アソビのタネ

子どもがいるならどこでも「もっと楽しく」「もっとのびのびと」「もっと安心して」いられる現場づくりでの実践を記していきます。

室内の遊び環境づくり 住田町役場にて遊び場 

2017年12月10日に岩手県住田町で行われた、「メリークリスミタ」というイベントで遊び場を開きました。地元のまちづくりに関わる団体が集まって企画し、クリスマスを迎える住田町を盛り上げようと第4回目の開催になるそうです。

 

住田町では、まちや世田米駅で定期的に移動型遊び場プレーカーによる遊び場を開いており、今回はそのつながりから「メリークリスミタ」で遊び場を開くことになりました。

プレーカーで会場に到着すると…
巨大な木造建築に圧倒されました。

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会場は住田町役場の入口を入ってすぐの交流スペースでした。巨大な木の柱は天井には接していない不思議な構造です。大正琴やバンドの音楽がステージで生演奏されるなか、子どもの遊ぶ声がこのホールに響きました。

 

今回は環境づくりを考えさせられた遊び場でした。

●室内の遊び場

外の遊び場であれば水や火、生えている木や地形をつかって遊ぶこともあります。外遊びは、水や空気の温かい冷たい、石や木のザラザラ・つるつる、風のふわふわ、様々な感覚が刺激されて、「あれもやりたい」「これやってみよう」と、連続して遊びが生まれます。

しかし、今回は室内。
野外のように、無限の素材がそこにあるわけでなく、持ち込んだ有限の素材とそこにいる人で遊びが生まれるとするなら…なにを持ち込んでどうやって遊ぼう?といつも以上に悩みました。

でも子どもが「やりたい」と思う事が、その子にとって遊びになるので、その気持ちを刺激する素材を用意しようと思いました。

●持ち込んだものたち
子どもが形を変えられるもの、工作台は幅広い年齢の子どもがじっくり遊びました。

乳幼児「ぺたぺたしたいの~」

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小学校 中~高学年「がっつり作りこみたい!」

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粘土を置いてみると、なにやら精巧な細工に熱中する子が!

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ボードゲームは、知らない子同士が関わるきっかけになるみたいです。

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将棋は初対面のお父さんと子どもが遊ぶ場面も。

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こんな感じで様々な素材を配置していきました。

●自由の空気をつくる“人”
しかし、遊ぶための素材も大事ですが、ピリピリしている雰囲気におもちゃが置いてあっても、のびのび遊べません。
「あそぼ~、まじめにしなくて大丈夫だよ~」
と心を自由にできる空気をつくる“人”が一番重要だと思います。

ということでプレイワーカーは自由の空気をつくるために、自分も遊びます。

今回イチオシの遊びは、麻布で裁縫遊びでした。プラスチックの縫い針を見つけ、いつもは切って使うだけの麻布を縫い合わせてみました。
それを見た女の子の一人が、「やりたい!」と言い、2人で黙々と作り始めました。

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私はビー玉をしまう袋、その子はミニサイズの服を作りました。作っている間、最近はまっていること、学校のこと、友達のこと、いろんな会話をした気がします。その時間は、その子にとってどんな時間になったのでしょう。

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限られた環境だとしても、子どもにとって豊かな環境は考えることができると思いました。

「空き家、空地、ひと部屋…このスペース子どものために使えないかな?」

そんな時は、ぜひプレーワーカーズへご相談ください。

遠藤みゆ

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一般社団法人プレーワーカーズ 

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完成しない遊具づくり

2017年10月16日~10月21日

岩手県野田村にある障がい児デイサービス施設「ピーターズキッズ」での遊具づくりプロジェクト第2弾が行われました。

 

この6日間の工期を持って、完成させるものは!!

