アソビのタネ

子どもがいるならどこでも「もっと楽しく」「もっとのびのびと」「もっと安心して」いられる現場づくりでの実践を記していきます。

子どものまち・いしのまき2016 vol.2

子どものまち・いしのまき2016が開催されました!!

 

日時:2016年10月1日(土)~10月2日(日)

場所:石巻市橋通り界隈

 当団体理事 廣川和紀(かずき)が子どものまち・いしのまき実行委員会の事務局長を務めました。

 

★当日の様子

1日、2日合わせて1200人もの来場者でにぎわい楽しいイベントとなりました。

 

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当の子どもたちも遊んだり、仕事したり、店長として指示を出したりなどそれぞれ楽しんでいるようでした。当日、急に明るく話す子や職人のようにひたすら仕事に打ち込む子など楽しみ方も様々です。例のカジノは、高学年、中学生たちのたまり場になっていました。店長の仕事をさぼって遊びに来たり、他の店では働かずにずっとカジノで稼ぎ続けたりする子も現れてきました。

 

こんな記述をした時点で、「いいのか?それで」と疑問に思う人もいるかもしれないので、念のために補足しておきます。おそらく、その疑問は、「仕事体験のイベントなのに働かなくていいのか?」や「お店や他の子に迷惑をかけているのではないか?」などのようなことではないでしょうか。

 

しかし、僕は思います。それは、先回りしすぎた要らぬ不安だと。コツコツ働いて食べ物を買ったり、買い物を楽しむのも一つの過ごし方ですが、そうでない過ごし方、生き方を選ぶのも自由です。本当はいつだって子ども本人が主役であるはずです。しかし、それが日常の中で叶っていないことがあまりに多いからこのイベントがあるのだと思います。そして、子ども社会の中でのトラブルや人間関係についても子どもたちの中で解決していきます。

 

なんと、今年はじめて裁判所ができました。

 

★銀行が破産!?

実際、トラブルは起こりました。カジノでずっと稼ぎ続けた子が、換金してもらおうと銀行にやってきました。しかし、その金額が桁違い…。アルバイトは20分で3マキーくらいで、たこやきなどを買うのにも1つ3マキーくらいが相場ですが、彼の手持ちは800マキー!!

マキーは、軽石に色を塗ったものです。銀行にもそんなに在庫はありませんでした。

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 「お金が下せないのはおかしい」、「カジノの配当金が高すぎる」、「カジノは悪いことしてない」などといったやりとりが続いた後、「じゃあ、裁判だ!」となり、「換金ができない銀行を訴える」という裁判が開かれることになりました。

 

★話し合いの末

銀行は仕事が忙しいこともあり、裁判官が原告とカジノ店長の話を聞き始めました。そして、「カジノの配当金をなぜ銀行が出すのか」という矛盾に気付き始めたのです。

 

子どものまち・いしのまきの遊び方の仕組みは、お店で働いたら、パスポートにハンコを押してもらい、そのパスポートを銀行に持っていくと給料としてマキーが手元に渡るというシステムでした。

 

カジノの配当は、売り上げの中からやりくりするものなのか、それとも給料のように銀行からもらうものなのか。そして、他のお店も売り上げからアルバイトを雇うのか、それとも給料は銀行(まち)が負担するものなのか。などといったまちの仕組み自体を考え直さなければいけないことが見えてきました。

 

結果、裁判という形ではなく、カジノ側が、一度に賭けられる金額を押さえることにしていました。

 

★子どもが主役

例の裁判に限らず、子どものまちの中では、子どもたちのやりとりに疑問が湧くこともありますし、アドバイスしたくもなります。

 

「こうすればいいんじゃないかな」「この方が良くなると思うよ」「それはどうかな」

 

しかし、そこをグッと我慢したときに、普段いかに子どもたちの主体性を奪っていたか気づくことになるのではないでしょうか。

実際、大人が思っていたように上手くいかないかもしれません。そのせいで、お客さんを待たせたり、不手際があったり、トラブルが起こるかもしれません。

 

それは、イベントをつくっている身としてはとても怖いことです。どうせなら笑って終わりたいし、どうせならみんなが満足した形にしたいし、どうせならいいイベントだねって言われたいです。でも、本当に子どもが主役のまちを目指すのならば、その恐怖と戦って、、

 

違いますね。子どもを信じて見守りたいと思っています。

 

★自律し、自立する

子どもに対して、「自由にしていいよ」というメッセージ、態度を取り続けていると結果として、子どもたちは自律するようになります。つまり、自分で考えて、自分で決めてという状態のこと。誰かに決められた決まりを守るのではなくて、自分で判断し、律していくことができるようになるのだと思います。

 

反対に「あれもこれもダメ」と制限をかけていると、「~してもいいですか?」と他人に決めてもらうようになり、それはやがて、「あなたがいいと言ったのに失敗した」というような責任転嫁につながる可能性さえあります。

 

自律は自立するための目的です。自立した個人は協力し合うことができます。

それこそが、子どものまちをやる目的であり、子どものまちの評価軸でもあると僕は考えています。

 

★子どもから学ぶ

長く、そして小難しくなってしまいました。最後に言いたいのは、実は大人の方がよっぽど自立状態から遠い人が多いと思っています。自分たちが暮らしやすいように、楽しく過ごせるように、ルールや仕組みについて話し合って、他人の意見も尊重しながら決めていく。子どものまちをつくる過程で見られる子どもたちのチカラ、それを大人も学び、自分たちの社会に活かしていけるといいと思います。

 

 

子どものまち・いしのまきを通じて、大人たちによる子どもへの視点が変わることを願って。

 

廣川和紀(かずき)

 

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