亀が森冒険遊び場②
前回は、やっと振り返る気持ちになったことを書きました。今回は、きちんと振り返りをしてみたいと思います。
【開催までの想い】
亀が森地元有志の会で初年度に作成した報告書より、代表を務める阿部正樹さんの文章を引用します。彼の声と行動がなかったら、この活動は始まっていませんでした。
大震災の後、日常生活が失われ、非日常の状態が続きました。大川小学校の不幸な出来事は僕にとっては大きな衝撃で、自分に何ができるかを考えるようになりました。
徐々に生活が落ち着きを取り戻す中で、子ども達の環境の事が気になりました。町には見知らぬ大人が増え、避難所の子ども達は遊ぶ場所もなく、その親にとっても子どものストレスを持て余す状況があると感じました。そこで、以前から親交の深い仙台の団体(西公園プレーパークの会)に相談し、可能な範囲で、継続可能な遊び場作りに取り組むことにしました。
その遊び場は、まず○「安心」で「安全」で「日常」の遊び場であること、を第一に考えました。安心=見守る大人がいる事、安全=目一杯遊んでもケガをさせないこと、日常=子ども達が自分で来れる場所・一度きりのイベントでなく継続してできること、ということです。
そしてその遊び場は、○自由に遊べること。僕たちが子ども達を癒すことはできませんが、子ども達には遊びを通して自らを癒す力があると信じています。だからこそ可能な限り禁止事項のない遊び場にしたいと思いました。
そしてその遊び場では、○地元の子と移り住んできた子が一緒に遊べる場であってほしい、という願いもありました。
亀が森公園はそうした点から、格好の場所でした。自然が豊かで遊びが広がる、学校も幼稚園も近い身近な場所、僕自身も子どもの頃遊んだ場所でもあります。そこで、地域の方々にご相談の上、亀が森神社・公園を使った遊び場作りを始めました。
いつかここが、子ども達の大切な居場所となることを願っています。
亀が森地元有志の会
【年譜と活動】
・2011.3.11 東日本大震災
・2011.5.8 亀が森公園現地視察
・2011.6.5 第1回亀が森公園で遊んでみよう会開催(プレオープン)
・12月まで「遊んでみよう会」の形で月1回の定期開催を続ける
・遊具の点検、草取り作業などの環境整備をする
・獅子舞、バームクーヘン、もちつきなどの企画も実施
・2012年春から「亀が森冒険遊び場」として定期開催スタート
【あそび】
プレオープンの時は、けん玉やコマ、フリスビー、ボールなどを持っていき、どんな遊び方ができるのか試してみました。斜面ばかりの公園なので、安全面も考慮しながら地形を生かした遊び方ができないか考えたのをよく覚えています。
その後、流しそうめんなどのイベントを企画したり、移動動物園や獅子舞など外部からの催しを呼んだりしつつ、子ども達は、自由に好きなように遊んでいました。
子どもの遊びは名前がつけられないようなものばかりですが、大人が企画して行ったことや子ども達が始めたおもしろい遊びを、あえて思いつく限り列挙してみようと思います。
○大人の企画、用意した環境編
流しそうめん・工作・バームクーヘン・落ち葉の風呂・ギター・絵具・プール・ウォータースライダー・もちつき・獅子舞・太鼓・移動動物園・カフェ・バルーン・旗づくり・看板作り・草刈り・階段土盛り・ハロウィン仮装・綿菓子・かき氷・べっこうあめ・こたつ・たたみ・自然薯堀・焚火・プレーカー・せんべい・こいのぼり・シャボン玉・本・絵本・フリーマーケット・ジャグリング・竹・ブルーシート・ダンボール・ロープ・ベンチづくり・すべり台など既存遊具・・・・(きっとまだあると思いますが、思いつく限り)
○子ども達が始めたおもしろい遊び編
鬼ごっこ・水遊び・ボール遊び・サッカー・野球・お絵かき・山探検・秘密基地づくり・バトミントンコートづくり・割りばしキャンプファイヤー・ポケモン言えるかなライブ・お笑いライブ・虫採り・ダンボール家づくり・ブルーシート家づくり・ロープで木登り・カードゲーム・DSなど・商店街巡り(ハロウィンお菓子集め)・ピザ・カレー・ホットケーキ・でたらめ料理・・・(やっぱり文字にするとつまらないですね。)
初年度から子ども達を見ていて感じるのは、モノやヒトを遊び道具として消費する遊び方から、やりたいことを生み出すようになってきたことです。
特に、ヒト(大人)を遊び道具として消費する遊び方についてはずいぶん考えました。被災地では学生やボランティアの方々がたくさん来てくれました。亀が森も例外ではなく、毎回子ども達と遊んでくれました。と同時に遊ばれる姿もたくさん見ました。
震災直後で子ども達も多大なストレスを抱えているという状況での子どもの行動。私自身まだこれの是非を語れるほど整理できていませんが、亀が森の5年間を見てみると、これを乗り越えて、今の穏やかな日常があるのではないかなと感じます。
最近では、自宅から材料を持ってきて料理をする子や「~~したいから~~が欲しい」と言う子などが多く、大人がお膳立てしなくても楽しめる環境になってきました。
次回は、これからの亀が森について考えてみたいと思います。
文責:廣川和紀