりは始まるのかなと思います。
これもまた遊び空間デザインかもしれない。
後半長くなりましたが、盛りだくさんの濃い1日でした。
廣川和紀(かずき)
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子どものまち・いしのまき2016 vol.2
子どものまち・いしのまき2016が開催されました!!
日時:2016年10月1日(土)~10月2日(日)
場所:石巻市橋通り界隈
当団体理事 廣川和紀(かずき)が子どものまち・いしのまき実行委員会の事務局長を務めました。
★当日の様子
1日、2日合わせて1200人もの来場者でにぎわい楽しいイベントとなりました。
当の子どもたちも遊んだり、仕事したり、店長として指示を出したりなどそれぞれ楽しんでいるようでした。当日、急に明るく話す子や職人のようにひたすら仕事に打ち込む子など楽しみ方も様々です。例のカジノは、高学年、中学生たちのたまり場になっていました。店長の仕事をさぼって遊びに来たり、他の店では働かずにずっとカジノで稼ぎ続けたりする子も現れてきました。
こんな記述をした時点で、「いいのか?それで」と疑問に思う人もいるかもしれないので、念のために補足しておきます。おそらく、その疑問は、「仕事体験のイベントなのに働かなくていいのか?」や「お店や他の子に迷惑をかけているのではないか?」などのようなことではないでしょうか。
しかし、僕は思います。それは、先回りしすぎた要らぬ不安だと。コツコツ働いて食べ物を買ったり、買い物を楽しむのも一つの過ごし方ですが、そうでない過ごし方、生き方を選ぶのも自由です。本当はいつだって子ども本人が主役であるはずです。しかし、それが日常の中で叶っていないことがあまりに多いからこのイベントがあるのだと思います。そして、子ども社会の中でのトラブルや人間関係についても子どもたちの中で解決していきます。
なんと、今年はじめて裁判所ができました。
★銀行が破産!?
実際、トラブルは起こりました。カジノでずっと稼ぎ続けた子が、換金してもらおうと銀行にやってきました。しかし、その金額が桁違い…。アルバイトは20分で3マキーくらいで、たこやきなどを買うのにも1つ3マキーくらいが相場ですが、彼の手持ちは800マキー!!
マキーは、軽石に色を塗ったものです。銀行にもそんなに在庫はありませんでした。
「お金が下せないのはおかしい」、「カジノの配当金が高すぎる」、「カジノは悪いことしてない」などといったやりとりが続いた後、「じゃあ、裁判だ!」となり、「換金ができない銀行を訴える」という裁判が開かれることになりました。
★話し合いの末
銀行は仕事が忙しいこともあり、裁判官が原告とカジノ店長の話を聞き始めました。そして、「カジノの配当金をなぜ銀行が出すのか」という矛盾に気付き始めたのです。
子どものまち・いしのまきの遊び方の仕組みは、お店で働いたら、パスポートにハンコを押してもらい、そのパスポートを銀行に持っていくと給料としてマキーが手元に渡るというシステムでした。
カジノの配当は、売り上げの中からやりくりするものなのか、それとも給料のように銀行からもらうものなのか。そして、他のお店も売り上げからアルバイトを雇うのか、それとも給料は銀行(まち)が負担するものなのか。などといったまちの仕組み自体を考え直さなければいけないことが見えてきました。
結果、裁判という形ではなく、カジノ側が、一度に賭けられる金額を押さえることにしていました。
★子どもが主役
例の裁判に限らず、子どものまちの中では、子どもたちのやりとりに疑問が湧くこともありますし、アドバイスしたくもなります。
「こうすればいいんじゃないかな」「この方が良くなると思うよ」「それはどうかな」
しかし、そこをグッと我慢したときに、普段いかに子どもたちの主体性を奪っていたか気づくことになるのではないでしょうか。
実際、大人が思っていたように上手くいかないかもしれません。そのせいで、お客さんを待たせたり、不手際があったり、トラブルが起こるかもしれません。
それは、イベントをつくっている身としてはとても怖いことです。どうせなら笑って終わりたいし、どうせならみんなが満足した形にしたいし、どうせならいいイベントだねって言われたいです。でも、本当に子どもが主役のまちを目指すのならば、その恐怖と戦って、、
違いますね。子どもを信じて見守りたいと思っています。
★自律し、自立する
子どもに対して、「自由にしていいよ」というメッセージ、態度を取り続けていると結果として、子どもたちは自律するようになります。つまり、自分で考えて、自分で決めてという状態のこと。誰かに決められた決まりを守るのではなくて、自分で判断し、律していくことができるようになるのだと思います。
反対に「あれもこれもダメ」と制限をかけていると、「~してもいいですか?」と他人に決めてもらうようになり、それはやがて、「あなたがいいと言ったのに失敗した」というような責任転嫁につながる可能性さえあります。
自律は自立するための目的です。自立した個人は協力し合うことができます。
それこそが、子どものまちをやる目的であり、子どものまちの評価軸でもあると僕は考えています。
★子どもから学ぶ
長く、そして小難しくなってしまいました。最後に言いたいのは、実は大人の方がよっぽど自立状態から遠い人が多いと思っています。自分たちが暮らしやすいように、楽しく過ごせるように、ルールや仕組みについて話し合って、他人の意見も尊重しながら決めていく。子どものまちをつくる過程で見られる子どもたちのチカラ、それを大人も学び、自分たちの社会に活かしていけるといいと思います。
子どものまち・いしのまきを通じて、大人たちによる子どもへの視点が変わることを願って。
廣川和紀(かずき)
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子どものまち・いしのまき2016 vol.1
子どものまち・いしのまき2016が開催されました!!
