震災のかげ~7年半後の遊び場にて~
遊び場を開いていると、子どもが思わぬ言葉をもらすことがあります。
ある日、海の近くの遊び場で工作をしている時でした。
「僕のお父さんは大工なんだよ」
と1人が言うと、親の職業の話になりました。
その中で、話に入っていなかった女の子が、そっとプレイワーカーに
「私、お父さんいないんだよ。震災の時に流されちゃったんだって。ついでに犬も一緒に。」
と言いました。
ドキッとしましたが、話す表情を見ると、暗くなく本当に普通に話すので、「この子にとってはそれが日常なんだな」と感じました。
ただ、声を小さくして私にだけ言う様子に、簡単には口にできないことだと感じているようで、「そうなんだね」と私も小さい声でうなずいて話を聞きました。
小学校低学年のその子は、震災当時は生まれて間もない頃だったと思います。
震災の記憶はなくとも、震災の傷跡は生活のいたるところに残り、子どもは影響を受け続けているようです。
安心できる住まいや家族、安定した仕事や経済状況、のびのび遊べる公園や道、行事や子ども会を支える地域…今も元に戻らないものがたくさんあります。
7年半経っても根深い影響を感じる東日本大震災。失ったものを小さい子どもは知らないかもしれませんが、大人の不安やストレスを子どもは敏感に感じてしまうようです。
今回聞こえた小さい声は、他にこぼせる場所があったのだろうか?と思うと、その場所で遊び場を開く意味を考えさせられました。
遊び場には、いつ来てもいい、何歳でも遊んでいい、なにをして過ごしてもいい、ゆるい雰囲気があります。そして遊び場の時だけ会う、近すぎず遠くない関係のプレイワーカー。
そんな遊び場だから、モヤモヤしたことを言葉にしてこぼしてみたり、何も言わずガンガン遊んで発散したり、子ども自身で気持ちの整理の仕方を見つけていけるんだろうな、と思いました。
遠藤みゆ
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
一般社団法人プレーワーカーズ
〇プレーカー・プレーワーカーを呼びたい方、
講演・研修・遊び場づくりなど、その他ご相談はこちらへご連絡ください。
info@playworkers.org
〇ご支援のお願い
遊び場づくりの支援や、子どもを取り巻く課題解決のため、ご支援のほど宜しくお願い致します。
http://playworkers.org/donation
〇HPはこちら↓
http://playworkers.org
〇普段の活動の様子が見られる、ブログ「アソビのタネ」はこちら↓
http://playworkers.hateblo.jp
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※