アソビのタネ

子どもがいるならどこでも「もっと楽しく」「もっとのびのびと」「もっと安心して」いられる現場づくりでの実践を記していきます。

遊びのレンズって、なーに?

プレーワーカーズのかずきです。

 

1歳8ヶ月の娘を病院に連れていきました。

小児科専門のクリニックなので、待ち合い室にキッズスペースが広く取ってあります。

そこには絵本とマンガ、おもちゃが2つほど置いてあります。

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【このおもちゃが2つありました】

 

そのスペースには、始めウチの娘が1人だけでしたが、4歳前くらいの男の子とウチの子よりちょっと月齢が下くらいの男の子兄弟、そしてお母さんが来ました。

 

お母さんも大変です。

下の子だって目を離せないのに、上の子は言うこと聞いてくれない!!

上の子はパタパタ歩き、ドラえもんのマンガを5冊ほど持ってきます。

「1冊にしなさい」「病院なんだから静かに」

そして、ウチの娘が遊ぶおもちゃにも興味が出てきて触ろうとしました。

 

お母さん「すいません…」

僕「僕は全然気にしないので、大丈夫ですよ」

 

と、答えながら昨日のワークショップで話題となった言葉の数々を思い出しました。

 

「子どもがケンカしてるのお嫌いですか?」

 

「子どものケンカの問題は大人の関係性」

 

「おもちゃを貸してあげなさい」を大人で例えると「彼氏貸してあげなさい」と同じ

 

「この子ならではの遊びのツボ」

 

「この子ならではの遊びのキュー(入り方)」

 

「生活のレンズ」と「遊びのレンズ」

 

え?

遊びのレンズって、なーに?!

 

講師に嶋村仁志さん(通称:めだか)をお迎えして、ワークショップ を行いました。

 

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単に「子ども」を見ると言っても、色んな角度(レンズ)があります。

 

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例えば、土の上で寝そべっている子

 

教育のレンズで見ると

「頑張って上まで1人で登れたら達成感はすごいだろう!」

医療のレンズで見ると

「土を舐めたりしたら衛生的に大丈夫だろうか?」

生活のレンズで見ると

「あー泥付いて…。家に帰ってから洗うの大変だ」

遊びのレンズで見ると

「登らずじっとしているけど、ヒンヤリ気持ちいいのかな?」

 

など、見方によってずいぶん印象が変わります。

プレーワーカーは、遊びのレンズで子どもを見ることを職業としていますが、実は親も遊びのレンズを持つだけで、ずいぶんと気持ちが軽くなると思うのです。

 

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午前中は、それを実感するワークを行い、ランチ会では、お昼ごはんを食べながら、質問タイムや子育て相談などになりました。

 

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 詳しい内容は、来た人だけの特権ということにしましょう。

 

そんな昨日を過ごした後の、小児科での出来事。

「教育のレンズ」で見たら、大人しく良い子にしていて欲しいし、「生活のレンズ」で見たら、周りの目も気になる。

その気持ちはよく分かる。

僕は気にしないけど、みんながどうかは分からない。

でも、小児科専門で、キッズスペースも作っている病院だからこそ、子どもが遊んでもいい(多少、大目に見てもらえる)場所です。って打ち出してくれたら良いなと個人的には感じました。

 

それもプレイワークが担えることのひとつかもしれないですね。

 

 文責:廣川和紀


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未来の保育士に向けて ~盛岡大学 講義~

 盛岡大学で2年生約150名を対象に、当団体の神林(事務局長)と遠藤(プレイワーカー)が講義を行いました。今日参加したほとんどは、保育士など子どもに関わる仕事を目指している学生でした。

 

依頼してくださった大学の先生は、子どもの自由な遊びや冒険遊び場に関心がある方でした。学生や保育士自身が子ども時代十分に遊んできていない場合、子どもと関わる時に大切にすべき“遊び”が分からなくなる状況を、先生は危惧していました。

 

イベントやプログラムが子どもの遊びだというイメージになりがちですが、やりたくない子を無理に参加させる遊びは、その子にとっては遊びにはならないはずです。子どもが「やりたい!」と思ってやっていることはすべて遊びになりえます。それは、一人で土をいじる遊びだったり、大声をあげる遊びだったり、大人にとって不思議で難解な場合もあるので、きっと子どもと接する時に迷うこともあると思います。