日時:2016年10月1日(土)~10月2日(日)
場所:石巻市橋通り界隈
当団体理事 廣川和紀(かずき)が子どものまち・いしのまき実行委員会の事務局長を務めました。
◆私の疑問
子どもたちは、普段大人が決めた大人社会のルールの中で暮らしています。
「子どもが主役のまち」というスローガンを掲げた子どものためのイベントづくりの中で彼らはどうなっていくのでしょうか?
実は事務局長として、イベント全体の管理をしつつ、子ども会議担当でもありました。
普段仕事として行っている遊び場づくりとは、ちょっと違う活動に見える子どものまち。それでも僕がプレーワーカーとして関わりたいと思った気持ちについても触れながら話を進めていければと思います。
◆子どものまちとは
チラシには、「ひとりひとりが主役になれるまち。子どもたちで考えた仕事やメニューが並びます。受付でパスポートをもらったらまずはやりたい仕事探し。仕事してお金を貯めたらみんなのつくったものを選んだり、使ったり、買うこともできる。」とあります。
昨年度、実行委員会議で話し合った目的としては、以下の5つが挙げられています。
①子どもがまちづくりの主役になる場をつくる
②職業・社会体験の機会を提供し、子どもの夢・未来を応援する
③社会の仕組みや役割を理解し、課題解決する人とまちを育む
④商店街等と連携し、まち全体を子どもの居場所にしていく
⑤一人一人の遊び心を大切に、年に1回のイベントを楽しむ
「自分たちが考えたお店」、「自分たちのまち」をつくっていくためには事前の話し合いが必要です。6月から4回の店長会議、運営委員会議を重ねてきました。
その過程こそが、一番大切で一番おもしろいポイントだと思っています。
★自由な店づくり
今年度の店長会議の流れを見ていきましょう。
「店長やりたい!」と集まってきた子たちのやりたいことを聞いて、グループに分かれてお店づくりをしてきました。
たくさん出た中で目立っていたのが「カジノ」です。「マキー(子どものまち通貨)をたくさん持っている人が増えてきたからカジノでたくさん使ってもらおう」という発想から生まれたお店です。
同時に「イタズラ」のお店もできました。銀行強盗をするなど、秩序を乱すグループです。
「それならば!」と生まれるのが警察。
ですが、発案し引き受けたのがカジノの店長でした。警察の仕事もするカジノなんて聞いたこともないし、おもしろいですよね。
大人の社会常識からすれば、「別組織にしておいた方がいいんじゃないか?」と口を挟みたくもなりますが、ここは子どものまち。子どもたちの中でいま、問題が起きていないのであれば見守ろうと考えました。
また、子ども店長会議はなるべく白紙状態からやりたいと思って計画しました。
これまでの経験があるので、子どもたち自身も、「これは現実的じゃない」とか「去年と同じように」となりがちです。でも、ゼロをイチにする時が一番楽しいときだと思います。
vol.2に続きます。
廣川和紀
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一般社団法人プレーワーカーズ
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プレーカー石川県出動~「遊びって提供するものなんですか?」~
秋分の日の9月22日、石川県小松市に行って来ました。プレーカーによる遊び場を「こまつ乗りもの動物園」というイベントで「出展」して欲しいと、「こまつ乗りものフェスティバル実行委員会」さんから依頼されたからです。会場は「こまつドーム」という、スポーツや展示会、式典なども行われる複合施設のアリーナでした。
「何々やね!」「何々や!」
石川弁の飛び交う当日の会場には総勢8000人の来場があったそうです。クラシックカー70台、高所作業車、セグウェイ、ミニ新幹線など色々な乗り物が会場を賑わかし、ドローンが飛び回る姿が見られました。プレーカーによる遊び場はこんな様子でした。
開場前から工作をしはじめた子どもの様子をみたスタッフの方から「こういう風に遊びがはじまっていくんですね、ゆるい感じがすごくいい!」と称賛をいただきました。なので「当社の代表のぶんちゃ(須永)はもっとゆるいですよ!」と他社にはない自社の魅力をさりげなくPRしました。
「ぶんちゃのいる遊び場はゆるい」
字面にすると全くアピールポイントには見えませんが、遊び場がそう受け取られる雰囲気のあることは非常に重要なことです。その重要性を訴えるほど、重要に見えなくなっていってしまうジレンマがありますがそれはしょうがない。