 

柱と山のみ。

 

実は、順調に作業が進んだため、4日目にはほぼ完成していました。

しかし、子どもから出た言葉は、

「いつ完成するの?」

「何ができるの??」

でした。

 

今回のブログでは、そもそも何を作ったのか、どんな意図でこんなデザインになったのかについて、書こうと思っています。

そして、次回のブログでは、作業工程中に起きた出来事を元に、「みんなでつくる園庭」というテーマで書いてみたいと思っています。

 

●初回案「ハックの」

複合型のすべり台を作った後の子どもたちの動きの様子や遊び方を見て、当初は「ドーム型のハンモック」や「つり橋」、「車いすでも遊びやすいもの」があると良いなと言われていました。しかし、それをそのまま作ってしまうと遊び方、遊ぶ子どもが固定されてしまうと思いました。

 

そこで、提案したのが、「林」の様な環境です。

決まった形の遊具ではなく、自然環境を生み出したいと考えました。

自然を生み出すなんて、神しかできませんから、人工物らしくない偶然性が必要でした。

「ココは、つり橋ゾーンです。」なんていう意図が伝わらないほうがいい。

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で、考えたのがこの形です。

真上から見ると「ハックの」になっていますね。(NPO法人ハックの家運営の施設のため)

ふざけているようにしか見えませんね。

 でも、柱がたくさんあるだけで、遊びが大きく展開していきます。

今回のプロジェクトを前にそのおもしろさだけでも分かってもらおうと、デモンストレーションをしていました。

 

●ロープ遊具の発展性

写真は、昨年作ったすべり台の柱を利用して遊んだ様子です。

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「ロープが遊び道具になるなんて思いつきもしなかった。」By施設長

 

色々な遊び方ができるのがロープ遊具のおもしろさです。 f:id:playworkers:20171127170113j:plain

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●小屋づくり、基地づくり

夏の長期休みを利用して遊びに行ったときには、廃材を使って、小屋?基地?のようなものを作りました。

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この時は、土台になる部分を僕たちが作り始めましたが、柱となる木がたくさんあって、材料と工具さえあれば、子どもたちが自由に作っていくと思います。

立派な秘密基地ができあがるかもしれませんし、大人の目からは理解できないカタチで終わるかもしれません。

でも、結果何ができるかではなく、子どもたちが自由に作り変えができるというところにおもしろさがあると思っています。

 

●デザインの変更

このように、柱に加え、ロープや廃材など、子どもや職員が自由に使える道具があるだけでも十分におもしろくなると僕らは信じているので、そんな環境だけを一緒に作れたらいいなと思い、提案をしていました。

その後、打ち合わせを進める中で、活発に動き回れる子どもだけではなくて、普段は室内からほとんど出ない子が外に興味を持つ何かはないかというお願いを受けました。

 

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●外に近づく工夫

 

おもしろさを伝える時に

「さぁ!外で遊ぼう!」「コレ、おもしろいよ!」

という言葉のサジェストで乗ってくる子もいますが、

おもしろそうな光景に出会うこともその子の「やってみたい」を引き出すことにつながります。

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室内から望む光景の中に「おもしろそうだな」と思う瞬間があれば、行ってみたくなるものです。

僕らは、そこまでの動線を近づける工夫をしました。

 

●室内からウッドデッキ、そして地面、山へと続く

 今、外で遊ぶには、玄関で靴を履き、ぐるりと回って園庭にでなければなりません。

なので、室内から園庭が見えるとはいえ、ちょっと距離が遠いなと感じます。

「おもしろそう!やってみたい!!」

は、ぐるりの間に落ち着いてしまっているかもしれません。

 そこで、室内から外に直結できるように、ウッドデッキを作ることにしました。

そうすれば、少々歩くのが大変だって、コロコロと外に出やすくなるかもしれない。

そうして、ウッドデッキに出て、外をのんびり眺めていると、元気に走り回れる子どもたちがロープや柱、すべり台などを使って遊んでいます。

今よりその様子が近くで見られるようになったら、「おもしろそうだな。混ざりたいな」と思うのではないか。そんな風に想像しました。

さらに言うと、ウッドデッキは、スロープになっていて、そのまま外に直結していれば、心の動くままに外に飛び出していくこともできると考えました。

 

●築山という名の土の山

ウッドデッキ、スロープを経て、外に出ると、土の山があります。

普通、「築山」というと、しっかりと地固めされ、土管が中に入っていたり、キレイに養生した芝生が植えてあったりするのを想像するかもしれません。

でも、そういうのは、嫌でした。

目指すのは、園庭の起伏。

歩く練習やちょっと高いところに立つ練習。そんなことも、運動機能の発達、改善には必要だったりします。

しかし、急に、幅の狭い平均台を用意されても、怖いし、おもしろくもありません。

だったら、そもそも地面が平らでなかったらいいのでは?

