アソビのタネ

子どもがいるならどこでも「もっと楽しく」「もっとのびのびと」「もっと安心して」いられる現場づくりでの実践を記していきます。

子ども時代を振り返る

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遊び絵地図のワークショップを行いました。

 

2017年4月20日(木)

主催:ななはまっこ

会場:七ヶ浜町子育て支援センター

ワークショップコーディネーター:廣川和紀

 

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 ななはまっこは、東京で子育てをしている時にプレーパークを知り、自然豊かな七ヶ浜に引っ越して来たけど…あれ?遊べない!と気付いたお母さんと七ヶ浜町で子育てをしているお母さんが中心となっています。

詳しくは、↓↓を見てください。

playworkers.hateblo.jp

 

今日は、ワークショップ。

集まったのは、七ヶ浜、多賀城、大河原で子育てをしているお母さんたちでした。

「自分自身が子どもだった頃を思い出して、どんなまちで、どんな風に遊んでいたのか、地図にして自由に描いて下さい。」

という、ワークです。

  

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 個人作業の後は、共有タイム。

 

「私は、〇〇県で〜何歳ごろ、こんなことをして遊んでいました。あ、こっちでは、こんなことがあって〜」

 

と、もちろん思い出は人それぞれ。

聞いてみると、出身の場所も、北海道、大阪、山梨、東京、秋田、仙台、亘理、石巻、横浜とバラバラ。

住宅地だったり、団地だったり、田んぼに囲まれているところだったりと環境もそれぞれ。

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そんな中でも共通点はたくさんありました。

 

子どもだけで遊んでた

自然や動物との思い出

今思うと危なかったなぁ〜

怒られたけど、また同じことしてた

近所におばあちゃんがいて〜

などなど。

 

最後に少し、感想、雑談タイムを取ったのですが、

さすが、子育て真っ盛り。

「そっかー。私は遊んでたけど、娘には砂くらいしか触らせてなかった。」

「娘は、“ママと公園行ったけど、誰もいなかった”とか書くのかな?」

「もっと遊ばせてあげたいなぁ。」

と、すぐに我が子に意識がいきます。

 

僕らの世代は、子どもの遊び環境劣化時代を生きてきました。

自然や雑多な場所、子どもの数が減り、その代わりに習い事や制約が増えた。

そこに気付けたら、あとは、子どもにとって良くしていけばいいだけですね。

そんなわけで、プレーパークっていう社会運動を実践しているのです。

 

 でもね。

これは、僕の感想ですが、

こうやって、子ども時代を振り返って、「私の頃は遊んでたけど、今の子は」という展開は、今日集まったくらいの世代(30代、40代)が最後なのでは?と感じました。

 

実感として伝わらない世代もこれから大人に、親になっていくことを考えると、何か別のアプローチも必要なのだろうと感じてしまいます。

 

とりあえずは、いっぱい遊んでみよう!ってことだと思いますが。

 

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七ヶ浜、もっともっと遊びます。

 

文責:廣川和紀(かずき)

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情報誌「地域人 第18号」に掲載されました!

昨年11月に「にっぽん子育て応援団」が開催した「地域まるごとケア・プロジェクト人材交流研修会」の様子が、地域創生のための総合情報「地域人 第18号」に掲載されました。

 

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この研修会は、仮設住宅や復興住宅の入居者と周辺住民をつなごうと行われてきた「遊び場づくり」や「お茶会」に着目して、地域の絆の結び直しを考えようと開かれたものでした。当団体事務局長の神林が登壇し、遠藤が参加しました。仙台で活動するプレイワーカーが多く参加する研修会でした。

 

【第1部 3人の話題提供】

1人目は「NPO法人冒険あそび場-せんだい・みやぎネットワーク」理事の根本暁生さん。震災後、仙台市を中心に仮設住宅や公園でプレーカーを使った子どもの遊び場を開く活動をしています。遊びの中で子どもらしさを取り戻していった子どものエピソードなどを交えて遊び場の持つ力を紹介しました。

 