遊び場では、飾り物で気ままに木材をデコる子、
段ボールで汽車をする子、
大勢の視線が行き交う中「秘密基地」づくりに邁進する子などなど、それぞれ思い思いに過ごしていました。
開催終了後、依頼主の方から
「どこでもあそびばになるんだ!!!自由にすれば…。普段は先回りしがちな親がじっと見守られて、一心にトンカチしている子どもたちの瞳はきらきらでした。」
と感想をいただきました。嬉しく思います。
行ってから知ったのですが、小松市はパワーショベルを生み出した建設機械メーカー「コマツ」の本拠地であり、航空自衛隊基地があり、日本自動車博物館を有するなど、乗り物にちなんだ背景を持つことから、「乗りもののまち」を謳いまちを盛り上げているそうです。
そのような中で、なぜプレーカーが呼ばれたのか。さて、ここからは少し長く、紛らわしく、私(塩田)の憶測と勝手な自己解決の工程を書きます。
【プレーカーはなぜ呼ばれたのか】
目を引く車体のペイント、「遊び道具」を積んだ中身、3.11をきっかけに東北での被災地支援を行ってきた背景、、、そういう珍しい種類の車だからという理由での出展依頼なのだとしたら、複雑な気持ちでした。プレーカーは普段、子どもたちの「遊ぶ環境」をどうにかして良くしたいという思いを持っている人たちの依頼を受けて出動します。依頼主は個人からサークル、法人など様々です。本業の合い間、プライベートの限られた時間、資金のない中で、自ら助成金を得たり、サークル内の会費、あるいはポケットマネーで遣り繰りしたり、「これだけしか出せないが、、、」という気持ちで呼んでくれるところもあります。
震災から6年目の現在は、「被災により子どもたちが遊べていない」からというわけではなく、「地域に子どもの遊び場がない」という危機感・困難からの依頼主が増えてきています。同じ問題意識を抱える人たちのところへはお金関係なく協力したい。けれども実際そういきません。これからは「復興マネー」と言われるような助成金もますますなくなり、これまで一緒に協力してきた人たちと「仕事」としての関係を断っていかざるを得ない状況が増えていくことは確実です。それは悲しいことです。
(いや、悲しいことというより、お金は関係ないという「綺麗事」の上に胡坐を掻いていた自分が見えてきて、それが悲しいというか情けない、理想と現実の狭間とはかくのごとしか!やはりこの世は金じゃ!ならば、じゃんじゃか稼いで、「綺麗事」の上に寝そべり名声と富をこの手におさめよう!ビバ聖人君子!!!
600kmの仙台市から小松市までの道中は、そんなことまで考えるほど険しく長い台風と対面走行、妄想と現実の狭間をもドライブしていました。気が付けば自分は自分や大人との関係性ばかりに気を煩わし、子どもに目を向けていないのだなあとつくづく思ったりもしています。)
カッコ内の心情はさておき。
そんなこれまでと今、今後があるので、今回の小松市のイベント依頼を単なる「お金をもらえる」仕事以上のものにしたい、そのために出来ることは何か、小松市で関わった人たちに伝えることは何かと考えました。
「子どもが遊ぶ」ことは自然なことであるのに、いまはその当たり前のことが難しくなっている。そのような状況と出くわした時、何かしたいと思った時、「冒険遊び場」や「プレーパーク」のような考え方・実践があることを伝えたいと思いました。
ただ、そんな思いは傲慢でしかないかもしれない。たった一度のプレーカーによる遊び場の出前によって、これが「遊び場」ですと示せるわけではないし、日常の子どもの遊ぶ環境をつくり出せるわけではないし、まして子どもが遊ぶ環境づくりに日本各地で長く苦心してきている人たちの言説の上澄みをすくった様な自分の物言いにどれだけ力があるのかたかが知れています。結局のところ、遊び場に来た子どもたちが「今日楽しかった」と感じるような場をそこに居合わせた人、子どもたちとつくっていくことしかない。
【遊びって提供するものなんですか?】
斯くして迎えた「こまつ乗りもの動物園」前日。小松市はつらつ学習課としてプレーカーの出展に尽力してくださった坂下さんから、小松市にあるかが森林組合に当日必要な廃材を調達しに向かう車中で、目の覚めるような質問をぶつけられました。
「遊びって提供するものなんですか?」
この質問を聞き、プレーカーをただ物珍しくて呼んだのではないと感じました。プレーカーは一見すると、派手なペイントをした「遊び道具」を積んだだけの車です。イベント屋として呼んでいるのであれば、こういう質問をするはずはありません。子どもの「遊び」に関心があり、私たちの活動に共感するところがあり質問してくれたのだと思い説明を試みました。
