アソビのタネ

子どもがいるならどこでも「もっと楽しく」「もっとのびのびと」「もっと安心して」いられる現場づくりでの実践を記していきます。

DAY9・私が思う対応策とafterコロナ~新型コロナで行き場を失った子どもたちの日常を支えてきました~

こんにちは、プレーワーカーズ事務局の廣川和紀です。

 

新型コロナの日本における新規感染者数は、4月15日をピークに下がり続け、6月現在は、3月と同程度の数値になっています。

しかし、ワクチンが開発されていない以上、まだまだ予断は許されない、第2波、第3波が来るかもしれないと言われています。

 

まだ、新規感染者数の数値が上り坂の頃から、afterコロナ、あるいはwithコロナの世界はどう変わるか、ということが盛んに言われていましたが、

特に、経済面での打撃は、世界恐慌以上のものであると言われているので、ビジネスの分野は、どのようにパラダイムシフトが起こっていくのかについて注目が集まっているように感じます。それは、「次に伸びるのは何か。」が株価に影響するからです。

 

個々人の働き方についても、

そもそも、「出勤」という行為がこの先も必要なのかどうかや

「ハンコ文化」は未だに必要なのか、など

これまでは当たり前に行っていたことの見直しがはかられていくと思います。

今回は、zoom会議が象徴的でしたが、技術革新が、無駄を排除し、効率を上げることに役立ちました。

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濡れた洋服を乾かしている。効率は悪いが、楽しそう。

 

地方では、実質的な感染拡大よりも、「人の目」の方が恐怖だったと言われ、

「地域」のメリットである相互扶助よりも、相互監視や思想統制といった面が色濃く出てしまいました。

この先は、一斉自粛ではなく、クラスター対策になってくると思うので、より一層、自分が”出る杭”にならないような生活様式が浸透していくように思われます。

 

また、技術革新と相まって、非接触型の体温計も普及しているので、今後は、体温の高い人は、お店や職場、学校などにも入れなくなるようになっていくかもしれません。

実際に、イオンモールでは、AI顔認証と赤外線カメラによって来店者の体温を測る機械が導入されています。

 

これまで以上に、管理される世の中になりそうです。

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確保。これは、管理ではなく、ハンモックづくりの前に遊んでいる様子

 

一方で、教育の分野においては、オンライン授業が急速に発達しました。

私も、とある大学の一コマをお願いされ、動画撮影をしました。

リアルタイムの講義ではなく、事前に動画を撮影し、学生に視聴してもらう形式だったので、講義をしている側からすると、反応のない1人語りになり、普段の講義や研修よりも、疲れが出てしまいました。

しかし、学生からすれば、好きなタイミングで視聴し、レポートを書けばよいので、通学よりも楽かもしれません。(人によって、講義本数によって違うでしょうが)

 

そもそも大学の学びは、ただ講義を聞いて、正解を探すことにはないので、自分の考えを深めるためのキッカケとしては、動画講義やzoomでの対話・グループディスカッションで代替できることは多いと思います。

 

では、小・中学生の学びはどう変わっていくのでしょうか?

2014年ごろから、日本でもアクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)が広がっています。

それは、この変化の激しい時代において、正解を求めることではなく、自ら課題を見つけて解決する力が必要とされているからです。

このことは、コロナを経験した今、実感しやすくなったのではないでしょうか?

一律に示される「解」が、一億人にとっての「最適解」ではなかったことが明らかになったと思います。

感染症対策においても、自分の年齢、自分の地域、自分の暮らしなどを総合的に判断し、自分の意思で自分の立ち振る舞いを決めることが、何よりも効果的に思えました。

 

私たちは、3月2日から学校が一斉に休校になり、これまで当たり前だと思っていた「学校」というものがない世界を見てきました。

ここからは、この休校期間の3か月に私が感じた、学校を含む、子どもの学びと育ちの環境について書いてみたいと思います。

 

結論から先に書いておくと、

感染症対策のためにも、小さな単位の特定集団をつくり、

基本的には、自由に遊ぶ時間が元にあり、

その遊びから、学習に接続することを大人がサポートする。

というのが、私の個人的な意見です。

 

このことについて、以下の3つの視点から説明していこうと思います。

◆単位を小さくする

◆実感を元に学ぶ

◆自由な時間を多くする

 

 

 

ひとつ目。

≪単位を小さくする≫

一口に学校といっても、数百人規模のところから、数十人、数人のところまであるとは思いますが、特に人数の多いところは、もっと、分散させて小さな集団にしていくのはどうでしょうか?

