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アソビのタネ

子どもがいるならどこでも「もっと楽しく」「もっとのびのびと」「もっと安心して」いられる現場づくりでの実践を記していきます。

気仙沼市長と座談会「気仙沼の『子育て論』」

2017年1月1日発行の「広報けせんぬま」に、新春座談会「気仙沼の『子育て論』」の様子が掲載されました!これは市長とおよそ2時間もじっくり「子ども」について話せるという、またとない機会でした。

 

宮城県気仙沼市の子育て世代包括支援センター「すこやか」で行われた座談会には、当団体事務局長の神林、子育て中のママさん、託児付き美容室を経営されている方など、気仙沼市の子どもに関わるメンバーが集まり、菅原市長と共に座談会を行いました。 子ども支援に尽力する団体がたくさんある中で、4人という限られた参加者に神林が選ばれたことは、震災後の5年間気仙沼市に移住して活動してきた成果だったと言えます。

 

気仙沼市は、人口減少などの課題に直面し、「子育てにやさしいまち」を目指して動きだしています。「子育て」というテーマは気仙沼市で昨年最も盛り上がったテーマのひとつだったため、今回の座談会のテーマになりました。子どもの環境を変えられるチャンスでもあります。

 

新年を迎え1年のスタートを切る今、子どもの環境が変わるようにと動き出した気仙沼市の一助となり、行政に反映されることを期待して、今の子どもの現状を伝えました。

 

 

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( この記事の一番下に「広報けせんぬま」の実際の記事があります。)

 

子育て中の悩みや、働いている間の託児、病児保育や医療体制など、子どもを育てる大人側の意見はみなさんが発言してくださっていたので、神林は子ども側の意見を発言しました。

 

 

【子ども時代の遊びが人口流出をくいとめる!?】

菅原市長の共感を得られたのは「子ども時代の原風景」というキーワードでした。

 

座談会のなかで神林はこう発言しました。

気仙沼市は子どもに対しての政策を、民間と行政が話しやすい関係性をつくったうえで議論する必要があると思います。

私は活動の中で大人に『みなさんの故郷の思い出を教えてください』とヒアリングすることがあります。すると、多くの方が子ども時代の遊びのエピソードを話してくださいます。とても楽しかったことや、初めてできた印象強いこと、大人には秘密の少し危ないことなど、子ども時代の記憶は強く残るようです。ですので、故郷の原風景とは子ども時代の遊びにあると考えています。

 

子ども時代に遊んだ記憶がなければ、”ふるさと意識”も持てず、人口流出はくい止められません。今は全国どこでもやれる遊びが原風景になっています。例えば、ゲーム・カードゲームなどです。 

 

子どもを対象にヒアリングを行ったことがあります。子どもたちが”好きなもの”は、『うるさい大人がいない』『自由なところが欲しい』、”嫌いなもの”は『指導される場所』『ずるい大人』などの声が聞かれました。

 

大人は道や公園(子どもが遊べる場所)を壊します。しかし外で遊びなさいというもの大人です。ゲームをつくるのは大人で、ゲームを禁止するのも大人です。本当は子どもも外でボール遊びをしたり、自由に走りまわりたいのですが、遊べる場所が近くになかったり、遊べるところが車でしか行けなかったりします。子どもからすれば矛盾だらけです。

 

気仙沼市は子どもに対して“こういう環境を目指します”という目標を立てる必要があります。気仙沼独自の宣言または条例が作られれば、なにかクレームがあった時に盾になり、子どもの環境を守ることができます。」

 

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菅原市長はこの発言をうなずきながら聞かれていました。気仙沼市は人口減少・高齢化・若者の流出が大きな課題になっています。進学で高校卒と同時に気仙沼を離れるのは約6割と言われ、就職する人の半数は市外に出るため、2割しか地元に残りません。30歳までには多くの人が戻ってきますが、市外からの転入を含めても、5割ほどまでしかその年齢の人口は回復しないと言われています。

 