「遊び」は提供するものではありません。「遊ぶ」とは、自己の内面から生じる行為です。たとえ外面的には「遊び」とは見なされなくとも、また何もしていないように見えていてさえ。また、本人が遊んでいると感じない限り「遊び」ではありません。だからこそ、坂下さんの問いは正当なものです。本来ならば大人があえて子どもの「遊び」の場をつくり出そうとする状況は必要なかったはずです。
1930年代からデンマークで冒険遊び場の考え方・実践が生みだされなければいけなかった背景、1970年代に日本で冒険遊び場がはじまったいきさつ、阪神淡路大震災での遊び場づくり、東日本大震災でのプレーカーの目的、そこから浮き彫りとなった「都市」と「地方」では括れない子どもの遊ぶ環境を窮屈にしている社会状況。
聞きかじりと、本で読み知った程度の知識と数年程度の遊び場での経験と実感で伝えられたことは多くはありませんでした。それでも耳を傾けてくれ、イベント前日のプレーカーブースの関係者が10名ほど参加した夕食会でも説明する時間を設けてくれました(乾杯前に喋りすぎて打ち止めをくらったことを反省し、まとめ力の強化に精進します)。
そこで、小松市で学童クラブの指導員をしている加藤さんが、坂下さんに「プレーカー絶対面白いから!」ということで紹介してくれたことを知りました。加藤さんは、学童クラブ問わず子どもがもっとのびのびと楽しく過ごせるにはどうしたらいいか考えている人で、色々と調べているうちにプレーワーカーズのことを見つけたのだと教えてくれました。「日々情報発信大事!」と実感します。
お話しする中で見えてきたのは、「今の子ども」たちは自分たちの「子ども時代」ほど「遊んでいない」という実感を加藤さんたちも抱いているという事実でした。「今の子ども」の「遊び」に視線を向けることは、同時に自らの「子ども時代」を比較対象として見つめることになります。構造上そうなってしまうがゆえを、プレーワーカーズHPの代表あいさつ(代表あいさつ | 一般社団法人プレーワーカーズ)で説明されているのでご覧いただけたら幸いです。
石川県出張の楽しかったエピソードを交えながら、ライトにブログを書く当初の目論見に大失敗した今回のご報告でした。最後まで読んでくれてありがとうございました!
塩田大介(なおたろう)
ハックの家 遊び空間デザイン 5日目
9月11日より「特定非営利活動法人ハックの家」の障がい児放課後デイサービス「ピーターズキッズ」にて、遊具づくりをしています。
【9月15日】柱立て、梁、装飾
てるてる坊主が力を発揮し、晴天続きです。とうとうこの日、柱立てがひと段落して梁に取り掛かりました。ここが滑り台の上の高さになります。
あれ、なんだか小さい作業員がいますよ。
そのヘルメットは…まさか佐伯さん!?(ピーターズキッズスタッフ)
ではなく、晴れて外に飛び出してきた子どもでした。
一般的な遊具の設置は子どもがそばに行くことはできず業者のみで作業しますが、当団体は子どもも遊具作りに参加させることができます。
さっそく一緒に遊具づくり!
柱の根本にビーズを埋めるとかわいい!!
夢中になる子ども&大人たち。
土と木材の茶色ばかり見つめる日々。
世界ってこんなに美しい色があるんですね。
当団体の遊具作りの魅力は、遊具を置く施設のスタッフや地域の人が一緒に作業することにもあります。遊具を一緒につくることで、その遊具で遊ぶ子どものことを考えるようになり、地域で子どもを育てるきっかけになります。
一緒に作業をしながらゆっくり会話をすることも良い時間です。
ピーターズキッズのスタッフである佐伯さんはこんなことを言っていました。
「子どもの時は障がいを持っている子と普通に遊んでいたんですよね。その時は障がいを持っている持っていないも考えずに。今、特別支援学校に通う子は、普通の学校との交流会があったりするけれど、そういうのは形だけになってしまうことがあります。この遊具ができて、地域の子どもが遊ぶような自然な交流があればいいなぁ。」
遊具ができて一番期待していることを聞くと、
「自由な発想で遊んでくれるといい、子どもが!」
と楽しそうに笑いました。
完成を楽しみにしているのは子どもだけでなく、大人も一緒です。佐伯さんが子どもと一緒に遊んでいる光景が目に浮かぶようでした。
ようやく形の見えてきた手作り遊具。遊べる日も間近です。
6日目に続きます!
【ハックの家バックナンバー】
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