そう考えました。

はじめは、築山のように高い山にしますが、それも、子どもたちが移動させたり、掘ったり、盛ったりする中で、環境が変化していくといいと思っています。

まさに、タイトルの通り完成しない遊具づくりの一例です。

 

 ●完成イメージ

このような提案や打ち合わせを繰り返し、イメージを共有するためにラフ図を作成しました。

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 ●そして、10月の第1工程でできたものは

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遠くから見れば見るほど、いつ完成なんだろう?と不思議に思う光景ですね。

10月の工程では、ひとまずこれで完成です。

きっとこれから遊び込んでいくうちにもっともっと面白くなっていくでしょう。

 

 

 

 

 

 

面瀬地区の動き~認定子ども園整備~

気仙沼市面瀬地区では、当団体事務局長の神林が面瀬のまちづくり協議会アドバイザーを務めています。9月6日には「認定子ども園」をテーマにした、「第2回面瀬まちづくり会議」が行われ、神林・遠藤は、テーブルファシリテーターとして会議に出席しました。

その様子が掲載された「面瀬みらい新聞 第9号」が11月に発行されました。

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記事によると、面瀬地区は0~2歳の低年齢児を預けられる施設の整備は長年の課題であり、祖父母が働いている家庭も多く、受け入れ体制の整備が求められています。近年では共働きによって低年齢児保育のニーズが増加し、希望する保育所に入れずに待機児童が発生している状況にあります。

まちづくり会議では「保育施設だけでなく公園も不足している」など、子どもを育てる環境にも課題があるといった声が聞かれました。

 

また、「鶴巻2区自治会誕生」という記事もあるように、防災集団移転・公営住宅入居によって140世帯もの新しい住民が面瀬に移転しました。プレーワーカーズが支援する「面瀬川ふれあい農園」は、新しい住民とのコミュニティの場として遊び場・農園づくりをしてきました。

 

面瀬地区は大きな変化の時期にあります。この時期に関われていることを好機として、子どもにとってより良い環境づくりをしていきたいと思います。

 

遠藤みゆ

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子どもがつどう遊具 in面瀬川ふれあい農園

2017年11月18日(土)~19日(日)の2日間、面瀬川ふれあい農園で2日間連続の遊び場を開きました。

休耕田を地域の子どものために開放していた面瀬川ふれあい農園ですが、農地には様々な制限があります。しかし、今年の夏に土地の登録を変更し、遊具を設置できるようになりました。今回は連続開催の中で子どもと一緒に遊具をつくりました。

 

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連続開催の前日。木材を運び込み、1カ月間プレーワーカーズにインターンに来ているダン君と一緒に柱を立てました。遠くから柱の傾き具合を見て、ゆがみを直す作業が一番大変でした。数センチ単位で微調整です。

 

準備しながら天気予報を見ると、土曜日は雨、日曜日は極寒の予報。天候が一番不安な連続開催でした。

 

【1日目 たくさんの手によって、すべり台完成!】

遊び場が始まる2時間前から準備していると、いつもの電動カートがゴトゴトと鳴りながら地主さんが遊び場に来ました。

「手伝おうか?」

と言って、木材を上にあげたり、ビスを手渡してくれたりしました。

「昔は重い物も持てたのに、身体が動かなくなってしまった」

そう言いながら、子どものために出来ることをしようとする、強い想いのある方です。

 

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仲間と一緒にすべり台をつくることはあっても、自分が主導で作ることは初めての今回。試行錯誤しながら作っていると、今度は地元の宮大工さんが遊び場に来ました。

「おお!すごいもの作っているね、棟梁!でも、これじゃあダメだね、ここが曲がっている。」

本職の大工さんが加わり、どんどんと作業が進みます。直角をはかり間違ったところは、宮大工さんの手によって、ぴっちり修正されました。

 

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そこに、地元の子ども達が来ます。

「うえ!?なにこれ?なにしてるの?」

「なにして遊ぼう?」

「一緒につくってもいいの?」

まずは上に登れるようにしようと、子どもたちはハシゴを作ることにしたようです。

 