2人目は当団体の神林。いじめ・虐待・自殺など厳しい状況にさらされる子どもが居る中、子どもの居場所が地域から失われている現状と子どもの権利についてお話ししました。子どもと遊んであげる若者が、実は子どもから癒されている事例をあげ、遊び場は傷ついた心を癒し、人と繋がる居場所になり得ることをお伝えしました。

 

3人目は、「NPO法人全国コミュニティライフサポートセンター」チーム長の高橋正佳さん。子どもが宿題や食事ができる場所を設けたり、認知症精神疾患・障がいを抱えている方を受け入れ、生活支援や社会参加の支援の活動をしています。「一人ひとりの暮らしから見て、必要な支援を差し伸べる事が大事だと考えている」と仰っていました。

 

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【第2部 白熱ワークショップ】

第2部では、5~6人のグループごとに、地域の課題について意見を交わしました。グループトークはかなり白熱しました。

 

震災後、子どもは遊びの中で子どもらしさを取り戻していったというエピソードを受け、「“子どもらしさ”ってそもそも何?」という疑問に対し、

「定義があるわけでなく、子どもそれぞれだよね。」

「でも、その年齢で空気を読みすぎ!と思う子どもには、子どもらしくしていいのにと思う」

 

 などの声がありました。震災という強いストレスの中で子どもが受けた影響と、何気なく使う言葉を改めて考えさせられました。

 

 

障がいを持っていても、被災していても、普通の生活を送れるようにというお話では、

 

「普通ってなんだろう?」

「普通が一番難しいよね」

「全員がより良い暮らしができるといい」

 

様々な意見が出るなか、神林は「ウェルビーイングを目指しましょう」と発言しました。ウェルビーイングとは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることと言われています。

 

障がいを持つ方の目指す“普通”、被災した方の目指す“普通”、厳しい環境にいる子どもが目指す“普通”。抱える課題はそれぞれですが、誰もが「生きづらさ」を抱えることのないような状態を目指しているのではないでしょうか。

 

「どうすれば遊びの価値を伝えていけるのか」という議論では、

 

「学業に重きを置く風潮がある。子どもにとって大切なのって最終学歴?学校の後も人生は続くのに」

「遊びの成果を示す団体が少ない」

「遊んで育った子、遊べずに育った子の違いは?」などなど 

 

遊びが子どもにとって重要なことは確信していますが、価値を伝える方法は議論が止まりませんでした。遊びは勉強のように点数をつけるものではなく、将来何かの役に立つものでもありません。でも、子どもの育ちにとって必要不可欠で、“ひまつぶし”や“無駄”とは違うことを主張していく必要があります。

 

ワークショップでは、遊び場関係の方も、遊び場に関わらない方も居て、とても新鮮な議論をすることができました。また、市民活動をしている同士で交流することもでき、とても良い研修会でした。

 

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文責:遠藤みゆ

 

 

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民間版!子ども子育て会議in気仙沼

気仙沼市では、関係部署・有識者・経験者や、民間の公募委員で「子ども子育て会議」を開いていますが、参加している公募委員のお母さん達から「会議ではなかなか話せなかった。もっと子ども子育ての話をゆっくり、じっくり話し合いたい」という声がありました。そんな声から、お母さん達と当団体事務局長の神林が集まり、民間版の「子ども子育て会議」を開きました。

 

会場は、今年度に新しく開設した当団体の拠点「こどまど」。子連れOK、飲食OK。

 

話し合いはとてもゆるく、始まりの挨拶もなければ、終わりの挨拶もありません。

「最近、こう思うの…」

と、おしゃべりの延長に率直な意見や悩みが出てきます。

 

 

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【子育ての日々で】

「町中では授乳しにくい。児童館で授乳していると、若いお母さんがびっくりする。ケープで隠しているし、見せびらかすわけでもない。恥ずかしいものではなく、自然のことなのに。授乳室にすべてを押し込めればいいという話ではないと思う。」


「レストランで、子ども分のとりわけ皿やはしがもらえず、尋ねてみると有料だった。子ども用のメニューを頼めばついてくるらしいけど…。子どもへの対応で店に行くかどうかが決まるのに、もったいない。」