人口流出の原因の一つに「子ども時代の遊びの原風景」があると神林はお伝えしました。菅原市長は共感してくださった様子で、子どもの遊び環境を改善したい私たちにとって意味あることでした。

 

そして、菅原市長が仰っていた子ども時代のエピソードはとても印象的でした。

 「小学校の通学路の側に神社があり、その横の森では木からツタが垂れ下がっていました。よくそこに行って、木から木に飛び移るように、ターザンのマネをして遊びました。」

「登るのが難しい石段があり、どれくらい早く登れるかを競ったりしました。何度も登ったので、その段数を覚えています。」

「よく遊んだ神明崎は、日常的に遊んだので楽しいところも危ないところも、すべて知り尽くしています。内湾の神社のまわりはすごく楽しくて、小学校では遊び尽くせないんですよ。」

 

これらのエピソードを聞いて神林は

「かつて菅原市長が遊んだ思い出は、そこに大人はいなくて、子どもが自らやりたい事を自分のタイミングで試行錯誤しながら、いろんな挑戦をしているんですよね。木のつたや石段で遊んだ思い出のなかには、子どもながらに“これは自分で行けるのか”“ここはこうすれば遊べるのかなぁ”と実はかなり高度な実験を繰り返しながら遊んでいるんですよね。」

と話し、参加者もうなずきながら聞いていました。

 

そして「今の子どもは昔のようには遊んでおらず、気仙沼の良さをほかの人に話せるコンテンツを持たないまま大人になっている。それは学校で教えられて身につけるものとも違う」という話がでました。

 

それに対し神林が、

「だからこそ、子どもの遊びも“ハレの日”(お祭りのような日)だけではなく、“ケの日”(普段の日常)の中での遊びが必要です。大人が組んだプログラムではその楽しさは出しにくいです。子どもが自分のタイミングで遊び、挑戦したり実験したりできる時間が必要です。

 

昔は大人がそんな事をやらなくとも子どもは十分に遊べていました。大人よりも子どもが多く、大人も忙しかったため、子どもを常に管理してはいませんでした。子どもは近所の空き地や道路、山や田畑など遊ぶ場所も遊びも選ぶことができました。

 

しかし現在、子どもが少なくなっていることで、大人が子どもを監視・管理・指導する状況が増え、遊ぶ場所があっても禁止看板だらけで制限が多かったり、遊ぶ場所が遠かったり、車でしか行けなかったり、子どもだけでは遊べない環境になっています。日常の遊びをつくると言うのは変な話ですが、大人がその時間をつくらなければ、子どもが遊んで育つことが難しくなっています。」

 と発言すると、菅原市長は「そうかもしれないですね」とうなずきました。

 

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【行政に求めること】

子どもの環境は、現在警鐘がならされています。例えば、神林が発言した次のような状況があります。

 

「これは最近同じ活動をしている仲間から聞いたことですが、いま子どもの筋肉の連動運動が注目されているそうです。例えば、水道の水を出す時に蛇口をひねって、ちょうどいい水量を調節します。つかむ、ひねる、力を調節する。水を出す行動ひとつにもいくつかの筋肉が連動しています。かつては日常の中で連動運動をする場面が多くありました。ところが、自動で流れる水道や自動で開くドアが当たり前になった現在、水道・ドアに限らず、生活の中で連動運動をする機会が減ってきているのです。

 

最近の子どもの体の動きを調べた時があります。市長が仰ったようなターザン遊び、今の子どもの様子をみると、つたやロープに自力で掴まれず、ずるずる落ちてくる子どもが多いです。手で自分の体重を支えられなければ、当然市長が登られたような高い石垣は登れません。また、震災の工事の影響もありますが、車での送り迎えが多く、歩く時間が減っています。そして外を歩いてもあぜ道ではなく、ほとんど舗装されており、でこぼこした道を歩くことも少ないです。そのため骨密度が下がり、骨折しやすいという話を聞きます。

 