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どこまでで完成というものはないのですが、気が付いたら“初すべり”されていました。

 

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この遊び場は常にスタッフが居るわけではないので、台の上に柵を付けます。

「せっかくならカッコイイ柵がいい!」

ということでジクザクにしてみたり、屋根みたいな柵にしたところ、完全にサザエさんのエンディングのような…デジャヴな形になりました。

 

雨予報だったので、すべり台作りができないのでは、と思っていましたが、結局ほとんど降らずに暖かい日でした。

 

【2日目 子どもが集う、遊ぶ、ぶつかる】

 

2日目は天気予報通りの極寒の朝にもかかわらず、朝から子どもが集まり始めました。

 

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中には、両手に木の枝を持ってくる子どもも居ました。

「今日寒いから使うと思って!」

 

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ありがたく熱々野菜スープと焼き芋に使わせてもらいました。

 

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暖をとって、ごはんを作って食べて、遊ぶ。
この日の面瀬川ふれあい農園は、“遊ぶ”だけでなく、“暮らし生きる”場所になっていました。

 

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すべり台づくりのワクワクがひと段落すると、子ども達はゆっくりと遊び始めます。

ボール遊びをしたり、ウクレレを弾いてオリジナルソングを作ったり、のこぎり1本で丸太切りに挑戦したり。

 

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気仙沼市内から集まった子どもたちは、知り合いも初めて会う子も様々。2日目は場所と人に慣れてきて、いろんな表情を見せてくれました。そうした時間にじわじわと見えてくるのが、子ども達の個性でした。

 

学校では問題児とされているらしい子どもは、話していると空想が混じり始めます。

「あの子の手袋を探しているんだけど知ってる?」と聞くと、

「知ってるよ。こっちだよ。ここにあったんだ。スコップで穴を掘ったら手袋があって、僕が隠したんだけど、さっき鳥がくわえて森の方に飛んで行っちゃったんだ。」

結局、手袋はリュックから見つかりました。

 

この子の話している表情はごく自然で、普段からこんな話し方なのかもしれません。一緒に来た友達以外とはほとんど遊んでいませんでした。しかし、遊び場では“問題児”だとは思えませんでした。

 

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ある子どもは、何度か年下の子を泣かせてトラブルを起こしていました。

その度に「こいつが悪いんだ!」と言います。原因を聞けば、遊んでいたビニールハウスのドアをこいつが閉めた、おれのリュックを触った、など遊んでいれば起こりそうなことばかりです。相手を突き飛ばし、怪我をさせそうになった理由が、「カードゲームのレアカードに傷がつくとレートが下がるから」というのは本当に驚きました。

 

本人はカッとなりやすい性格だと言っていましたが、そうなってしまった原因はどこにあるのだろうと思いました。

 

そんな気になる子どもが居るなか、「気にならない子ども」に寄り添えていたのか、振り返ることは尽きません。

 

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のべ50人ほどが遊びに来た2日間連続開催。

初雪が降る中、子どもは急ぎ足でそれぞれ帰って行きました。

その背中を見送りながら、今後も面瀬川ふれあい農園でプレイワーカーとして現場に立ちたいと思いました。

 

 遠藤みゆ

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子育て支援スキルアップ研修を開きましたin気仙沼

2017年11月13日に気仙沼市のワンテン庁舎で「子育て支援スキルアップ研修」を開催しました。秋晴れで穏やかに明るい日差しの中、児童館・保育所の職員や、子どもに関わるNPO職員、子育て中の親御さん、のべ48名が参加しました。

 

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午前・午後の二部構成で、午前は児童健全育成推進財団の阿南健太郎さんをお招きして講演会、午後は当団体の神林がプレイワークの研修を行いました。

【午前:子どもの育ちを支援する専門職の存在】

阿南さんがマイクを持つと、会場の空気がやわらかくなります。

はじめに阿南さんは

「まずは周りの3人の方とコミュニケーションをとってください」

と言いました。目が合ったらハイタッチやお辞儀、握手、会場に笑い声が響きました。

 

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子どもと大人ではなく、まずは“人と人”がコミュニケーションをとるって、どういうことなんだろう?何かが繋がるってどんな瞬間なんだろう?

