アソビのタネ

子どもがいるならどこでも「もっと楽しく」「もっとのびのびと」「もっと安心して」いられる現場づくりでの実践を記していきます。

ジュニア・リーダーの研修の講師を務めました

ジュニア・リーダー上級研修会(うち1コマ)

日時:2016年12月26日(月)

場所:宮城県本吉郡南三陸町 志津川自然の家

主催:宮城県教育委員会

共催:一般社団法人宮城県子ども会育成連合会

 

12月26日に行われた「ジュニア・リーダー上級研修会」の1コマの講師を当団体事務局長神林が務めました。今回の研修に講師として招いてくださった方は、東日本大震災後に子どもの心のケアとしてつくられた遊び場「気仙沼あそびーばー」を初期から見守っていた先生でした。気仙沼あそびーばーに常駐していた神林に、“子どもの遊び”“地域との関わり”をテーマに研修をしてほしいと依頼してくださったのです。

 

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受講者はジュニア・リーダー中級研修を修了して活動実績もある中高生35名でした。普段私たちは大人に対して“子どもとの関わり方”の研修をすることがほとんどですが、ジュニア・リーダーは年齢的には子どもです。しかし、彼らがイベントを企画して子どもと接する時、小さい子どもからは大人のような存在として見られます。そういう意味では、子どもの遊びに介入する者として知っておくべきことを伝える研修になりました。

 

冒頭に出した質問は「子どもにとって遊び場ってどんなところ?」でした。 ジュニア・リーダー達は「遊具がある」「ボール遊びができる」「砂場がある」などと答えます。

 

次に、「0歳から18歳を子どもと定義されているから、みんなも子どもです。では、みんなにとっての遊び場とは?」と問うと、「ひろい場所」「カラオケ」「ゲームセンター」「映画」と中高生らしい答えが返ってきました。

 

「“遊び”は年齢で違い、それぞれ個人の好みや、遊びだと思う瞬間も違う」ということが確認できたところで、冒険遊び場の歴史や東京の羽根木プレーパークの映像などを見ました。激しく遊ぶ子やじっくり遊ぶ子、何しているのか分らない子、等身大で遊ぶ子どもの姿をジュニア・リーダー達は食い入るように見ていました。

 

その次に「遊び絵地図のワークショップ」をしました。個人作業でA4の紙に、子どもの時に遊んだ場所を地図で書き、記憶に残っている遊びを文字で書き入れます。このワークで衝撃的なことがありました。

「空き地や川に友達と行って遊ぶ」

「桑の実を食べたり、鬼ごっこしたり」

「探検をした」

「秘密基地づくりをした。大人は傍にいなかった」

「近所の家でよくお菓子を貰っていた」

それぞれが遊びの思い出を書いていく中、ペンが止まっているジュニア・リーダーがいました。

神林が様子を見にそばに行くと、

「子ども時代が思い出せないんだよねぇ」

という呟きが聞こえました。そんなジュニア・リーダーが1人ではなかったのです。今回の研修だけでも3~4人は同じような様子でした。

 

自分の意思で自由に遊び、感情が動いた時、記憶は残ると言います。子どもは自分で遊ぶ力を持っていますが、周りの大人や環境によって「遊ぶ力」が抑えこまれてしまうことがあります。子ども時代の遊びを思い出せない人の中には、

「私が子どもらしく遊んだ時期っていつだっけ」

と呟いた人もいました。

 

子ども時代に子どもらしく居られないまま、年を重ねて大人になると、そのひずみは人生のどこかできっと表れてきます。自己肯定感が低かったり、無力感を抱いたり、表れ方はそれぞれですが、その人の生涯にわたって影響していくかもしれません。

 

そんな心配を抱きながら、だからこそ「子どもにとって遊びは大切で、私たちは遊びを教えるのではなく、少し補助することが仕事。主体は子どもに」ということを伝えました。

 

