アソビのタネ

子どもがいるならどこでも「もっと楽しく」「もっとのびのびと」「もっと安心して」いられる現場づくりでの実践を記していきます。

「コドモノケンリ?守れてないんじゃないの!?」と子どもに怒鳴られました

ドスドスと歩み寄って来て、目の前に突き出された「つうしん」。

「これ、ここのとこ、読んで!!」

「はやく読め!」

常連の女子&男子が怒っているように、鼻息荒く指さしたのは、

「つうしん28号」の「こどものけんり コラム②」でした。

 

これは…おもしろいことになったぞ!

 

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宮城の北部も梅雨入りした7月のはじめ。

雲が薄く張ったやわらかな日差しの中、自転車軍団がすでに入り口で待ち構えていました。

「はやくあけろーーー!!」

「どんだけ待たせるつもりだ!!」

まだ遊び場の始まる時間じゃないんですけど・・・

休みの日の子どもは、なぜだか朝が早いようです。

 

aso-bonの玄関の鍵を開け、プレーパークけせんぬまが今日も始まりました。

ポットに水を入れて電源を差し込み、事務所から倉庫の鍵を取り、ゴミ袋を外に設置し、ノコギリ・トンカチ・スコップ・バケツを倉庫から出して…

朝の準備はとにかく細々とした仕事があります。

そこに「マッチくれ!!!火をおこす!!早く!!!」と耳をつんざく要求。

「はーい、いま出すね〜。」

と答えつつ、マッチを手渡すとすぐに火おこし開始になってしまうので、大急ぎで消防に焚き火をする連絡。

「バケツに水を汲んでからね!」と一言添えてマッチを渡します。

 

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と、とそこに別の子。

「トンカチどこにあるの?」

さっき出したトンカチがもう無くなっています。

トンカチをようやく草むらで見つけると、また別の子。

 

「この部品を木材につけたいけど、どうしたらいいと思う?」

「あー、木が割れないように削る?ナイフ貸そうか」

ナイフは取り扱い注意なので、説明して手渡すと、また別の子。

 

「お湯わいてねーーーじゃん!!!朝飯くってねーの!!カップラ作れないじゃん!!!腹減った!!」

さっき水入れたの、湧くわけないじゃない!!

「えー、じゃあお湯わくまで、いただいたお菓子食べる?」

空腹の子どもは機嫌が悪くなりがちなので、差し入れでいただいたお菓子を活用します。

 

目まぐるしい要求に一通り答えて、玄関に腰をおろして一息ついたその時。

冒頭の2人が「プレーパークけせんぬまつうしん」を目の前に突きつけてきました。

ははーん、何か異議申し立てに来たんだな、と直感。

 

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「はやく読め!」というので、大きな声で読み上げました。

 

「こどものけんりコラム まるに! 第12条 意見を言う権利

心にうかんだ きもちやねがいを おとなに伝える けんりがあるよっ

おとなは ていねいに 向き合うぎむがあるんだ。

子どものねがいを ぜんぶかなえるのは むずかしいけれど、

子どもの声を、おとながむししないのが、大切なんだよ」

 

目線を上げると、

「おい!!こどものけんり?守れてないんじゃないの??」

と、すごんだ顔が見えました。

 

その瞬間、私に湧き起こる嬉しさ。表向きは、いたって冷静につとめて、

「んー?じゃあ、たとえばどんなこと?」

と聞き返しますが、

「知らねーよっ」

と言ってニヤニヤして外に駆け出して行きました。

あー、もう少し話したかったのに、残念。

 

最初から長々と説明しましたが、子どもの声にそれぞれ応えて遊び場の時間は流れていきます。極力応えているつもりですが、プレイワーカーが1人なので、対応しきれない時もあります。そのことを言っているのか、

はたまた、先日要求されたフリーWi-Fiが実現しないから怒っているのか、

それとも、遊び場の外の日常でなにか思い当たることがあるのか、

ただ、私をこづいてみたかっただけなのか。

 

真意はよくわかりません。時間をおいて、1人ずつ「さっきのどういうこと?」と聞いても、「なんでもねーよ」とよく分からない返事でした。

 

でも子どもには権利があると知る、入り口に立ってくれたようです。

文字ばかりの小さなコラムは、読まれているのかもあやしいコーナーでした。

でも2回目の掲載で、この反応。嬉しい兆しです。

 

彼らは、つうしんを書いているのが私だと知っていて、

どういう意味だったんでしょうね〜ホント気になる。

 

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気仙沼には子どもの権利があまり浸透していません。

もちろん、子どもに関わるお仕事をされている方は資格を取る段階で学ばれています。

しかし、保護者や地域の方も含めた子どもに関わる大人たちが、日常生活に落とし込めて、子どもの権利を守れているかというと、あまり浸透されていないように思います。

 

遊び場で呟かれる、「〜がマジつらい」「〜が、いやだぁああ」の声。

家でも学校でも、もらせない本音が見え隠れします。

 

子どもの自殺も不登校も増加していく社会で、

子どもの心や命を守るために、たくさんの大人が知恵をしぼって活動しています。

私は、子ども自身も声をあげることが重要だと思います。子どもが本心を表せないと、子どもが望まない、嬉しくない支援につながる可能性があると思うからです。

 

世界では「子どもの権利」を学校の授業で扱う国もあります。

日本は、子どもの権利条約に批准して2021年で27年になりますが、肝心の子ども自身がその存在を知りません。大多数の大人も知りません。

 

まちを見渡すと、大人の人権も守られていないのではないか、と思うようなこともあります。子どもの権利を学んだ子どもは、大人になっても人権を守る人になるはずです。まわりの人も、自分のも。

誰もが安心して暮らせる社会になっていくはず。

 

今日は、2人の子どもが、その入り口に立ちました。

およそ1年半遊び場に通い、

「あれやりたい」「これやりたい」と情動を揺さぶられて、

言いたいことをバンバン言うようになって、

偶然見かけた知識が背中を押しました。

 

「コドモノケンリ?守れてないんじゃないの!?」

 

そうだよ、守れてないんだよ。

 

私も、守れるように、守る大人を増やせるように頑張るよ。

 

 

白幡みゆ

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