 

学生からとった事前アンケートでも「子どもとの遊び方を教えてほしい」という要望が多くありました。私たちは子どもと遊ぶメニューをではなく、“遊び”の根幹に関わることを伝えました。

 

今回の講義では、遊び場で関わった子どものエピソードを通して「子どもにとって遊びとはどんな意味があるのか」「遊び場を運営する地域の大人やプレイワーカー(子どもの遊びに関わる専門の大人)がどんな役割を持っているのか」を神林が伝えました。また、子どもの遊び場に関わって2年目ということで、遠藤は「遊び場に関わろうと思ったきっかけ」をお話ししました。

 

 

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講義中、スライドには自作の釘ナイフをつくる小学生や、焚き火をする3歳児、大きな秘密基地をつくる子どもたちが映しだされ、写真が変わるたびに学生から驚きの声が上がりました。神林はそれぞれの子どもとのエピソードを説明した後、「子どもとの遊び方を教えてほしい」という要望に対して、「子どもがやりたいことをできるように、一緒に考えている」と答えました。 釘ナイフをつくるプログラムを組んだわけでも、3歳児に焚き火の仕方、子どもたちに秘密基地の作り方を教えたわけでもありません。ただ、子どもから出た「やりたい!」の声にできる限り寄り添って、遊び場で過ごしてきたことを伝えました。

 

そして遊び場では子どもの抱える悩みや生きづらさと直面することも伝えました。東日本大震災直後の遊び場では、子どもが心に負った傷を遊びであらわし、自ら整理していく姿が見られました。

 

当時、泥遊びでダムづくりをしている男の子が、ある時ボソリと「おれの家は流されたんだ、こんなふうに」と言ってドロ水に草を浮かべました。その時プレイワーカーとして遊び場にいた神林は、ドキッとしながら見守りました。子どもたちはひとしきり遊んでダムの水を流しました。その時、その男の子は木の枝を地面に挿して「家を建ててるんだ~」と言ったそうです。子どもは遊びの中で起きた事象を整理し、それを乗り越えようとしていました。子どもの遊びには心を癒す力があります。

 

だからこそ神林は

「遊びは単なるレクリエーションやイベントではありません。“食う・寝る・遊ぶ”と言うように、生きるために必要なものです。みなさんは、その子の一生に関わる子ども時代を共に過ごす、重要な仕事をするんですよ。」

と未来の保育士・子どもと関わる大人へメッセージを伝えました。

 

 

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遠藤からは年齢的にも学生に近いため、子どもと関わるようになった2年前のエピソードを伝えました。

初めてプレイワーカーの居る遊び場に関わったのは、大学卒業後に勤めた仕事を辞めて悩んでいた時期でした。当時知り合ったばかりのプレイワーカーから、「子どもが使う遊び場の倉庫を作るのを手伝って欲しい」と声をかけられたのが始まりです。どうやら、仕事を辞めて悩んでいるのを知って誘ってくれたようでした。それは居場所がなかった当時の遠藤には衝撃的なことでした。

親・先生・後輩とは違う、上でも下でもないナナメの関係の良さを実感した時でした。自分と近しい人には相談しにくく、遠い人には言ってもしょうがない相談。そんな話ができるナナメの関係を持てずに、一人で思う悩む人が多い今、プレイワーカーと出会えたことは幸運だったと思います。遊び場では、子どもはナナメの関係である地域の大人に接し、さまざまな生き方の大人に出会うことができます。それは生きていくなかで大きな支えになる時があります。

 

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↑倉庫制作中(当時の写真)

遠藤が当時もうひとつ衝撃を受けたことがあります。その遊び場のプレーワーカーの子どもへのまなざしでした。カードを投げていた男の子がいたのですが、ただ散らかしているようにしか見えませんでした。しかしその時プレーワーカーは、「なんだかイライラしていたみたいだ。なにかあったのかな?」と呟いたのです。