マニュアル化した笑顔で子どもと関わるのは違う。子どもは大人の行動・人間性・雰囲気、そのままの大人を見てくる。

 

そんなお話からスタートしました。

 

写真を使ったワークでは、日常の子どもの情景を考えました。子どもは日常でいろんなことが起こります。家では見せない姿を子どもは私たちの前で見せているかもしれません。

その子が何を考えているのだろう?と考えるのが私たちの仕事の価値だと阿南さんは仰りました

 

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地域と家庭の繋がりが希薄になっている現在、子育て支援は充実してきましたが、子どもの環境の困難さは増しています。「切れ目のない支援」が子どもには必要と言われますが、現状はどうでしょうか。

 

就学前・就学後・中学校・高校の段階、家庭の事情で学童をやめた子が居場所を求めて児童館に行くようになった場合の連携ができているかなど、様々な切れ目が見えてきます。

「この会場にも“切れ目”はあるかもしれないですね」

と言われ、ドキっとした方もいたかもしれません。

 

子どもが虐待されたり、学校に行かなくなったり、気になる子どもは支援の手が入りやすいです。しかし、私たちが注意すべきなのは「今、課題がない子」だと阿南さんは言います。

今課題がなくても、明日課題が生まれて転落するかもしれないからです。

たしかに仕事で子どもに関わると、気になる子どもに目が行きがちで、スタッフ間の話も気になる子どもの話に偏ることが多いかもしれません。

 

このことは、子どもの権利条約に含まれている、well-beingの考え方に繋がっていると思いました。well-beingの意味として「困っている人に支援するのではなく、すべての人が、よりよくなるように支援する」と言われても分かりにくいかもしれません。しかし、「課題のない子」も見つめてみよう、というのは日々現場に立っている職員が意識すれば、すぐ実践できるのではないかと思います。

 

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子育て支援の制度は充実してきていますが、「人を救うのは制度ではない、人です」と阿南さんは強く言いました。児童館や保育所のスタッフは、子どもの環境の一部として大きな位置にあるのですが、その価値を自覚している人は少ないかもしれません。

 

ただ子どもと遊ぶ人、世話する人ではなく、子どもへ向けるまなざしや日々の関わりは、「その子どもに影響を与える環境のひとつ」です。その専門性を自覚する必要があると思いました。

 

かける言葉、提供しているサービスなど、子ども時代の影響はその人の一生に関わります。子どもに姿を見られているからこそ関わる大人は、自分がどうあるべきか、自分に問うて自分を高めるのが大事なのだそうです。

 

阿南さんは会場に問いかけました。

「あなたは幸せですか?」

 

 

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幸せでない大人は子どもに幸せを与えることはできません。

子どもと共に育つことができるのが、私たちの仕事の魅力でもある。

子どもにとっていい影響のある大人で居たいと願い続けてほしい。

 

そんな言葉で午前は締めくくられました。

仕事というより、人生観など“本当の豊かさ”を改めて考えさせられる講演でした。

 

【午後:プレイワーク「子どもの遊ぶ世界を感じる」】
午後は当団体事務局長の神林がプレイワーク研修を行いました。昨年も12月に子育て支援関係者を対象にプレイワーク研修を行いました。今日参加した方で、昨年も来てくれた方もいました。

 

昨年の研修の様子↓

playworkers.hateblo.jp

 

今回は、昨年2月に受けたイギリス研修写真も合わせて、新しい内容の研修を行いました。

壊れたマネキンや廃車が置かれたイギリスの遊び場の写真、見知らぬ人同士が遊ぶ広場の卓球台の写真、狩った動物の頭が隣にある子どもの日常の写真。

 

同じ子どもでも、置かれている状況や過ごす環境がまったく違うので、会場がどよめいていました。しかし、神林が事例やデータで伝える劣悪な子どもの環境は、外国の話ではなく自分たちの町の話です。

 

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子どもにとって遊ぶことは生きること、と私たちは考えています。でも参加者は“遊び”をどう捉えているのでしょうか?