これは、感染症対策の観点から見れば、万が一感染者が発見されたとしても、感染拡大につながりづらいからです。

また、大きな集団になるとどうしても組織的に判断しなければいけなくなり、自由度が低くなりがちです。意思決定の単位を小さくすればするほど、より、独自性を発揮した活動がしやすくなるのではないでしょうか?

 

例えば、ワークショップなどを企画するときにも、10人グループよりも3人グループにした方が主体的に参加しやすくなります。

それと同じように、小さな集団であれば、地域住民や地域密着の企業も関わりやすくなると思います。

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この写真は、中学校の「お仕事博覧会」という取り組みで、プレーワーカーズの仕事の紹介をしているところですが、

地域でまちづくりをしている人や企業は、その土地の最前線のことを知っています。

 

以前は、まちの中に働く姿が見られ、

「おはよう!」「お帰りー!」などと声を掛けられながら、子どもたちも「働く」というイメージを膨らませることができていましたが、昨今ではほとんどそういった光景もなくなり、コロナ後については、多くの大人がオンライン上でやり取りしてしまうため、大人が働く姿を間近で見ることはより一層できなくなるでしょう。

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しかし、工夫次第で、大人数でなければ大人の仕事場と子どもの学び場を同居させることはできると思います。

例えば、私の場合は、子どもの居場所〇〇を開放しながら、このように、事務仕事もしています。プレーワーカーズの事務仕事は、子どもの遊びに直結することばかりですが、他の違った分野であっても、空いている土地・空いているスペースがあれば、子どもを受け入れて、自由に過ごすことができるようにできないものでしょうか?

もちろん、企業だけでなく、一般家庭でもできるかもしれません。

 

自由な遊びの時間だけでなく、「お勉強」の時間が必要だとしても、このようなスペースに勉強を教えてくれる先生が来てくれれば、あるいは、数人単位でオンライン授業を受けることができる体制があれば、それで十分なのではないでしょうか?

 

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こちらの写真は、鳴子地区の夏休みの取り組みで、地域の大人たちがウォータースライダーを手作りしたり、鳴子温泉のお湯でドラム缶風呂をしたりした様子です。

 

今年度、運動会などの学校行事が中止になっていますが、

地域単位で、大人も子どもも混ざりあって計画を立てれば、自分の責任で自由にイベントを作りあげることができます。「学校」という場所は、行内行事もその価値のひとつだったと思うので、感染症のリスクだけに着目し、勉強以外のベネフィットを排除してしまっていることがとても残念に思います。

 

学校だけに全てを押し付けるのではなく、地域も協力し、一緒に子どもの育ちを考えていければと感じています。

 

 

ふたつ目は、

≪実感を元に学ぶ≫です。

私の場合は、遊び場の中での子どもの様子しか見ていないので、それだけで、子どものすべてを把握しているとは言えないかもしれませんが、自由に遊んでいる中でも、多くの学びが含まれています。

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この屋根の上に乗っかってしまったのは、肩車をしている大学生の靴です。

この直前まで、子どもたちと共に靴飛ばしをして遊んでいました。

一番高く遠くへ飛ばせたのにも関わらず、屋根に乗ってしまったので、靴飛ばしの遊びが中断され、どうやって取ろうか?という試行錯誤の遊びに変化していきました。

 

最終的には、この写真のように、男の子を肩車して取ってもらうという方法で、解決したのですが、その間、終始

「あーでもない、こーでもない」と、みんなでワイワイ、ガヤガヤ話し合っていました。

 

先ほど、紹介した、この先に必要な能力が、自ら課題を見つけて解決する力だとしたら、まさに遊びの中から、答えのない課題が生まれ、解決に至ったとても面白い例だと思います。

このような状況は、遊び場の中では珍しくありません。

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遊んでいる中で、虫を見つけたときもそうです。

 