その行動を責めるのではなく、行動の背景にある気持ちを想像する。その時初めて遠藤はプレーワークの奥深さに触れたと思います。その魅力から仕事とすることを決めました。

 

遠藤の話は、これから進路を決める学生たちにとって何かヒントになれば幸いです。

★ この遠藤のエピソードは、当団体HP「ボランティア・インターン募集」に詳しく掲載されています。

playworkers.org

 

講義の後は、キャンパスの玄関前でプレーカーの展示を行いました。講議を受けた学生だけでなく、通りかかって興味を持って立ち寄る学生もいました。

「かわいい!」

「こんな自由な遊び場、子どもの時に欲しかったです。」

「私も講義を聞きたかった」

そんな声が聞かれました。

 

 

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講義を聞いていた学生は、ばかばかしい子どもの遊びの写真に笑ったり、遊びの効果を真剣に聞いてメモをとったり、時に泣きそうになったり。それぞれでメッセージを受け取ってくれた様子でした。本当に泣いていた学生もいたそうです。自分の子どもの時の記憶に何か引っかかったのか、今生きている子どもにもつらい状況があることに衝撃をうけたのか、原因は分かりません。

 

今日出会った学生が将来子どもと関わる時、今日の講義が活かされていくことを期待します。

 

文責:遠藤みゆ

 

 

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チャイルドファシリテーターとして

子どもの遊び場では、子ども同士、大人同士、親と子ども、地域の人と子ども…様々な人の間に立って、私たちプレーワーカーはつなぎ役をします。会議で仲立ちをして進行する人をファシリテーターと言いますが、まさにその仕事を会議だけでなく、あらゆる場面で行っています。ファシリテーションとプレイワーク(遊び場で用いる技術)は共通する部分が多いのです。

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先日、宮城県のまちづくりをしている団体と行政との会議に、当団体事務局長の神林が同席しました。議題はその地区の子どもの環境に関わるものでした。プレーワーカーズはこれまで、まちづくりをしているその団体とも、行政とも、子どもに関して多くの活動をそれぞれ重ねてきました。そのため、会議では仲立ちのような立ち位置でした。

 
また、プレーワーカーは会議において、チャイルドファシリテーターとして参加することもできます。子どもが参加する会議で大人と子どもの間で仲立ちしたり、子どもの想いを反映した意見を大人の会議で発言するなど、子どもの参画を促すのがチャイルドファシリテーターの役割です。

 

今回の会議では、神林は行政ともまちづくりの団体とも関係ができていたうえ、子どものことを相談しやすいので、アドバイザーとしての役割も期待されて会議に呼ばれました。子どもに関わる施設の議題でしたので、子どもにとってより良い環境にするために、まちづくりの団体と行政が良い話し合いができるように発言しました。

 

これから建つ子どもの施設を良いものにしたいのは、行政もまちづくりの団体も同じ気持ちです。民間団体は行政に様々なことを求めたくなりますが、曖昧な内容だと行政はできる事かできない事かを判断するのが難しく、難色を示すことになります。

 

神林が第三者の立場で会議の流れを見ていくと、まちづくりの団体と行政の話が距離感があり、曖昧さによって噛み合っていないことに気づきました。施設を良くしたいけれど、行政はなにをすればいいのか分かりにくいようでした。そこで、施設の議論を進めるために「建設現場は見学できますか?」と神林が問いかけました。行政の職員は具体的な内容であるので「それはできます!」と答え、まちづくりの団体も「それができると嬉しい」と議論は進展しました。

 

市民活動には市民活動の言葉があり、行政には行政の言葉があり、個々人にも、それぞれ言葉があります。同じ単語でも背景が違えば意味も違ってきます。言葉を交わす当事者に見えにくいズレが第三者には見えやすいこともあります。神林は質問をして分りにくいところを明確にしたり、「こういうことですか?」と確認したり、子どもの視点を踏まえて、チャイルドファシリテ―ターとして会議に参加しました。

 