 

社会に子どもが少なくなるにつれ、日常で子どもと関わらない大人が増えてきているのではないでしょうか。お母さんの言う、「子どもへの対応で店に行くかどうかが決まる」というのは、お店側にとってもチャンスになる可能性がある意見だと思います。

 

「就学前の競い合いがないから、切れやすい子になるって聞いた。喧嘩を我慢させると、子どもは抑圧される。喧嘩も暖かく見守って、いいよーっていってくれる大人が増えてくれるといいのに。」

 

ひとたび喧嘩が起きると、相手のお母さんに申し訳なくなって、わが子を止める。幼児が集まればそんな場面が多く見られます。喧嘩が収まれば、親はホッとしますが、子どもはモヤモヤを抱えたままかもしれません。親同士の関係ができていれば、「子ども同士で解決するまで一緒に見守りませんか」と言えるのに…。母親たちは大人同士の関係にも悩みながらの子育てをしているようです。

 

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【子育てとお金】

気仙沼市では婚活に予算が大きくついているけれど、子育てにお金も負担もかかるのだから、それだけでは結婚しないと思う」

「婚活も大事だけれど、子育てする人がもっと意見をいわないと。」

 

声をより大きくあげた方に関心が行き、予算に繋がります。子育てに関わっている人が声をあげなければ!お母さん達は危機意識を持っていました。

 

【研修事業】

気仙沼市の子どもに関わるための研修事業を見て、

「保育士は募集しても集まり難いから、一般のママさんに研修受けてもらって、子どもをみれるようにしようってことなのかな。」

「でも、もし保育園や児童館で働くことになっても、保育士資格とか何か持っていないとやりづらそう。利用するお母さんは”資格がない人”って陰で言うと思うよ」

 

お母さんならではの率直な意見でしたが、研修には興味を持っているようでした。

 

【子育てフェスタ】

「市の計画の中に“子育てフェスタ”というのがあったけれど、これいいよね!大槌町で子育てフェスタをやっているのを見て、気仙沼でもやりたいと思っていたの。やるならいつがいい?」

感染症が流行らない時期がいいよ。」

「秋?秋はイベントが多いかな。」

 

神林が「参加者が“お客さん”にならないように、みんなで内容を話し合いたいですね。運営する地元の人が内容を作っていくといいと思う。」と提案すると、お母さん達はワクワクしながらアイデアを出し合っていました。

 

 【子育て世代の声を拾う】

ここに挙げた意見はほんの一部です。この民間版子ども子育て会議に参加したお母さん達の様子を見ると、きっかけがあれば誰もが意見を持っていると感じました。しかし、子育てに関わる意見は社会に伝わりにくいのだと思います。子どもが生まれるとお母さん達は大忙し、子どもはどんどん大きくなって、子育て世代は入れ替わります。

 

その声を拾い集めて、社会に反映する。

定点で関わる私たちにはその役割があるのだと思います。

文責:遠藤みゆ

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フリーペーパー「となりのとなり」に寄稿

三陸の新しいを発信するローカルメディア「となりのとなり」は、東北地方の三陸沿岸部の動きを発信するフリーペーパーです。今回の「となりのとなり」はNPOや住民活動を紹介しており、その中の「子どもとコミュニティ」という連載ページに当団体の神林が記事を寄稿しました。

 

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記事では「ふるさとの原風景はみち遊び」というテーマで、子どもの遊びの現状やエピソード、冒険遊び場の紹介をしています。

 

東日本大震災後に子どもの心のケアを旗印に開所した冒険遊び場では、子どもの生きにくさが見えてきました。「子ども一人ひとりに対して社会が変化していく環境づくりが必要」と神林は冒頭で訴えます。

 

記事に書かれていますが、現代は少子化と言われますが、子どもから見れば大人の多大化と言えます。昭和30年代は大人2人に対して子どもは1人。平成26年は大人6人に対して子どもが1人の比率です。かつては行政サービスが乏しかったものの、地域にはおせっかいな大人がいて、家族以外の大人に優しくされたり、怒られたり、見守られて、子どもは育っていきました。ところが、近年子どもに対して大人が増えたために、子どもを監視し注意する目が多くなっています。