今回の研修は教職員や志津川自然の家の小野寺所長も同席し、研修を聞きながら頷いてくださっていたのが印象的でした。小野寺所長は以前冒険遊び場のキャンプに参加し、そこでスタッフの子どもとの関わりに感銘をうけた経験のある方です。

小野寺所長は「統計を見ると、戦争直後は都市部より田舎の子どもの方が外遊びしていましたが、いまは田舎の子どもも都市部の子どもと同じくらい外で遊ばなくなったそうです。」

と話され、子どもの遊び環境に危機感を抱いていました。

 

この研修は、ジュニア・リーダーだけでなく、子どもとしてのその子たちやまわりの大人に向けてのメッセージも含まれる研修になったと思います。宮城県北部から集まったジュニア・リーダー達には、これからの活動の中でも、大人になってからも、そして今の自分自身に対しても、“遊び”を守って過ごしていってほしいと思います。

文責:遠藤みゆ


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一般社団法人プレーワーカーズ 

 

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ロンドン研修報告会


「子どもの遊び場ロンドン視察・研修報告会」
日時:2017年2月27日(月)    
          14:00~16:00(13:30開場)
場所:宮城県名取市 市民活動支援センター 中会議室

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2月17日~2月24日に行われた「子どもが遊べる”まち”をつくろう!子どもの遊び環境づくりをロンドン最前線で学ぶ旅8日間」という研修ツアーに参加したメンバーによる報告会を開きました。

 

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このツアーは、ロンドンの冒険遊び場・道遊びの見学、プレイワーク研修、ロンドンプレイ事務所訪問などの内容の研修ツアーで、一般社団法人TOKYO PLAYが企画しました。TOKYO PLAYは「すべての子どもが豊かに遊べる東京を」という言葉を掲げ、道路を歩行者天国にして子どもの遊び場にする「みちあそび」や、研修・講演活動などを行っている団体です。今回のツアーで案内と通訳を務めてくださった、TOKYO PLAYの嶋村さんは、当団体企画の講演会に講師としてお招きするなど、これまでも活動を共にしてきました。

 

メンバー12人のほとんどが顔見知りで、同じく子どもの遊びのために活動している仲間という構成で、1948 年から続く歴史のあるロンドンの先進的な取り組みを知るべく、さまざまな疑問や期待を胸に当団体からは3名参加し、多くの気付きと課題を持ち帰りました。

 

報告会には、地域の親御さんやプレーワーカーだけでなく、子どもの遊び場活動をしている静岡県の方も駆けつけました。視察研修の5日分をたった2時間で伝えるのは難しかったのですが、写真や映像を使いながら学びや雰囲気を凝縮して伝えました。

 

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序盤に遭遇した、ロンドンの広場の卓球台。自然な雰囲気で大人も楽しそうに遊んでいたこと。 誰が置いているのかは、最後までナゾだったこと。

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日本と雰囲気はそっくりなロンドンのプレーパーク。でも垂直滑り台や巨大ターザンななど、ドキドキする遊具が多いこと。デザインがどれを取ってもカワイイこと。

 

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プレイワーク研修や出会ったプレイワーカーの活動の根っこは、私たちと同じく子どもの社会に対する危機感にあること。いじめ・ひきこもり、移民や経済格差の問題など複雑に絡み合っていること、などなど。

 

報告会はとても短い時間でしたので、「もっと聞きたかった!」と惜しみながら帰路についた方が多かったです。

 

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研修を受けてきたメンバーにとっても、膨大な情報のインプットだったため、これから自分たち自身に落とし込んでいく時間も必要だと思いました。話しながら「そういえば、こんなこともあった!」と思い出したこともあり、意外と記憶が整理できていないと思いました。報告会という形でアウトプットできたことは、膨大な情報を整理することにもなったので、とてもいい機会でした。

 
この報告会は団体で開催しましたが、実はこの研修…費用はすべて自分持ち!
若手には重い金額でしたが、先行投資と思って行ってきました。期待通り、何物にも代えがたい経験をすることができました。

 