私たちは子どもの環境に関わる会議のファシリテーターやアドバイザーも務めます。
地元の人間ではないからこそ、地域の会議をより良く進める一助になるかもしれません。

ご相談がありましたら、

ぜひこちらへ↓

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遠藤みゆ

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気仙沼市長と座談会「気仙沼の『子育て論』」

2017年1月1日発行の「広報けせんぬま」に、新春座談会「気仙沼の『子育て論』」の様子が掲載されました!これは市長とおよそ2時間もじっくり「子ども」について話せるという、またとない機会でした。

 

宮城県気仙沼市の子育て世代包括支援センター「すこやか」で行われた座談会には、当団体事務局長の神林、子育て中のママさん、託児付き美容室を経営されている方など、気仙沼市の子どもに関わるメンバーが集まり、菅原市長と共に座談会を行いました。 子ども支援に尽力する団体がたくさんある中で、4人という限られた参加者に神林が選ばれたことは、震災後の5年間気仙沼市に移住して活動してきた成果だったと言えます。

 

気仙沼市は、人口減少などの課題に直面し、「子育てにやさしいまち」を目指して動きだしています。「子育て」というテーマは気仙沼市で昨年最も盛り上がったテーマのひとつだったため、今回の座談会のテーマになりました。子どもの環境を変えられるチャンスでもあります。

 

新年を迎え1年のスタートを切る今、子どもの環境が変わるようにと動き出した気仙沼市の一助となり、行政に反映されることを期待して、今の子どもの現状を伝えました。

 

 

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( この記事の一番下に「広報けせんぬま」の実際の記事があります。)

 

子育て中の悩みや、働いている間の託児、病児保育や医療体制など、子どもを育てる大人側の意見はみなさんが発言してくださっていたので、神林は子ども側の意見を発言しました。

 

 

【子ども時代の遊びが人口流出をくいとめる!?】

菅原市長の共感を得られたのは「子ども時代の原風景」というキーワードでした。

 

座談会のなかで神林はこう発言しました。

気仙沼市は子どもに対しての政策を、民間と行政が話しやすい関係性をつくったうえで議論する必要があると思います。

私は活動の中で大人に『みなさんの故郷の思い出を教えてください』とヒアリングすることがあります。すると、多くの方が子ども時代の遊びのエピソードを話してくださいます。とても楽しかったことや、初めてできた印象強いこと、大人には秘密の少し危ないことなど、子ども時代の記憶は強く残るようです。ですので、故郷の原風景とは子ども時代の遊びにあると考えています。

 

子ども時代に遊んだ記憶がなければ、”ふるさと意識”も持てず、人口流出はくい止められません。今は全国どこでもやれる遊びが原風景になっています。例えば、ゲーム・カードゲームなどです。 

 

子どもを対象にヒアリングを行ったことがあります。子どもたちが”好きなもの”は、『うるさい大人がいない』『自由なところが欲しい』、”嫌いなもの”は『指導される場所』『ずるい大人』などの声が聞かれました。

 

大人は道や公園(子どもが遊べる場所)を壊します。しかし外で遊びなさいというもの大人です。ゲームをつくるのは大人で、ゲームを禁止するのも大人です。本当は子どもも外でボール遊びをしたり、自由に走りまわりたいのですが、遊べる場所が近くになかったり、遊べるところが車でしか行けなかったりします。子どもからすれば矛盾だらけです。

 

気仙沼市は子どもに対して“こういう環境を目指します”という目標を立てる必要があります。気仙沼独自の宣言または条例が作られれば、なにかクレームがあった時に盾になり、子どもの環境を守ることができます。」

 

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菅原市長はこの発言をうなずきながら聞かれていました。気仙沼市は人口減少・高齢化・若者の流出が大きな課題になっています。進学で高校卒と同時に気仙沼を離れるのは約6割と言われ、就職する人の半数は市外に出るため、2割しか地元に残りません。30歳までには多くの人が戻ってきますが、市外からの転入を含めても、5割ほどまでしかその年齢の人口は回復しないと言われています。

 

人口流出の原因の一つに「子ども時代の遊びの原風景」があると神林はお伝えしました。菅原市長は共感してくださった様子で、子どもの遊び環境を改善したい私たちにとって意味あることでした。

 

