アソビのタネ

子どもがいるならどこでも「もっと楽しく」「もっとのびのびと」「もっと安心して」いられる現場づくりでの実践を記していきます。

遊び場づくりに必要な2つの視点

岩手県山田町にてプレーワーク研修をしました!

日時:2016年6月26日13:00~16:00

場所:岩手県山田町 遊び場予定地

 

山田町では現在、若者と地域住民が立ちあがって子どもの遊び場をつくろうと計画しています。そこで「遊び場を見守る技術を学ぶためにプレーワーク研修を行いたい」と私たちに依頼がありました。遊び場にする予定の場所は、住宅地と小学校にほど近く、林を抜けた先にある山に囲まれた草原です。草原のまわりは小川が流れており、絶好の遊べる環境があります。

 

今日の参加者は、子どもの遊び場をつくろうと計画している地元の住民と岩手県立山田高等学校の生徒、岩手県立大学の学生(復興girls&boys*)、約13人が参加しました。

 

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すべての人に子ども時代はあったはずなのに、大人になってから子どもの遊び場をつくろうとすると、子どもの視点は思い出しにくいものです。今回は研修を通して子どもの遊びの感覚を思い出しながら、遊び場をつくる魅力や危険について考えていただきました。

 

 【ワーク1 豊かな遊びが刺激される要素】

まず、冒険遊び場などの歴史を簡単に説明した後、移動型遊び場「プレーカー」の中身を出しながら何が入っているかを見ていただきました。この山田町の遊び場は草原で、普通の公園のような遊具がありません。子どもってそもそも何があったら遊ぶの??という部分から研修会はスタートしました。

 

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プレーカーの中にはいくつか木箱が入っています。何が入っているんだろう?とドキドキしながら開ける参加者。

 

「アフロでてきた!?」

「わりばしだ(笑)」

「へんなロープ??」

 

中に入っているのは、なんだか分らない、使い方の決められていないものばかりです。一般的なおもちゃでは使い方が制限されてしまいますが、よく分からないものは発想次第で無限に遊べます。しかし、使い方の決まったおもちゃばかりで遊んできた子どもは、よく分からない物で遊ぶのは苦手です。例えば大自然の中に来たとしても、「自然はあるけど、遊具はないの?」と言うかもしれません。そこで、プレーカーには使い方の分かりやすい遊具も積んでいます。

 

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ロープを木にかけて遊んでみたり、アフロをかぶってみたり、ひと通り遊んで子ども心を思い出したところで、続いて実際に遊び場を歩きまわりました。3~4人のチームで遊び場の「魅力ポイント」と「危ないと思うポイント」をそれぞれ探しました。

 

【ワーク2 遊び場の魅力探し】

魅力ポイント

・木の下がいい(陰で昼寝できそう)。

・川、釣りができそう。

・キノコがある。イイ!

・Vの字のくぼみ、隠れて遊べる。

 

 【ワーク3 遊び場におけるリスクマネジメント】

危ないところ

・栗の木の後ろが見えにくい。川や急斜面がある。

・川の土手がやわらかくて落ちそう。川の水が流れ込む、土管に入ったら危ない。

・キノコを食べたら危ない。

・Vの字の溝が、気づかず走っていたら怪我しそう。

 

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上記は一部抜粋ですが、比較して分かるように、魅力ポイントは危ないポイントでもある場合が多いです。しかし無闇に危ないからと言って遊ぶことを禁止することは、子どもの遊ぶ豊かな環境を奪いかねません。

「あそこは危ないです」という意見に対して「そこ、うちのチームでは魅力ポイントだから!」と参加者自身が意見を言う場面もあり、その線引きの難しさは実感できたのではないでしょうか。

 

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そして、今度はチームではなく、個人で遊び場を歩きまわり、自分の居心地の良い場所を探していただきました。

 

【ワーク4 居場所×居心地】

危ないと言っても、やはり小川は人気です。

「水の音が心地良い」「水と緑の組み合わせ、ワクワクする」「足を入れると気持ちいい」

木のまわりも人気でした。

「涼しい」「ハンモックをかけて昼寝したい」「春は実を食べて、秋は栗を食べる!」

また、草原の真ん中がいい!という方も居ました。

「木に囲まれて、鳥の声が聞こえる」「見上げると木の葉っぱが透きとおり、雲が流れていく」

好きな場所も好きなポイントも人それぞれ。自分が好きだからと言って、他の人も好きとは限りません。子どもも大人も同じように好みがあります。ところが、子どもにとって居心地いい空間は大人からは見えづらいものです。

そんな時は子どもに聴くのが一番良いです。その子がどこで穏やかな表情になるのか、どこでいつもゆっくりするのか、子どもをよく見ているとだんだん分かってきます。

 

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最後はめいいっぱい遊びました。大人も遊んでみないと、その場所の魅力は語れません。また、何が危険で、どう対処すべきなのかも分かりません。なにより、子どもがなんで楽しいのか、遊びたい時になにを欲しがっているのかに気づくようになります。

 

「アレをやろうとしているな?じゃあハサミと輪ゴムが欲しいかもしれないな?」と、子どもの「やりたい!」を察知する想像力は、自分の遊びこんだ経験から生まれるはずです。

今回は整地をしたばかりで積み上がった木の枝と草を遊ぶ材料にしました。

 

 【ワーク5 「遊ぶ」を探求する遊具づくり】

木の枝を麻ヒモで結びながらドームの形を作っていきます。アーステントと呼ばれるものですが、作り方は特に決まっていません。ひたすらに結ぶのみです。これがかなり盛り上がりました。ひたすら大きいものをつくるか、デザイン重視でいくか…2チームに分かれて作り始めると、みなさん夢中になっていました。

 

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1チームは風の谷のナウシカのような、オウムのようなアーステント。

もう1チームはピンクの花を中心にしたアーチ状のアーステント。

 

終了時刻をギリギリまで延長して「終了ですよ~」と言っても、「はーい」と答えるものの手はとまりません。その様子は遊びに夢中になった子どもそのもの。それはそれで、ギリギリまで遊ぶ子どもの気持ちが思い出せたのではないかと思います。最後は大人に戻り、次来たら壊れているかもしれない作品を惜しみながら解散しました。

 

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材料は木の枝とヒモだけなのに想像力があふれて試したくなる気持ち、「やりたい!」が原動力の子どもの視点。でもやっぱり危険な場所は確認し対処しておこう、という大人としての視点。

 

今回は遊び場で必要な二つの視点を往復して、参加者はかなり揺さぶられたと思います。でも遊びきって満足した参加者みなさんの表情を見ると、今後どちらの視点も大切にした素敵な遊び場ができて、山田町の子どもが遊ぶ光景が目に浮かぶようでした。

次回は7月30日に研修をする予定です!

 

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