 

「知らない大人には話しかけてはいけない」という社会に変わりつつあり、通学路は「道草禁止」もしくは「車での移動」などが一般的になっています。子どもを監視・管理しなければ親の責任問題、子どもと地域が関わりにくい状況です。

 

そこで神林は「みち」に注目しました。子どもを中心に地域の人と人とが繋がり、多世代が日常的に関わることのできるのが「みち」です。

 

先日もみち遊びのイベントで遊び場を開きましたが、子どもがみちで遊ぶと、道行く人が立ち止まり、言葉を交わしたり遊ぶ子どもを見守ったりと、コミュニケーションが生まれます。地域と子どもを考えた時、「みち」から見える解決策があるのではないでしょうか。

 

「となりのとなり」にはそんな記事を載せていただきました。

 

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文責:遠藤みゆ

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静岡県「NPO法人ゆめ・まち・ねっと」視察・研修

2017年4月5日~4月8日の4日間、当団体の神林・廣川・塩田・遠藤の4名が静岡県富士市にあるNPO法人ゆめ・まち・ねっとで視察・研修を行いました。

 

【なぜ静岡へ・・・?】

プレーワーカーズでは今年度、一軒家を借りて子どもの居場所づくりの事業を始めます。これまで当団体は、プレーカーによる移動型の遊び場を開いてきました。しかし、いじめ・引きこもり・不登校といった生きづらさを抱える子どもに出会うなか、定点で子どもと関わり、その姿や浮かび上がる社会の問題を大人へ発信することが必要だと考えました。

 

そんな私たちの拠点事業のモデルとなっているのが静岡県富士市で活動している“NPO法人ゆめ・まち・ねっと”の「おもしろ荘」です。

 

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【“NPO法人ゆめ・まち・ねっと”とは?】

NPO法人ゆめ・まち・ねっとは、子どもの遊び場や若者の居場所づくりの活動を始めて13年目を迎える団体です。子どもが放課後に立ち寄って駄菓子を食べたりマンガを読んだり自由に過ごせる「おもしろ荘」、そのおもしろ荘でお金の有無関係なく皆でご飯を食べる「こども食堂」、子どもが外で自由に遊べる「冒険遊び場たごっこパーク」、大人の学び場「子育て勉強会ワンコインゼミ」など、ご夫婦2人で多くの事業を運営しています。

 

「たっちゃん」「みっきぃ」の愛称で呼ばれる2人にお話を伺うと、どの事業も出会った子どもに合わせて生み出されたものでした。

 

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【1日目 おもしろ荘】

おもしろ荘に私たちが到着した時、一番に耳に飛び込んできたのは、カードゲームの歓声と、ホラー映像の「お分かりいただけただろうか…」のナレーションでした。一体どんな部屋なのだろうと覗いてみると、ボードゲームとマンガ本と駄菓子がひしめく、小さな一室。見上げると、子どもが作ったプラモデルが何体も宙づりになって、その周りに活動写真が貼り巡らされていました。老舗のラーメン屋のような、使い込まれて落ち着く、そんな雰囲気の空間です。

 

部屋に入ると、自動的に人の輪の中に入るような距離感。カードゲームで遊んでいた子ども達が、研修初日で少しそわそわしている私たちを誘ってくれました。どこから来たのかも、名前も、年齢も、何も聞かれず進んでいくゲーム。ルールが変わったり、順番がおかしくなったりしても、みんなが笑い飛ばすなら、それもアリ。

 

学校や家庭とは違って枠組みのない空間は、子どもに沿って変化していくような気がしました。だから枠組みに収まりにくい子どもにとっても、居心地良い場所になるのだと思います。

 

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【2日目 0円こども食堂】

おもしろ荘で週に1回開かれる子ども食堂。この日は食材の調達から始まりました。活動に賛同する企業・フードバンク・直売店から食材を譲り受けるために、車で各所をまわります。受け取った量によって保護シェルターや児童養護施設に配ることもあるそうです。