そして、菅原市長が仰っていた子ども時代のエピソードはとても印象的でした。

 「小学校の通学路の側に神社があり、その横の森では木からツタが垂れ下がっていました。よくそこに行って、木から木に飛び移るように、ターザンのマネをして遊びました。」

「登るのが難しい石段があり、どれくらい早く登れるかを競ったりしました。何度も登ったので、その段数を覚えています。」

「よく遊んだ神明崎は、日常的に遊んだので楽しいところも危ないところも、すべて知り尽くしています。内湾の神社のまわりはすごく楽しくて、小学校では遊び尽くせないんですよ。」

 

これらのエピソードを聞いて神林は

「かつて菅原市長が遊んだ思い出は、そこに大人はいなくて、子どもが自らやりたい事を自分のタイミングで試行錯誤しながら、いろんな挑戦をしているんですよね。木のつたや石段で遊んだ思い出のなかには、子どもながらに“これは自分で行けるのか”“ここはこうすれば遊べるのかなぁ”と実はかなり高度な実験を繰り返しながら遊んでいるんですよね。」

と話し、参加者もうなずきながら聞いていました。

 

そして「今の子どもは昔のようには遊んでおらず、気仙沼の良さをほかの人に話せるコンテンツを持たないまま大人になっている。それは学校で教えられて身につけるものとも違う」という話がでました。

 

それに対し神林が、

「だからこそ、子どもの遊びも“ハレの日”(お祭りのような日)だけではなく、“ケの日”(普段の日常)の中での遊びが必要です。大人が組んだプログラムではその楽しさは出しにくいです。子どもが自分のタイミングで遊び、挑戦したり実験したりできる時間が必要です。

 

昔は大人がそんな事をやらなくとも子どもは十分に遊べていました。大人よりも子どもが多く、大人も忙しかったため、子どもを常に管理してはいませんでした。子どもは近所の空き地や道路、山や田畑など遊ぶ場所も遊びも選ぶことができました。

 

しかし現在、子どもが少なくなっていることで、大人が子どもを監視・管理・指導する状況が増え、遊ぶ場所があっても禁止看板だらけで制限が多かったり、遊ぶ場所が遠かったり、車でしか行けなかったり、子どもだけでは遊べない環境になっています。日常の遊びをつくると言うのは変な話ですが、大人がその時間をつくらなければ、子どもが遊んで育つことが難しくなっています。」

 と発言すると、菅原市長は「そうかもしれないですね」とうなずきました。

 

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【行政に求めること】

子どもの環境は、現在警鐘がならされています。例えば、神林が発言した次のような状況があります。

 

「これは最近同じ活動をしている仲間から聞いたことですが、いま子どもの筋肉の連動運動が注目されているそうです。例えば、水道の水を出す時に蛇口をひねって、ちょうどいい水量を調節します。つかむ、ひねる、力を調節する。水を出す行動ひとつにもいくつかの筋肉が連動しています。かつては日常の中で連動運動をする場面が多くありました。ところが、自動で流れる水道や自動で開くドアが当たり前になった現在、水道・ドアに限らず、生活の中で連動運動をする機会が減ってきているのです。

 

最近の子どもの体の動きを調べた時があります。市長が仰ったようなターザン遊び、今の子どもの様子をみると、つたやロープに自力で掴まれず、ずるずる落ちてくる子どもが多いです。手で自分の体重を支えられなければ、当然市長が登られたような高い石垣は登れません。また、震災の工事の影響もありますが、車での送り迎えが多く、歩く時間が減っています。そして外を歩いてもあぜ道ではなく、ほとんど舗装されており、でこぼこした道を歩くことも少ないです。そのため骨密度が下がり、骨折しやすいという話を聞きます。

 

この課題に対応するならば、子どもが小さい時、早ければ早い方がいいです。しかし、子どもの遊び育つ環境に関わる活動は、財源を確保することが難しいことが現状です。親・大人達の声は拾う人がいたり、簡単ではありませんが自らの足で行政に届けることができます。一方、子どもの声は拾わなければ伝わらないのですが、拾う人が少なく、子ども自身も発言することは難しいのです。

 