今回のロンドン研修で得たものは、遊び場の活動や講演会など、今後形を変えてじわじわ表れてくるのだと思います。遠いイギリスの地で奮闘している方々に出会って触れた熱をバネに、今後も活動していきたいと思いました。

 

文責:遠藤みゆ

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川西市平成28年度青少年フォーラム「プレーパークを知る」

当団体代表の須永力が兵庫県で講演を行いました。

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川西市平成28年度青少年フォーラム「プレーパークを知る」

日時:2017年1月28日 13:00~16:00
場所:兵庫県川西市 アステ市民プラザ
主催:川西市教育委員会主催 

  兵庫県川西能勢口近くに新設される都市公園「キセラ川西せせらぎ公園」は、広さ約2ha、今年の7月供用開始予定で、プレーパークが計画されています。

このフォーラムでは、須永の基調講演、パネルディスカッション、キセラ川西せせらぎ公園の見学会が行われました。

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関西各地のプレーパーク活動をしている方々が集まり、交流の場にもなったようです。新たにできる都市公園でどんなプレーパークがつくられていくのか、今後注目していきたいです。

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子どもの足で行ける拠点事業、始動!

【移動遊び場の苦悩】
これまで、移動型遊び場プレーカーで各地を駆け回り、子どもの遊び場・居場所づくりをしてきたプレーワーカーズ。移動型の遊び場は多くの地域で遊び場を開くことができ、より多くの子どもに出会うことができます。

しかし、活動のほとんどは地域住民・団体から呼ばれて行っている活動なので、私たち自身が主催することはありません。そのため1日限りの開催で、子どもとは一期一会の関わりが多いのです。

 

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 「気になるあの子は、あの後どうなっただろう…」

遊び場では子どもの素の姿が見えてきます。1日限りの開催であっても“気になる子”に出会うことは多いです。しかし、同じ場所でずっと遊び場を開くことはできないので、気になる子たちに対して寄り添うことは簡単ではありません。

子どもと真剣に向き合う大人たちと子ども時代を過ごすこと、それはその子の一生の土台を形づくり、その子の生きていくための自己肯定感や安心感につながります。

そこでプレーワーカーズは、子どもの日常の中に居場所をつくるために動き出しました。


【拠点候補は子どもが歩ける範囲で】

拠点の候補地は、私たちの活動が活発に行われている宮城県名取市気仙沼市の2か所です。子どもが自分の足で行くことができて、いつも同じ場所に在る子どもの居場所。それを実現するために、通学路にある空き家を探すことからスタートしました。

現在、名取市では空き家を探している途中で、気仙沼市では拠点となる空き家がようやく見つかり契約を進めている途中です。2階建てで部屋が多く、低学年が遊んで騒げる空間と高学年が落ち着ける空間など、住み分けができるほど広くて良い物件が見つかりました。

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【ご協力のお願い】

今後、拠点の内装を整えていきます。もし、ご家庭で眠っている家具や子どもの遊び道具があれば、東北の子どもたちのために活用します。

★困っているもの★

家具:折りたたみ机、座布団、カラーボックス、本棚、学習机

家電:冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、掃除機、炊飯器

遊具:屋内で遊べるボードゲームや、その他子どもが遊べるもの

子どもたちからは一銭のお金も受け取らないため、郵送代を捻出することが難しいです。名取・気仙沼市内近隣であれば車で取りに行けますが、遠方からの場合は郵送代も含めて応援していただけると助かります。

ご協力いただける方は、ぜひ下記へご連絡ください。

****************************************
 連絡先
一般社団法人プレーワーカーズ 
担当:神林俊一
info@playworkers.org

遊びのレンズって、なーに?

プレーワーカーズのかずきです。

 

1歳8ヶ月の娘を病院に連れていきました。

小児科専門のクリニックなので、待ち合い室にキッズスペースが広く取ってあります。

そこには絵本とマンガ、おもちゃが2つほど置いてあります。

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【このおもちゃが2つありました】

 

そのスペースには、始めウチの娘が1人だけでしたが、4歳前くらいの男の子とウチの子よりちょっと月齢が下くらいの男の子兄弟、そしてお母さんが来ました。

 

お母さんも大変です。

下の子だって目を離せないのに、上の子は言うこと聞いてくれない!!