 

こうして集まった食材を料理するのは、みっきぃとボランティアたち。この日は料理店を営むボランティアが担当で、アンコウ汁とお惣菜、丁寧に仕込んで焼いたアユが次々と盛り付けられます。主食はみっきぃ直伝、天かすとだし汁を和えたホクホクのご飯。デザートは焼きバナナとイチゴ、ボランティアの女性が作ってきたミカンの砂糖漬け、ホイップを添えて豪華な一皿。

「今日は豪華だねぇ」

なんて言いながら盛り付けます。

 

キッチンの隣の部屋では、子どもたちが遊んでいます。

「食べる人は?」

とみっきぃが尋ねると、意外にも「わたしいらなーい」という子が多かったです。

子ども食堂目当てではなく、ただ遊んでゆっくりしたい。放課後の暗くなるまでのわずかな時間ですが、その子たちにとっては大事な時間なのでしょう。

 

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【3日目 子育て勉強会ワンコインゼミ】

季節・時事に合わせたテーマや講演会後の報告など、お題を変えて行う“子育て勉強会ワンコインゼミ”に参加しました。テーマは「五月病」。入園・入学で大きく環境の変わる春、新しい環境に慣れた頃なぜだか気力がわかない…そんな5月を迎える前にとのことで選ばれたテーマでした。

 

児童精神科医田中康雄先生の『支援から共生への道』という本の一部を読み合わせしながら、それぞれの体験をもとに内容を深めて理解していきます。一人でこの本を読んだとしたら、ほとんどの内容が頭に残らずに終わっていたでしょう。みんなで読み合わせて、たっちゃんの解説や補足があったから、自分の中に落とし込むことが出来たように思います。

 

また人数にも工夫があり、定員を設けることで、少人数にしています。そうすることで、発言がしやすくなり、個人的なエピソードも言いやすい雰囲気になります。

 

数ある研修、講演会、専門書、分かったつもりで終わるものが多いですが、勉強会を開くことで、主催者側も勉強になるのは利点です。

 

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【4日目 冒険遊び場たごっこパーク】

朝から雨模様のたごっこパーク。たっちゃんとみっきぃが倉庫から次々と道具を出します。タープ、たき火用の半割りドラム缶、イス、看板…。

1番乗りは常連の女の子。私たちが到着した時には、2人と一緒に準備していました。水道の場所を教えてくれたり、さりげなくたき火の灰を捨てに行っていたり、動きはまさにベテランスタッフ。

 

たき火を囲んでおしゃべりしているうちに、また一人常連が加わり、2時間ほどずっとおしゃべり。雨が打ち付けるタープの下、たき火を囲んでゆったりとした時間が流れていました。

 

私たちはお昼頃に視察・研修を終え、たごっこパークを後にしましたが、その後も写真付きでメッセージが送られてきて、雨のなか何人もの常連が訪れていたようです。

 

 

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【視察・研修を通して感じた、ぶれない芯】

たっちゃん・みっきぃの活動の芯は、常に出会った子ども・若者。“その子”のために何ができるか、実行するために何が必要かを考えていました。

 

2人のもとには集めているわけではないのに、なぜか生きづらさを抱えた子どもが集まってきます。障がいを抱えていたり、ネグレクトを受けていたり、ダブルルーツだったり。社会の中に“おもしろ荘”や“たごっこパーク”のような場所がいっぱいあれば、集まって来ないのでは?そう考えると、生きづらさを抱える子ども・若者の居場所がどれだけ少ないかを思い知らされます。

 

今後、私たちは宮城県名取市気仙沼市で2つの拠点事業を始めます。たっちゃん・みっきぃに頂いた沢山の学びを生かして、子どもの居場所になれるよう、活動していきたいと思います。


文責:遠藤みゆ

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気仙沼市子ども・子育て会議 ~言葉は世の中を変える!?~

