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アソビのタネ

子どもがいるならどこでも「もっと楽しく」「もっとのびのびと」「もっと安心して」いられる現場づくりでの実践を記していきます。

私たちのまいてる“遊びのたね”

講演・シンポジウム

プレーカー事業から学ぶ『遊びのたねを届けるということ』

日時:2016年6月16日(木) 19:00~21:00

会場:武蔵浦和コミュニティセンター第7集会室

 

子どもたちがのびのび遊べるまちをつくるために活動している「たねの会」に招かれ、当団体事務局長 神林俊一が埼玉県で東日本大震災後のプレーカーの役割を伝える講演会を行いました。震災後の5年間でプレーカー3台の合計走行距離は約20万キロ。地球5周分の距離で抱いてきた大切にしている部分とは…?

 

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プレーパークとプレーカーは、同じ子どもの遊び場づくりをしていますが、役割が少し違います。子どもの発想で自由に遊べる環境をつくること、参加無料、登録なし、対象年齢は0~100歳という部分は共通しています。しかし、場所が決まって定期的に開園するプレーパークと違い、ほとんどは数時間~数日という限られた時間で単発開催するのがプレーカーの遊び場です。

 

プレーカーは、子どもと長い期間向き合えない分、そこに居る大人の意識を変えていく役割を持っています。そのためにプレーカーの遊び場で大切にしていることを講演の中でお伝えしました。

 

1. プレーワークを届ける

プレーカーは遊び場づくりを勧めるつもりはありません。子どものまわりの大人がプレーワークを通して、子どもの見守り方をよりよく変えていくことを目的としています。大人が変われば、子どもの環境は変わります。

 

2. どんな相手でも一度は関わる

子どもの利益ではなく、大人の利益のためにプレーカーの依頼が来る場合があります。それでも私たちは、一度は会って話します。話すと企画者の考えが変わる場合があるからです。町のために子どものイベントをしようとしていたと気づき、その後子どものために町のイベントをするようになることもあるのです。

 

3. 専門家でないとできない遊び場づくりはしない

私たちは地域の住民ではないので、ずっと関わることはできません。そのため、地元の人が「私たちにも出来そう!」と思える方法で、遊び場を開きます。例えば、広い公園ではなくても、小さい空き地で遊び場が開けることを伝えたり、お金をかけなくても遊び場ができる方法などを提案します。

 

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4. 地域独特の文化により添う

地域はそれぞれ文化をもっています。ある地域の成功例も、別の地域には当てはまらないこともしばしば。遊び場をつくりたい、と立ちあがる地域住民の中でも、考えの違いは生まれます。「子どもの環境を良くしたい」という共通の軸を確認しながら、地域に合った方法を一緒に考えます。

 

5. 地域で手に入る素材を使う

プレーカーが帰った後も遊べるように地元で手に入る素材を使用します。山のある地域なら、地元の木材や木の実を使って山で遊べます。海のある地域なら、貝殻、流木を使って海で遊べます。プレーカーの中身よりも豊な素材はたくさんあります。

 

6. 遊び場づくりは子どもがきてから

遊び場を開く時、子どもと一緒に準備をします。大人が用意した遊び場を押し付けてしまうと、イスの場所ひとつ変えるにも「動かしていいですか?」と聞いてきたり、動かしてはいけない空気になってしまいます。遊び場を子どものものにするために、遊び場をつくり過ぎません。

 

7. 火・水・工具が使えなくても大丈夫

場所によっては、火や水や工具が使えない場合があります。しかし、それらがなくても、子どもは遊ぶ力を持っています。

 

8. 子どもにとって、ケの日の遊びを

お祭りや行事といった非日常をハレの日、普段の生活や日常ケの日といいますが、プレーカーは子どもにとってケの日の遊び、普段の遊びの延長を目指して遊び場を開いています。だから遊びを提供するのではなく、子どもが遊びをつくりあげるのを待ちます。

 

遊びを通して子どもを見つめ、大人と関わる、プレーワーク。この技術は様々な場面で生かされます。遊びは東日本大震災後の子どもの心を癒し、遊び場で見せる素の表情が子どもの生きにくい環境を浮き彫りにしました。「災害にせよ、子どもを取り巻く環境にせよ、東北で起きたことは埼玉でも起き得ること」と伝え、講演会は締めくくられました。

 

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講演後のディスカッションもとても興味深いものでした。

・思い出を作りたがるイベントがある。大人の産業によってつくられた消費される遊びが多い。本来子どもの「やりたい」気持ちが遊びなのに…。

・ハレの日もケの日もバランスが大切。両方必要だが、子どもの遊びはイベント形式が多く、日常の遊びを保障されることが限りなく少ない。

・街を消毒するまちづくり。怪しいところ、危険なところ、無駄なところを無くしていくまちづくりが進んでいる。

 

ふと、参加者の1人が

「ケさえもつくるのか...」

と呟きました。

隙間のないまちづくりが行われた場合、子どもの日常の遊びをも保障する必要がでてきているのか、と衝撃を受けたようです。

 

そして、

「まちづくりの領域に、プレーカーのような矢がささると、何かが大きく変わっていける予感があります。」

というコメントをいただき、プレーワークの可能性を感じた様子でした。

 

今後東北では震災後のまちづくりが本格化していきます。東北に限らず、子どもの声をまちづくりに反映していくには、プレーカーがまいている「あそびのタネ」、プレーワークが生かされて欲しいと思います。そして子どもが生きやすい社会になっていくことを願うばかりです。