子どもの時間を区切ること
どんなイベントにも「終わりの時間」があります。
この日も、とある遊び場に「終わりの時間」が来ました。遊び場をひらいたスタッフ達が「終わりだよ、片付けよう」と呼びかけます。工作した後のノコギリ・トンカチや木材が片付けられていく中で、工作台に残る一人の子どもが呟いた言葉に衝撃を受けました。
「人生終わった…」
私はその言葉を冗談だと思いつつも、心配になって近づきました。
するとその子は「クソスタッフのせいで…」などの言葉をぶつぶつ呟いていました。
ひどく絶望しているので、私が話を聞いてみると、どうやら作っていたイスが完成しないまま「終わりの時間」が来てしまったようでした。
子どもだけで遊ぶならば「終わりの時間」は子どもが決めることができます。「やーめた」と言って帰りたい者は帰り、「もう少し遊びたい!」とまだ帰りたくない者は遊ぶことができます。
大人が企画するイベントではそれが難しいのです。場所を借りている場合や、親御さんの元に帰らせる時間が決まっている場合など、イベント自体に終わりの時間があるからです。
今回の子どもの言葉には、大人が子どもに関わり、子どもの時間を区切ってしまうことの怖さがありました。しかし、イベントをすることが悪いのではありません。その怖さを知らないことが悪いことなのです。
子どもには「子どもの時間」があります。
時間の使い方を自分で決められれば、その子はその子らしく居ることができます。
企画する時に「子どもの時間」を保障する意識があれば、そのイベントは子どもにとって心地よく過ごせる場所になるだけでなく、参加する大人にも「子どもの時間」を考える良いきっかけになるかもしれません。そのきっかけによって、イベント中だけでなく日々の子どもの環境が良くなっていく可能性があります。
私たちは、子ども自身が何をするのか選べる遊びの時間を保障していきたいのです。