「何だろうこれ?」と言って、

触ってみたり、突いてみたり、捕まえてみたり、観察してみたり、

こういった何でもないような経験も後々の学びになることがあります。

 

「何だろう?」「面白いね」という実感がないまま、教科書の知識を教え込もうとしても勉強は面白く感じないと思います。

大学の研究や大人になってからの学びにも通じることだと思いますが、不思議だな?と思ったことを調べてみて、納得のいく回答があれば、それだけで面白いと感じますし、もっともっとたくさんのことを知りたくなります。

「情報」に関して言えば、教科書だけではなく、グーグル検索、YouTube検索、インスタ検索などで、充分に賄えますが、実感だけは、自分で経験してみないことには生まれません。

 

なので、最後のひとつは、

≪自由時間を多くする≫です。

今の、子どもたちを取り巻く環境は、その実感を得るための自由でゆっくりした時間が与えられていないことが、とても大きな問題だと思います。

これまで誰も経験したことのない、学校が3か月休校になるという事態を目の当たりにして、改めて感じたのは、学習の機会も重要だが、自由時間とのバランスが悪すぎるということでした。

 

子どもが成長するために必要なことは、食べることと、寝ることと、遊ぶことです。

これは、将来のことを見据えて、ということではなく、生存権の問題です。

学習の機会は、その上に成り立ちます。

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遊ぶための自由な時間、つまり生きるための土台部分がそもそも揺らいでいる状態で、学習機会を保障してもせっかくの取り組みが生きてこないのではないかと危惧しています。

 

だから、今の子どもたちには、たっぷりと遊ぶ時間を返してあげたいと感じています。

 

コロナの前から、子どもたちの放課後時間はどんどん削られていました。

ゆとり教育の方向転換が始まってから、授業時間は増えていきました。

また、宿題や塾や習い事あるいは放課後児童クラブなどによって、本来、「課されたものから放たれた後」であるべき、放課後時間にも、大人から多くのことを課され続けています。

 

afterコロナを見据えて、本当に子どもたちにとって必要な力が身につくような環境づくりと、文部科学省の方針と、実態とが、一貫していません。

 

極端に言えば、これまで、放課後や休日だった時間数くらいを「授業」の時間に充てて、それ以外は、「自由時間」にするくらいの方向転換が必要だと感じました。

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これは、大学生向けに実施した、子どもに関わるボランティアへの講座の様子ですが、

 

普段は、自由にたっぷりと遊ぶ時間を確保しつつ、このように、晴れた日は青空の下、少人数学習の時間をつくるのはどうでしょう。

 

空間的には、空き家、企業オフィスの空きスペース、お寺、神社、公民館、空き地、休耕田などなど、特に地方都市であれば、活用できるスペースはいくらでも確保できるのではないでしょうか?

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その意味でも、子どもの居場所○○は、休校開始の3月2日から、毎日の開放を続け、子どもたちに自由な時間を返してきたと言えます。

 

ただ、私たちができることは、中学校区よりももっともっと小さな地区の子どもたちの日常を支えることだけです。

 

本当ならば、このような寺子屋と遊び場がセットになったような小さな取り組みが、たくさんたくさんあればいいと思っています。

 

 

先日、不動産にお勤めのお父さんから、

「空き家の活用方法についての相談が多いのだけど、プレーワーカーズさんはこのような取り組みをもっと展開しないのですか?」とたずねられました。

 

それに対し、私は、「市民活動として、寄付金をベースに活動しているので、この事業で収益を得ているわけではなく、今の体制が限界だ」ということを話しました。

 

実際、3月から5月までの3か月間は、全く何も保障のないままに子どもたちへの緊急的な支援だと思いやっていたので、6月からは、資金的に毎日開放は難しく、ペースを落としています。

 

まだまだ、遊びの価値が一般化されていない中で、教育でも福祉でもないこの取り組みを維持していくことは、とても困難なことです。

少人数にすればするほど、非効率で、費用対効果も低くなります。

 

それでも私は、この子どもの居場所〇〇という一軒家を開放した取り組みが、afterコロナの時代の子どもの環境を守る最先端の挑戦だと思って、日々活動しています。

 

大きなものに管理されない、小さく自由なコミュニティを増やしていきませんか?

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