この課題に対応するならば、子どもが小さい時、早ければ早い方がいいです。しかし、子どもの遊び育つ環境に関わる活動は、財源を確保することが難しいことが現状です。親・大人達の声は拾う人がいたり、簡単ではありませんが自らの足で行政に届けることができます。一方、子どもの声は拾わなければ伝わらないのですが、拾う人が少なく、子ども自身も発言することは難しいのです。

 

私たちプレーワーカーは子どもの代弁者とも言われます。子どもは状況を大人に伝える言語を持たないため、社会に訴えるのが難しいです。骨折など身体の傷は見えやすいですが、心の傷はみえにくく、子どものSOSは見えにくいものです。そのため大人が注意深く聴く必要があります。しかし、そういった声を聴いたり、伝えるための財源はつきにくい状況です。 

 

もう一つの悩みは、市職員の異動のことです。現在気仙沼市では少子化問題や人口減少の問題を抱えています。それらの問題解決のために、結婚・住居・仕事・育児・子どもの遊びを含むライフサイクルを切れ目なく支援するため、行政と民間が協働して「プロジェクト1.9」という総合的な子育て支援施策に取り組んでいます。

 

民間と行政が連携して動いている中で異動があると、新しい職員との関係づくりから始めなければいけません。NPOとして活動している人は出会う機会が多いので関係はつくりやすいですが、ママサークルなど子育て中のお母さんたちにとっては特に大変です。異動を無くすことは難しいかもしれませんが、引き継ぎなど顔合わせしやすい体制をつくって弾力的に対応してほしいと思います。

 

いま子育て支援は大きく動いています。今後はママサークルやイベントなど、お母さんたちの“やりたい”を支援し、もっと動きやすくなるようにサポートしたいと思います。」

 

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子育て支援と子ども支援は違う】

今回の座談会で伝えた大きなポイントは、「子育て支援と子ども支援は違う」ということでした。

 

プレーワーカーズは昨年も子ども支援を目的として、気仙沼市の子ども家庭課とまちづくり団体、ママサークルの支援をしてきました。それぞれのつなぎ役をしたり、話し合いをセッティングしたりして、子育て支援は議論される機会が多くなってきました。お母さんたちのニーズに合わせた事業が検討されつつあります。一方、子ども支援は議論される機会がとても少ないです。

 

その原因は、「子ども支援と子育て支援は違う」と認識されていない可能性にあるかもしれません。例えば、ファミリーサポートや子育て支援拠点などは、お母さんお父さんの悩みに答えたり、親が働くために子どもを預けたりする制度です。託児施設に遊具を豊富に用意したとしても、支援されるのは大人です。子どもが「帰りたい」と言っても迎えが来なければ帰れません。自由に遊びたくとも、預かっている大人はケガされたり、ものを壊されては困るので、子どもの遊びを制限します。そこに子どもの意思が反映されることは難しいです。

 

もちろん、子育て支援や託児施設は必要ですが、同じくらい直接的な子どもの支援も必要ということです。子どものニーズに合わせ、それこそ菅原市長が仰っていたような豊かな遊びができる環境が必要だと思います。子育て支援と子ども支援がバランスよく実現されると良いと思います。

 

子ども支援をするためには、子どもの声に耳を傾ける必要があります。そして聞いて終わらず、現実に反映しなければいけません。

 

私たちはそのために活動しています。

今回の座談会は子どもの声を気仙沼市に届けられる、貴重な機会でした。

 

菅原市長はこう締めくくりました。

「復興7年目に入って、地方創生はこれからです。新しい総合計画をみなさんとつくることに挑戦したい」

 

気仙沼市は行政と民間が共に活動する機会が増え、意見が反映されるチャンスが多くなっています。いかに子どもの声を届けられるか、私たちも挑戦の1年がまた始まります。

 

遠藤みゆ

 

 

「広報けせんぬま 平成29年1月1日号」の実際の記事はこちら↓

http://www.kesennuma.miyagi.jp/sec/s002/020/010/010/029/290101/20161228103311.html

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