アソビのタネ

子どもがいるならどこでも「もっと楽しく」「もっとのびのびと」「もっと安心して」いられる現場づくりでの実践を記していきます。

冊子well-being完成 -子どもの人権に障がいの有無は関係ない-

2017年5月から月1回程度のペースで開かれた「ハンディっこ座談会」では、障がいを抱えた子どもの親が集まり、日常のエピソードや悩みを話し合ってきました。参加者は移動型遊び場プレーカーで出会った方々、「コミュニティー広場ふぁみりあ」のメンバーが中心でした。「ハンディっこ」とは、この座談会の名前を決める時につくられた言葉で、ハンディキャップを持つ子どものことです。座談会には市の担当者も同席し、生の声を行政に届ける場にもなりました。

この座談会が始まるきっかけは、2016年のこと。当団体の神林は気仙沼市で子どもに関連する座談会活動を始めており、障がいに関する声も取り上げたいと考えていました。そこで、遊び場づくりの活動で関わっている「コミュニティー広場ふぁみりあ」の代表である佐藤さんに相談したところ、「障がいについて話せる場が欲しい」と賛成してくださりました。その後、気仙沼市の担当部局である係長からも賛同を得られ、プレーワーカーズ主催で「ハンディっこ座談会」が実現しました。

 

気仙沼市ではこれまで、障がい児の子育て環境について、当事者と行政が本音で話し合える定期的な場が無かったため、この座談会は新しい試みでした。

 

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【まわりからの視線が痛い】

座談会開催を重ねるにつれ、生活の中の困りごとが浮き彫りになります。「障がい児を育てていると大変そうなのは分かるけど、何が大変なのか具体的には分かっていなかった」ということに気づかされました。

 

・スーパーでちょっとした隙に息子を見失い、見つけたら、商品を床に一直線に並べていた!?

・病院の待合室でじっとしていられず、イスに立ったり、動き回ったり。

・触りたいと思った物には触りに行ってしまう。などなど

 

発達や精神に障害をもつハンディっこの謎の行動エピソードは、話していると笑えますが、その時そばにいる親にとっては気が気でないもの。周りの人の白い目を感じながら、わが子を引きずって退散することもあるようです。

 

身体の障がいでは、車いすや装具(身体障がいを軽減し、立つこと・歩くことをサポートするため装着する福祉用具)を見るまわりの目が痛いという話がありました。言っちゃいけない・見ちゃいけない空気を大人がつくり、近づこうとする子どもを抑えようとする親もいます。

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「子ども時代に健常の子とハンディっこが一緒に居られる場がほしい。お互いの理解のため。」という言葉が印象的です。子どもの時から“障がい”を知っているだけで、偏見は少なくなるはずです。地域や家族といった身近な人の理解を得ることも難しい場合もあり、“障がいというだけで市民権も人権もない”、“影のように生きていくしかない”と話す表情は諦めの色が滲んでいました。

 

 

【ハンディっこにやさしいまちは、赤ちゃん・高齢者にもやさしい】

発達・精神・身体など、障がいは違えど、皆さん口を揃えて言うのは「トイレ問題」でした。身体が不自由だったり、おむつがとれるのが遅かったり、ハンディっこは使えるトイレを探すのも一苦労です。

 

・身障者用のトイレが、まちのどこにあるか分からない!

・ユニバーサルシートがなくてベビーベッドを使う時もあるけど、大抵入口付近にあって大きい子どもが使っているだけでじろじろ見られる。

・お母さんが世話する場合、子どもが女の子だと、女子トイレに入ってできるけれど、男の子で大きくなると障がい者用のところに入らないといけないから大変。

・遠出すると、始終トイレ探し。

 

「トイレ難民」という言葉まで飛びだし、その苦労がうかがえます。

 

障がいの視点から見えてくる、まちの姿があるようです。

砂や砂利道や歩道のない場所は車いすにはつらい。カゴ型のブランコなど、障がいがあっても遊べる遊具がほしい。走っても飛び出しの危険のない遊び場。車いすのままで入れる、エレベーターもしくはスロープのある学校が増えてほしい、などなど。

しかしどの意見も、乳幼児を育てている親や高齢者から聞かれる声に似ています。

トイレ、公園、道、まわりの理解…

障がいに関する意見は少数派と捉えられることもありますが、これから子育てや介護をする人、つまりほとんどの人にとって他人事ではないのだと思います。

 

【子どもの人権に障がいの有無は関係ない】
障がいを持っていても、その子なりに「やりたい」ことがあり、その瞬間を生きています。しかし、「やりたい」を阻む“ハンディ”がたくさん潜む社会に生きています。

 

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冊子well-beingにも掲載しましたが、“ハンディ(ハンディキャップ)”とは社会的不利のこと。障がい者本人に課題があるのではなく、障がい者が暮らすうえで社会の側に課題があることを指しています。


課題を持つ社会の中で、ハンディっこは生活しています。

その生き方についてあるお母さんは、

障がい者は、最後は施設に行くことになる。限られた世界の中でも、自分で楽しみを見つけられるようになって欲しい。それが日々の潤いになる。心が豊かに生きないと、ただ生きているだけでは…。」

と呟きました。

 

子どもが何かを「やりたい」「楽しみたい」と思う気持ちは、障がいがあっても抱く自然なもの。その子を尊重し、人権を守ることに障がいの有無は関係ありません。心豊かに生きられる環境のため、社会の側の課題を無くしたいという想いを込めて、冊子「well-being」は作られました。

冊数に限りがありますが、ご連絡いただければ配布いたします。(送料はご負担願います)
「読んでみたい」

「お店or施設に置きたい!」

という方は、ぜひ下記の連絡先までご連絡いただくか、プレーワーカーズの神林・遠藤のどちらかにお声がけください。

 

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「well-being 一般社団法人プレーワーカーズ情報誌 特別号」

★お出かけしたときに困ったランキング

★周囲にやってもらって嬉しかったことランキング

★こんなときどう思っているの?(耳をふさぐ、大声を出す)

★障がいと向き合うはじめの一歩(同じ保育園の子どもが障がいを抱えている、障がいを持っている子の親にどう声をかければいいの?)

★お互いの声を聴く(ハンディっこのお母さんたちの声、一般の保護者の声)

 

編集・発行:一般社団法人プレーワーカーズ

デザイン・イラスト・校正:種坂奈保子

協力:ふぁみりあ、気仙沼市マザーズホーム、気仙沼ハンディっこ座談会、気仙沼市内の保護者の方々、

発行日:2017年12月18日


遠藤みゆ

 

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