私たちプレーワーカーは子どもの代弁者とも言われます。子どもは状況を大人に伝える言語を持たないため、社会に訴えるのが難しいです。骨折など身体の傷は見えやすいですが、心の傷はみえにくく、子どものSOSは見えにくいものです。そのため大人が注意深く聴く必要があります。しかし、そういった声を聴いたり、伝えるための財源はつきにくい状況です。 

 

もう一つの悩みは、市職員の異動のことです。現在気仙沼市では少子化問題や人口減少の問題を抱えています。それらの問題解決のために、結婚・住居・仕事・育児・子どもの遊びを含むライフサイクルを切れ目なく支援するため、行政と民間が協働して「プロジェクト1.9」という総合的な子育て支援施策に取り組んでいます。

 

民間と行政が連携して動いている中で異動があると、新しい職員との関係づくりから始めなければいけません。NPOとして活動している人は出会う機会が多いので関係はつくりやすいですが、ママサークルなど子育て中のお母さんたちにとっては特に大変です。異動を無くすことは難しいかもしれませんが、引き継ぎなど顔合わせしやすい体制をつくって弾力的に対応してほしいと思います。

 

いま子育て支援は大きく動いています。今後はママサークルやイベントなど、お母さんたちの“やりたい”を支援し、もっと動きやすくなるようにサポートしたいと思います。」

 

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子育て支援と子ども支援は違う】

今回の座談会で伝えた大きなポイントは、「子育て支援と子ども支援は違う」ということでした。

 

プレーワーカーズは昨年も子ども支援を目的として、気仙沼市の子ども家庭課とまちづくり団体、ママサークルの支援をしてきました。それぞれのつなぎ役をしたり、話し合いをセッティングしたりして、子育て支援は議論される機会が多くなってきました。お母さんたちのニーズに合わせた事業が検討されつつあります。一方、子ども支援は議論される機会がとても少ないです。

 

その原因は、「子ども支援と子育て支援は違う」と認識されていない可能性にあるかもしれません。例えば、ファミリーサポートや子育て支援拠点などは、お母さんお父さんの悩みに答えたり、親が働くために子どもを預けたりする制度です。託児施設に遊具を豊富に用意したとしても、支援されるのは大人です。子どもが「帰りたい」と言っても迎えが来なければ帰れません。自由に遊びたくとも、預かっている大人はケガされたり、ものを壊されては困るので、子どもの遊びを制限します。そこに子どもの意思が反映されることは難しいです。

 

もちろん、子育て支援や託児施設は必要ですが、同じくらい直接的な子どもの支援も必要ということです。子どものニーズに合わせ、それこそ菅原市長が仰っていたような豊かな遊びができる環境が必要だと思います。子育て支援と子ども支援がバランスよく実現されると良いと思います。

 

子ども支援をするためには、子どもの声に耳を傾ける必要があります。そして聞いて終わらず、現実に反映しなければいけません。

 

私たちはそのために活動しています。

今回の座談会は子どもの声を気仙沼市に届けられる、貴重な機会でした。

 

菅原市長はこう締めくくりました。

「復興7年目に入って、地方創生はこれからです。新しい総合計画をみなさんとつくることに挑戦したい」

 

気仙沼市は行政と民間が共に活動する機会が増え、意見が反映されるチャンスが多くなっています。いかに子どもの声を届けられるか、私たちも挑戦の1年がまた始まります。

 

遠藤みゆ

 

 

「広報けせんぬま 平成29年1月1日号」の実際の記事はこちら↓

http://www.kesennuma.miyagi.jp/sec/s002/020/010/010/029/290101/20161228103311.html

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結婚パーティで子どもの遊び場!?