「子どもの遊びを食べ物に例えると?」という質問では各グループで様々な答えが飛び出しました。

 

お菓子!好きなのを選べる。

バナナ!お腹いっぱいに溜まってエネルギーになる。

3個中1個はずれのあるガム!喧嘩するかもしれないし、楽しいかも、どきどき。

わたぱち!いつはじけるか分からない。

お寿司!おいしいけど、ちょっとワサビがききすぎる時もある。

豚汁!あったかいし、栄養がいいし、眠くなる。

 

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遊びってドキドキわくわく、あったかくて満足する、そんなイメージを共有した後、今の子どもの状況を振り返ってみました。ゲームやお金のかかる遊び、消費型玩具があふれる世の中。子どもはお金がかからず豊かに遊べるはずなのに、なぜかお金で遊びを買っていることが多いようです。

 

遊ぶ権利は「子どもの権利条約」で定められ、子どもが生まれながらに持つ権利です。

子どもの権利条約に定められている4つの柱(生きる権利、守られる権利、育つ権利、参加する権利)と、子どもに悪い影響をもたらしている社会の動向を共有したあと、子どもの権利のエピソードをもとにしたディスカッションを行いました。

 

午後の後半に入ると、聞くだけではだんだん疲れてくるので、体を動かすワークも多く入れました。

 

お絵かきワーク。人によっては、絵を描いて発表することに苦手意識を持つ方も多いと思います。大人がプログラムを組む時、子どもによっては「やりたくないなぁ」「苦手だなぁ」と思うことがあります。その状態で参加させ、嫌な気分になるのは”空間のいじめ”とも言えます。そのため、大人はプログラムを組む場合に、子どもを主体にする工夫と配慮をしなければいけません。

 

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子どもは遊ぶ力があります。プログラムを作ること、消費型玩具を与えること、大人は与えているようで奪っていることもあるかもしれません。

 

遊びの支援ワーク。遊ぶ役と、遊びを邪魔する役になって遊んでみました。

 

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数分遊んでみると…

遊ぶ役「煩わしい!」「自分の好きにしたいのに!」

邪魔する役「あなたのためを想ってアドバイスしたのに」「こうした方がキレイな絵になると思って言ったのに!」

 

同じようなことは、もしかしたら子どもと関わる時に起きている可能性もあります。

 

次は遊ぶ役と寄り添う役に分かれてもう一度。

遊ぶ役は同じように遊びますが、寄り添う役は今度は遊びを見守ります。

 

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「やったーーーーーー!!」

ワークショップのはずが、本気の喜びの声が上がりました。

先ほどは邪魔されて積めなかったペンタワー。

 

“寄り添う”というのは難しい言葉ですが、子どもは本来遊ぶ力を持っているので、その子の主体性を邪魔しないことが重要なようです。

 

【研修を終えて】

私たちの研修は、子どもの遊びの感覚を思い出したり、体験したりするワークがたくさんあります。座って資料を見ているだけでは、子どもの感覚を理解することは難しいので、ワークを通してその感覚を伝えたいと思っています。

 

参加者の1人は、「子どもの時の感覚って意外と忘れていました。けど、思い出せたことで、その感覚が自分の中にあったことが分かってよかった」という声が聞かれました。

 

子どもの感覚を持って子どもの側に立つ仲間が増えることはとても嬉しいことです。

その感覚を知りたい!プレーワーカーズの研修を受けてみたい!方はぜひお気軽にご相談ください。
→ info@playworkers.org

 

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気仙沼市社協、初の子どものためのイベント主催

2017年11月5日、気仙沼市社会福祉協議会が子どものためのイベント「こどもわくわく広場」を開催しました。

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“子ども”を対象にイベントを主催するのは初めてとのことで、当団体は企画の段階から関わらせていただきました。

子どものためのイベントなのだから、子どもが主体になって過ごせるスペースが必要だと考え、遊び場のスペースは会場の半分を占めるほど、大きくとっていただきました。

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会場が駐車場だったので、木材を持ち込み、即席のすべり台をつくりました。


高いところが好きな子は何度も上に上がっていました。
暗いところが好きな子は、すべり台の下に小さな部屋をつくり、中でゆっくり汁物を食べていました。
登るのが好きな子は、力いっぱいすべり台からよじ登っていました。