上の子はパタパタ歩き、ドラえもんのマンガを5冊ほど持ってきます。

「1冊にしなさい」「病院なんだから静かに」

そして、ウチの娘が遊ぶおもちゃにも興味が出てきて触ろうとしました。

 

お母さん「すいません…」

僕「僕は全然気にしないので、大丈夫ですよ」

 

と、答えながら昨日のワークショップで話題となった言葉の数々を思い出しました。

 

「子どもがケンカしてるのお嫌いですか?」

 

「子どものケンカの問題は大人の関係性」

 

「おもちゃを貸してあげなさい」を大人で例えると「彼氏貸してあげなさい」と同じ

 

「この子ならではの遊びのツボ」

 

「この子ならではの遊びのキュー(入り方)」

 

「生活のレンズ」と「遊びのレンズ」

 

え?

遊びのレンズって、なーに?!

 

講師に嶋村仁志さん(通称:めだか)をお迎えして、ワークショップ を行いました。

 

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単に「子ども」を見ると言っても、色んな角度(レンズ)があります。

 

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例えば、土の上で寝そべっている子

 

教育のレンズで見ると

「頑張って上まで1人で登れたら達成感はすごいだろう!」

医療のレンズで見ると

「土を舐めたりしたら衛生的に大丈夫だろうか?」

生活のレンズで見ると

「あー泥付いて…。家に帰ってから洗うの大変だ」

遊びのレンズで見ると

「登らずじっとしているけど、ヒンヤリ気持ちいいのかな?」

 

など、見方によってずいぶん印象が変わります。

プレーワーカーは、遊びのレンズで子どもを見ることを職業としていますが、実は親も遊びのレンズを持つだけで、ずいぶんと気持ちが軽くなると思うのです。

 

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午前中は、それを実感するワークを行い、ランチ会では、お昼ごはんを食べながら、質問タイムや子育て相談などになりました。

 

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 詳しい内容は、来た人だけの特権ということにしましょう。

 

そんな昨日を過ごした後の、小児科での出来事。

「教育のレンズ」で見たら、大人しく良い子にしていて欲しいし、「生活のレンズ」で見たら、周りの目も気になる。

その気持ちはよく分かる。

僕は気にしないけど、みんながどうかは分からない。

でも、小児科専門で、キッズスペースも作っている病院だからこそ、子どもが遊んでもいい(多少、大目に見てもらえる)場所です。って打ち出してくれたら良いなと個人的には感じました。

 

それもプレイワークが担えることのひとつかもしれないですね。

 

 文責:廣川和紀


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未来の保育士に向けて ~盛岡大学 講義~

 盛岡大学で2年生約150名を対象に、当団体の神林(事務局長)と遠藤(プレイワーカー)が講義を行いました。今日参加したほとんどは、保育士など子どもに関わる仕事を目指している学生でした。

 

依頼してくださった大学の先生は、子どもの自由な遊びや冒険遊び場に関心がある方でした。学生や保育士自身が子ども時代十分に遊んできていない場合、子どもと関わる時に大切にすべき“遊び”が分からなくなる状況を、先生は危惧していました。

 

イベントやプログラムが子どもの遊びだというイメージになりがちですが、やりたくない子を無理に参加させる遊びは、その子にとっては遊びにはならないはずです。子どもが「やりたい!」と思ってやっていることはすべて遊びになりえます。それは、一人で土をいじる遊びだったり、大声をあげる遊びだったり、大人にとって不思議で難解な場合もあるので、きっと子どもと接する時に迷うこともあると思います。

 

学生からとった事前アンケートでも「子どもとの遊び方を教えてほしい」という要望が多くありました。私たちは子どもと遊ぶメニューをではなく、“遊び”の根幹に関わることを伝えました。

