「おとなってつまらない世界じゃないらしい」
底上げ Drinks@気仙沼 vol.8
主催:NPO法人底上げ
日時:2016年5月3日18:00~21:00
場所:co-ba KESENNUMA
「いま高校生に話すなら何を伝えたい?」と打ち合わせで問われ、直前まで考えて答えたのがこのタイトルでした。「NPO法人底上げ」主催による、気仙沼の高校生と大人が軽食を囲みながら交流できる場「底上げDrinks」。第8回目となる5月3日は遠藤がゲストスピーカーとしてお話しする機会をいただきました。
プレーワーカーとして働き始めた1年前、私が抱いていた最初の問題意識は「中高生の進路選択」にありました。大人と子どもの狭間の時期を通り過ぎた今だから出てくる言葉があるかもしれないと、自分を振り返りながら話しました。
自己紹介を終えて最初に伝えたのは、予想以上に自由気ままな現在の生活です。仕事も友人も生活も充実した毎日。聴いている高校生は、羨ましく思ったかもしれません。
そこで私の高校3年生の日記をひとつ紹介しました。
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4月13日(月)
今日は友人が“花見に行かないか”とメールを送ってきました。
思い出とテストは現実的に考えてどちらを優先すべきでしょうか。
迷って返信できず、そのメールは結果的に無視してしまいました。
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7年前は、なにが大切かも分からず、これといって目標が無いため目の前のテストに怯える平凡な高校生でした。
そして返ってきた先生のコメントが「人生はそういうことの繰り返しです」
先生と生徒が毎日やりとりする日記のほんの一部、何気ない先生の言葉を受けて考えました。
自分の選択に違和感を感じても自分を殺して生きていく、それの繰り返しが人生なのだろうか…?
本当に学校と家の往復だけの高校時代を過ごし、「大人はつらいよ」という似たような大人の言葉に囲まれて過ごしているうち、未来に期待する事ができなくなりました。
しかし、転機は大学入学。初めて親元を離れ生活することになり、自分の気持ち中心の生活が始まりました。
制服がなくなって着る服がない!料理ができないのに毎食用意しなければならない!なにが着たい?なにが食べたい?1日なにして過ごす?
自分の心の声を聴くのは始めは大変でしたが、人生で最も自由で生きてる感触のある日々でした。
そして多くの大人に出会いました。親でも、先生でもない大人。尊敬できる人にも、あきれるような人にも会いました。様々なモデルを知り、ようやくなりたい大人像が形作られていきました。
そして社会人3年目を迎える今、確かに言えることを高校生達に伝えました。
「本当に嫌なものからは逃げれば大丈夫」
大学卒業後、就職した仕事が合わずに心身ともに傷ついて11か月で退職し、住む場所と仕事を変えました。嫌なものから逃げてたどり着くのは生きやすい場所です。私が辿り着いたのは、冒頭に記したように充実した日々でした。
ただ、私は今も自分の声が聞きづらく、いつも迷いを抱えていることも伝えました。
スピーチの後は、食事をしながら高校生や子どもに関わる大人と話しました。
高校生の一人は「迷ってることがありましたが、自分の気持ちに正直になれば答えは出ていました」と笑って言ってくれました。
たくさんの選択を制限時間付きで迫られる10代。今回のスピーチが少しでも誰かの役に立っていればと願うばかりです。
プレーワーカーズ 遠藤みゆ