アソビのタネ

子どもがいるならどこでも「もっと楽しく」「もっとのびのびと」「もっと安心して」いられる現場づくりでの実践を記していきます。

お母さん達がつくったプレーパーク

「お母さん達がつくったプレーパーク」

 

東京都大田区にある5丁目公園のプレーパークを訪問しました!

 

5丁目公園では週1回、水曜日にプレーパークを開催しています。公園に着くと、大勢の子どもが走りまわっていました。その横で赤ちゃんを抱いたお母さん同士が立ち話をしています。

 

工作場は地域のおじいさんが見守っています。焚き火は、マシュマロ・サツマイモ・せんべい・ポッキーを焼く子どもが囲んでいます。手づくりの木のシーソーと小さい車は大人気。泥遊びのできる砂場の上にはハンモックがかかり、ブランコのように子どもが揺らして遊んでいます。

 

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このプレーパークの始まりは22年前。この地域の保育園がドロ遊びを勧めており、「小学校にあがった後も子どもにドロ遊びをさせたい!」と思ったお母さん達が公園に集まったのが始まりだと、代表の松田さんは語ります。

 

当時、木が多いこの公園は薄暗く、「子どもだけでは遊ばせられない」と言われていた公園でした。この公園の周囲には小学校が3校あり、子どもが多い地域です。しかしこの地域の公園は、一戸建ての家が取り壊されてつくられたところが多く、せまい公園がほとんど。その中でも広かった公園のひとつがこの5丁目公園でした。

 

松田さんと地域のお母さんたちは大田区にかけあって、22年間遊べる環境をつくり続けてきました。松田さんは心が折れそうになった時もありましたが、新しく入ったプレーリーダーが区とかけあう手伝いをしてくれて、「もう一度頑張ろうという気になった」と言います。

 

現在そのプレーリーダーはいませんが、地域の住民がプレーリーダーとしてその遊び場を運営しています。中学生のボランティアも遊び場のお手伝いをしています。この日もボランティアで来ており、麻の布を木に巻きつけて子どもと秘密基地をつくっていました。

 

この遊び場で印象的だったのは一人のお母さん。1歳の息子がおもちゃの取り合いで負けて泣いて、お母さんのもとにかけよりました。お母さんは笑って、

 

「そっか、負けたのかぁ、次は強くなってるよ。ほら遊んでおいで」

 

と送り出します。男の子はうなずいて、黄色いボールで遊び始めました。

 

そこに突然走って来た子どもが、気づかずにボンと当たって、転んだ男の子はまた大泣き。ママ友とお喋りするお母さんのもとに駆け寄りました。お母さんは笑って、

 

「人生長く生きてるとつらいことが多いよね。ほら、遊んでおいで」

 

とまた送り出します。まわりのお母さん達も応援します。男の子はまたうなずいて遊びに行きました。

 

男の子の顔は涙と鼻水とドロでぐちゃぐちゃ。その子だけでなく、その公園の幼児はみんなそんな顔していました。いくら泣いても、何度も遊びに行く、挑戦しに行く。それはいざとなったら逃げ込めるお母さんの存在が大きいと思います。

 

だからこそ、子どもの気持ちを受け止め、送り出すそのお母さんの言葉はとっても素敵です!

 

こんな素敵な場面が生まれるのも、この公園が親子の居場所になっているから。お母さん達が奮闘してきた22年があったから、生み出された光景なのだと思いました。