 

今回の講義では、遊び場で関わった子どものエピソードを通して「子どもにとって遊びとはどんな意味があるのか」「遊び場を運営する地域の大人やプレイワーカー(子どもの遊びに関わる専門の大人)がどんな役割を持っているのか」を神林が伝えました。また、子どもの遊び場に関わって2年目ということで、遠藤は「遊び場に関わろうと思ったきっかけ」をお話ししました。

 

 

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講義中、スライドには自作の釘ナイフをつくる小学生や、焚き火をする3歳児、大きな秘密基地をつくる子どもたちが映しだされ、写真が変わるたびに学生から驚きの声が上がりました。神林はそれぞれの子どもとのエピソードを説明した後、「子どもとの遊び方を教えてほしい」という要望に対して、「子どもがやりたいことをできるように、一緒に考えている」と答えました。 釘ナイフをつくるプログラムを組んだわけでも、3歳児に焚き火の仕方、子どもたちに秘密基地の作り方を教えたわけでもありません。ただ、子どもから出た「やりたい!」の声にできる限り寄り添って、遊び場で過ごしてきたことを伝えました。

 

そして遊び場では子どもの抱える悩みや生きづらさと直面することも伝えました。東日本大震災直後の遊び場では、子どもが心に負った傷を遊びであらわし、自ら整理していく姿が見られました。

 

当時、泥遊びでダムづくりをしている男の子が、ある時ボソリと「おれの家は流されたんだ、こんなふうに」と言ってドロ水に草を浮かべました。その時プレイワーカーとして遊び場にいた神林は、ドキッとしながら見守りました。子どもたちはひとしきり遊んでダムの水を流しました。その時、その男の子は木の枝を地面に挿して「家を建ててるんだ~」と言ったそうです。子どもは遊びの中で起きた事象を整理し、それを乗り越えようとしていました。子どもの遊びには心を癒す力があります。

 

だからこそ神林は

「遊びは単なるレクリエーションやイベントではありません。“食う・寝る・遊ぶ”と言うように、生きるために必要なものです。みなさんは、その子の一生に関わる子ども時代を共に過ごす、重要な仕事をするんですよ。」

と未来の保育士・子どもと関わる大人へメッセージを伝えました。

 

 

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遠藤からは年齢的にも学生に近いため、子どもと関わるようになった2年前のエピソードを伝えました。

初めてプレイワーカーの居る遊び場に関わったのは、大学卒業後に勤めた仕事を辞めて悩んでいた時期でした。当時知り合ったばかりのプレイワーカーから、「子どもが使う遊び場の倉庫を作るのを手伝って欲しい」と声をかけられたのが始まりです。どうやら、仕事を辞めて悩んでいるのを知って誘ってくれたようでした。それは居場所がなかった当時の遠藤には衝撃的なことでした。

親・先生・後輩とは違う、上でも下でもないナナメの関係の良さを実感した時でした。自分と近しい人には相談しにくく、遠い人には言ってもしょうがない相談。そんな話ができるナナメの関係を持てずに、一人で思う悩む人が多い今、プレイワーカーと出会えたことは幸運だったと思います。遊び場では、子どもはナナメの関係である地域の大人に接し、さまざまな生き方の大人に出会うことができます。それは生きていくなかで大きな支えになる時があります。

 

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↑倉庫制作中(当時の写真)

遠藤が当時もうひとつ衝撃を受けたことがあります。その遊び場のプレーワーカーの子どもへのまなざしでした。カードを投げていた男の子がいたのですが、ただ散らかしているようにしか見えませんでした。しかしその時プレーワーカーは、「なんだかイライラしていたみたいだ。なにかあったのかな?」と呟いたのです。

その行動を責めるのではなく、行動の背景にある気持ちを想像する。その時初めて遠藤はプレーワークの奥深さに触れたと思います。その魅力から仕事とすることを決めました。

 