2017年3月23日、宮城県気仙沼市の市役所ワンテン大ホールで「気仙沼市子ども・子育て会議」が開かれ、当団体の神林が出席しました。また、遠藤も一般広聴で参加しました。この会議には学校長や、児童養護施設・幼稚園・保育所有識者や経験者、一般公募で選ばれた方が委員として出席し、気仙沼市の子ども・子育てに関する現状や施策について話し合われました。

 

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【統計で見る気仙沼市の子どもの環境】

最初に示されたのは、気仙沼市における子どもの現状統計。それによると、気仙沼市合計特殊出生率平成27年の1.31から平成28年は1.50にアップしました。しかし、人口のうち0~5歳はこの10年で約1200人減少しているそうです。それに伴い、保育園に入園する子どもが少なくなり、人数が集まらないために閉園された施設もありました。また、小規模保育所は統廃合が検討されています。

 

一方で、待機児童は依然として減っていません。0~2歳の低年齢の保育を希望する親御さんが増えていますが、低年齢は保育士1人が保育できる子どもの数が少ないうえ、保育できる保育園が少ない事が課題になっています。

 

気仙沼市では現在、児童館と認定子ども園、図書館と児童センターがそれぞれ一体となる施設や学童保育センターの建設が進められています。新しい施設に期待が寄せられるなか、保育士不足などの課題もあるようです。市では、「子育て支援事業等人材育成事業」として、国のカリキュラムに基づいて基本研修と地域型保育ができる人材を育てる研修を企画しています。保育士と同等にはならないものの、支援員として保育に携わる人員を確保するねらいがあるようです。

 

会議の中、低年齢を預ける人が増えているという話を受けて、共働きをしなければ子どもを育てるのが難しい家庭が増えている現状が表れているのではないかと思いました。また、子育ての相談を受ける地域の窓口をしている委員から、

「実感として、震災後は発達障害の疑いのある“育てにくい子ども”が増えている。『育てたくない』と訴える親御さんもいる。」

という意見があり、震災が子育てに落とす影と、親御さんの苦悩が感じられました。

 



【子どもの環境を変えるために私たちが出来ること】

神林は限られた時間の中でしたが、子ども子育ての環境を変えるために質問をいくつも投げかけました。

 

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「認定子ども園化の進め方の中に“地域の方々に相談しながら早期整備”とありますが、”地域”とはどういった人達を指すのでしょうか。具体的にどう地域と相談していくのでしょうか。また、早期に進めると地域とのスピードにズレが生じる恐れがあるため、慎重に進める必要があります。」

 

気仙沼市は利用者支援事業の基本型+母子保健型を進めていますよね。この資料冒頭に“身近な場所で、地域の子ども・子育て支援事業等の情報提供並びに子育てに関する相談・助言等を行うとともに、関係機関との連絡調整等を実施する事業”と書いていますが、今後特定型を検討するのでしょうか?それとも身近な場所に向けてなにか進めているのでしょうか。子育て世帯の声を聴くと、利用しにくいとの声を聞きます。より身近な場所に向けて考える必要があるのではないでしょうか。」

 

「利用者支援事業の評価の仕方は利用人数だけで図れるものではないため、生の声が見えてくるような評価の仕方を検討する必要があります。」

 

「新しく建設する児童センターでは子育て支援拠点事業が始まりますね。ただ、すでに市内では”すくすくハウス”という民間で運営している子育て支援拠点がありますが、そこに対しては予算なども含めてどうお考えですか。」

 

子育て支援拠点事業と子育て支援業務は別の言葉だと思います。事業になるのであれば対応できる予算が必要になります。そのため事業と業務の話は丁寧に話し合わなければいけません。“事業”と“業務”の言葉の重さは違うのだと思います。」

私は傍聴席から会議を見て、プレーワーカーズの活動の中で出会った、児童館職員や保育士、お母さん達から聞いた言葉を行政に反映させるチャンスはここなのか、と思いました。会議が終わってから、担当部署の職員が「意見を言ってくれてありがとう」と言っているのを見ました。市役所の窓口で行政への意見を言うだけでなく、現場の環境を変えるためにも施策をつくる会議で発言していく必要がある、そう実感しました。