「これじゃ、すべり台ではなく、登り台!?」
そう言って笑いながら登っていました。

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すべり台は子どもと一緒に作りかえて、どんどん形が変わっていきました。

また、段ボールや木材など、子どもが加工できる素材と道具を用意しました。
気が付けば、大きな家ができていました。

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そして、のんびりできる空間をつくるために、芝生やこたつを敷きました。
初対面のお父さんと子どもが将棋していました。

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普段は普通の駐車場がこの日は子どもの声であふれていました。

これをきっかけに気仙沼市社会福祉協議会と繋がることができました。
今後の企画もあるようで、これからも”気仙沼の子ども”について共に考えて行けたらと思います。


遠藤みゆ

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一般社団法人プレーワーカーズ 

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放課後児童クラブ×プレイワーク

秋晴れの暖かい祝日、当団体の神林と遠藤は埼玉県上尾市の子どもの城公園にて遊び場を開きました。

 

「第35回あげおこどもまつり」

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プレーカーによる移動型遊び場ですが、今回は参加するスタッフの研修という目的のある遊び場でした。規模は大きく、約1800人が来場しました。

 

依頼をくださったのは、NPO法人ハンズオン埼玉の西川正さん。

 

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放課後児童クラブの運営に携わる中で、放課後児童クラブに プレイワーク を取り入れられたら、もっと子どもにとっていい環境になると考えたそうです。

★プレイワークとは

1980 年代に生まれ、イギリス・ドイツなどで広く定着している、子どもの遊びに関わる大人の専門スキルです。子どもは大人がいなくても、自らが遊ぶ力を持っているものです。しかし、近年の子どもを取り巻く時間、空間、仲間環境のもとでは、子どもは本来の力を発揮しづらくなっています。プレイワーク「その力を発揮し、いきいきと遊ぶことのできる環境をつくること」です。子どもへの関わり方(言葉のかけ方、関わる関わらないのタイミング)、遊具・道具・素材の選び方や配置、導線の考え方、土・水・木等の自然環境の生かし方などなど、プレイワークは奥深いスキルです。

 

現場のスタッフは、感覚的に プレイワーク に近い考えを持って働く方もいますが、その意味を言葉で保護者等に伝えることができていないそうです。

 

西川さんは、

「放課後児童クラブは大人の都合で子どもが預けられるところだけど、”放課後”って課されたものから解放された後って意味なんだから、子ども都合の時間が必要だよね」

と言います。

 

そんな子ども主体の、価値ある時間を任されている放課後児童クラブのスタッフは、「ただ世話をして遊んであげる人」ではないはず。

 

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しかし、子どもが余暇を過ごし、遊んだりのんびりしたりする時間の価値を、説明する言葉を持ち合わせておらず、スタッフ自身もその価値を理解しないまま子どもに関わっている現状があるようです。

 

今回は、研修とは言ってもワークや座学ではなく、子どもが主役である遊び場で、プレイワーカーと共に過ごし、気づきを持ち帰っていただきました。

 

ある児童指導員は、

「自分は子どもを自由にさせてきたつもりだったけど、もっと考えることがあるかもしれない」

と話してくださいました。

 

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私たちはその土地にいる人間ではないので、イベントが終われば、この土地を去ります。しかし、子どもの日常に関わる大人が何か気づきを得られたとしたら、1日だけの遊び場であっても、行く意味は大きいと思いました。

 

また、西川さんが私たちを呼んだ理由に、東日本大震災を経て、厳しい環境に置かれた子どもに向き合ってきた経験があるという理由があります。

 

遊び場を開いて1日過ごしてみると、言葉や行動が荒々しいストレスの感じられる子どもや親、気になる子ども達が何人も見られました。

 

子どもの生きづらさは、被災地よりも深刻なのではないかと疑うほどです。

 

その危機感を共有するためにも、西川さんはプレーカーを呼んでくださったのだと思います。

 

今後は、放課後児童クラブのスタッフ向けの研修を継続する予定です。共働き増加に比例して放課後児童クラブに通う子どもが増えている今、そこに プレイワーク が浸透し、子どもが主体で過ごす時間が増えていってほしいと思います。

 
当団体のプレイワーク研修について↓

playworkers.org


遠藤みゆ

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