遠藤の話は、これから進路を決める学生たちにとって何かヒントになれば幸いです。

★ この遠藤のエピソードは、当団体HP「ボランティア・インターン募集」に詳しく掲載されています。

playworkers.org

 

講義の後は、キャンパスの玄関前でプレーカーの展示を行いました。講議を受けた学生だけでなく、通りかかって興味を持って立ち寄る学生もいました。

「かわいい!」

「こんな自由な遊び場、子どもの時に欲しかったです。」

「私も講義を聞きたかった」

そんな声が聞かれました。

 

 

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講義を聞いていた学生は、ばかばかしい子どもの遊びの写真に笑ったり、遊びの効果を真剣に聞いてメモをとったり、時に泣きそうになったり。それぞれでメッセージを受け取ってくれた様子でした。本当に泣いていた学生もいたそうです。自分の子どもの時の記憶に何か引っかかったのか、今生きている子どもにもつらい状況があることに衝撃をうけたのか、原因は分かりません。

 

今日出会った学生が将来子どもと関わる時、今日の講義が活かされていくことを期待します。

 

文責:遠藤みゆ

 

 

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チャイルドファシリテーターとして

子どもの遊び場では、子ども同士、大人同士、親と子ども、地域の人と子ども…様々な人の間に立って、私たちプレーワーカーはつなぎ役をします。会議で仲立ちをして進行する人をファシリテーターと言いますが、まさにその仕事を会議だけでなく、あらゆる場面で行っています。ファシリテーションとプレイワーク(遊び場で用いる技術)は共通する部分が多いのです。

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先日、宮城県のまちづくりをしている団体と行政との会議に、当団体事務局長の神林が同席しました。議題はその地区の子どもの環境に関わるものでした。プレーワーカーズはこれまで、まちづくりをしているその団体とも、行政とも、子どもに関して多くの活動をそれぞれ重ねてきました。そのため、会議では仲立ちのような立ち位置でした。

 
また、プレーワーカーは会議において、チャイルドファシリテーターとして参加することもできます。子どもが参加する会議で大人と子どもの間で仲立ちしたり、子どもの想いを反映した意見を大人の会議で発言するなど、子どもの参画を促すのがチャイルドファシリテーターの役割です。

 

今回の会議では、神林は行政ともまちづくりの団体とも関係ができていたうえ、子どものことを相談しやすいので、アドバイザーとしての役割も期待されて会議に呼ばれました。子どもに関わる施設の議題でしたので、子どもにとってより良い環境にするために、まちづくりの団体と行政が良い話し合いができるように発言しました。

 

これから建つ子どもの施設を良いものにしたいのは、行政もまちづくりの団体も同じ気持ちです。民間団体は行政に様々なことを求めたくなりますが、曖昧な内容だと行政はできる事かできない事かを判断するのが難しく、難色を示すことになります。

 

神林が第三者の立場で会議の流れを見ていくと、まちづくりの団体と行政の話が距離感があり、曖昧さによって噛み合っていないことに気づきました。施設を良くしたいけれど、行政はなにをすればいいのか分かりにくいようでした。そこで、施設の議論を進めるために「建設現場は見学できますか?」と神林が問いかけました。行政の職員は具体的な内容であるので「それはできます!」と答え、まちづくりの団体も「それができると嬉しい」と議論は進展しました。

 

市民活動には市民活動の言葉があり、行政には行政の言葉があり、個々人にも、それぞれ言葉があります。同じ単語でも背景が違えば意味も違ってきます。言葉を交わす当事者に見えにくいズレが第三者には見えやすいこともあります。神林は質問をして分りにくいところを明確にしたり、「こういうことですか?」と確認したり、子どもの視点を踏まえて、チャイルドファシリテ―ターとして会議に参加しました。

 

私たちは子どもの環境に関わる会議のファシリテーターやアドバイザーも務めます。
地元の人間ではないからこそ、地域の会議をより良く進める一助になるかもしれません。

ご相談がありましたら、

ぜひこちらへ↓

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遠藤みゆ

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