 

 しかし、意見を反映していくには、会議の中でも難しさがあることに気づきました。

 

 

【子育て世代の声を議論のテーブルに!】

気仙沼市の利用者支援事業を行っている場所は、遊び場に来るお母さんから「飲食ができないから利用しにくい」との声を聞いていました。利用しやすさを左右する要因は、飲食できるスペースがない、入りにくい雰囲気、職員の話しやすさなどいくつか考えられます。

 

神林が子育て世帯の”身近な場所”にするためにどのような対応をしているのか尋ねた質問に対し、いくつかの具体例のうち、

「入口を駐車場に面したところに新設しました」

という回答がありました。健康管理センターとして多くの機能がある建物内に利用者支援事業を行っている部屋があります。様々な方が出入りする入口だったので、入ることに抵抗を感じる方がいたようです。それを改善するため、利用者支援事業を行っている部屋に駐車場から直接入れる入口をつくりました。確かに、子どもを連れて移動する際は車を使うため、利用しやすくなりそうです。

 

しかし、お母さんが子育てに悩んだ時に相談しやすい環境というのは、入口の新設でつくれるものなのでしょうか。少なくとも私たちが出会うお母さんたちの利用のしにくさは、別の部分にあります。

 

遊び場で聞く子どもやお母さん達の声には”身近な場所”にしていくヒントが多く含まれています。それらの意見を話し合いのテーブルに出して議論していくことが”身近な場所”にしていくには必要なのではないでしょうか。

 

【おわりに】

私たちプレイワーカー(遊びを通して子どもに関わる専門職)は、子どもの代弁者と言われています。遊び場では子どもも大人も自然体で過ごすことができます。ゆっくりと私たちが関わるなかで、子どもや大人たちの本音を聞くことがあります。その声をキャッチして話し合いの場所に出していくこと、それが代弁者と呼ばれる所以だと、今回の会議を見ていて思いました。また、その役目を果たすためには、社会の動きに常にアンテナを張る必要があると感じました。


参考として、次の日の三陸新報に掲載された「子ども子育て会議」の記事を載せます。ぜひご覧ください。

 文責:遠藤みゆ

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1番楽しい復興公営住宅

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石巻市新蛇田地区というところに大きな復興公営住宅群が建ち並んでいます。

 

その中央にある公園で、プレーワーカーズは、NPO法人にじいろクレヨンと共に遊び場づくりを行ってきました。

2016年3月の活動で丸1年間やってきたことになります。

 

こういう復興支援活動というのは、必ず成果が求められます。

 

・何人の参加があったか

・参加者の気持ちの変化はあったか

 

などなど。

これも大事なことです。

 

しかし、子どもの遊びって何より「楽しい」が1番ですよね。

 

1年間継続してきたら、「楽しい」遊び場になってきました。

 

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 ハンモックでゆらゆら楽しい!

かと思いきや、子どもたちのおしゃべりスポット&ゲームスポットになっています。

 

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 「それ以上は、こわいよーー!!」

 

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君の 前前前世界 ……

何故か折り紙の裏に映画「君の名は」の主題歌の歌詞を書く2人

 

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音楽行進隊

当日の雰囲気を音で伝えられないのが、もったいないですが、公園中を練り歩いていました。

トップの写真もそれです。

 

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最後は足湯。

やるよねー。って、やるのか!?

気づいたら子どもたちだけで穴掘って足湯作っていました。

 

コレ、1日の出来事です。

これまでも色んなことをして遊びました。

 

 

 

いや、でもね。

1番楽しい復興公営住宅って書いたけど、みなさんはどう思いますか?

写真を見て、「すごく楽しそう!」って思いましたか?

それとも、「もっともっと楽しいことあるのにな」って思いましたか?

 

ココが、遊ぶ環境として“かわいそう”な場所でもダメですが、“楽園のよう”でも哀しいですよね。

 遊び育つ社会を目指して行くためには、「こんなことぐらいフツーだよね」って言ってもらわなければいけないのです。

 

まだまだですね。

 

文責:廣川和紀

 

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