移動型の遊び場「プレーカー」は、ママサークルや地域のイベントような小さな遊び場から、数百人が来場する大きなイベントまで、いろんな所で子どもの居場所をつくっています。しかし、結婚パーティで遊び場を開くのは初めてでした。開催されたのは、宮城県気仙沼市です。

 

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結婚パーティを企画・主催したのは、結婚情報を発信する「ゼクシィ」と、若者まちづくりサークル「からくわ丸」でした。東日本大震災の復興ボランティアがきっかけで移住してきた新婦と地元出身の新朗は、出会えたことと充実して暮らしていることに感謝し、まちに恩返しするため、気仙沼の「大好きなもの」を詰め込んだ結婚パーティを考えました。

 

気仙沼ならではの海をテーマにした装飾、地元の料亭がつくる食事。新郎新婦は伝統の笛と太鼓の音に包まれて、船に乗って登場。ウェディングドレスは海のように青い地元ブランドのデニムドレス。こだわりの結婚パーティでした。

 

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私たちがなぜ結婚パーティに呼ばれたかというと、新婦が私たちの活動に興味があり、子どもの活動に関わりたいという気持ちがある方で、「気仙沼で活動しているプレーカーに、ぜひ子どもの遊び場を開いてほしい」と依頼してくださったからです。

 

遊び場を担当した私は依頼がきた時、

「結婚パーティで遊び場なんて出来るかな…?」

と思いました。普段活動している屋外の遊び場は、水遊び・どろんこ大歓迎の子どもがやりたいことを思う存分できる遊び場です。

 

結婚パーティでは子どももキレイな服を着ているだろうから、汚くなる遊びができないのでは…!?

いつも大人気なノコギリ・トンカチの工作も、音がバンバンうるさいとダメなのでは…!?なにして遊ぼう!!?

そして、私は何を着て行ったらいいんだろう!?

…ドレスで遊ぶ!?楽しそう!

 

などなど、いろんな考えが頭をよぎりました。静かで汚れずに子どもが自由に遊べる方法を考えてみましたが、なかなか思いつきませんでした。改めて子どもの遊びは“うるさい”、“きたない”は大きな要素なのだと感じました。しかし打ち合わせでそんな不安を相談したところ、「いつもどおりで大丈夫ですよ」と言われたため、その言葉を信じて遊び場を開きました。

 

会場はドレスコード「普段着」で、なごやかなホームパーティのような雰囲気でした。新婦がまちづくりサークルで関わっている子どもたちもたくさん来ていました。

 

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今回のイベントがよかったところは、普段子どもと関わらない地元住民も一緒に同じ時間を過ごせたことでした。子どもに混じって大人も工作台やホッケーで遊ぶ姿も見られました。「気仙沼でこんな活動があるんだね」と知ってもらえたことは良かったです。いつもは会議でご一緒する市民活動仲間も、遊び場の活動を実際に見たことはなかったという方も居り、活動を知ってもらう良い機会でした。

 

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この遊び場で一番面白かったのは、子どもたちのプレゼント大作戦でした。それぞれ遊んでいた子どもたちが、なにやらコソコソと話し始めています。

「何しているんだろう?」と聞き耳を立てると、「新朗新婦に何かプレゼントを作ろう」と相談していたようです。あれでもない、これでもないと、工作台を囲んで何かをつくっています。「そんなのはプレゼントにならない!」と言い争いになるほど真剣でした。

 

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そして完成の時が…

 

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大人に囲まれている新朗新婦をどう呼び出して、なんて言って渡すか、子どもたちは楽しそうに話し合って、ドキドキしながら会場の方に向かいました。私は遊び場に居たので、プレゼントした瞬間は見られなかったのですが、とても喜んでもらえたはずです。

 

ゼクシィのスタッフの方が「結婚式は子どもが退屈してしまうけれど、こんな遊び場があるパーティはいいですね」と仰っていたように、子どももお祝いの気持ちを表わせる今回のパーティの雰囲気はとても素敵だったと思います。

移動型遊び場「プレーカー」は小さな遊び場から大きなイベントまで、子どもの居場所をつくることができます。プレーカー・プレーワーカーを呼びたい方はお気軽にこちらへご連絡ください↓

info@playworkers.org


こちらから結婚パーティの詳しい様子が見られます。プレーワーカーズもコメントを寄せておりますので、ぜひ!
ムービーには子どもたちがプレゼントを渡した瞬間があって嬉しくなりました。

http://zexy.net/contents/wedding/regional/kesennuma/

 

遠藤みゆ

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石巻はプレイワークがアツイ!

2016年12月15日、石巻子どもセンターらいつを会場に、プレーワーカー向けの合同研修会を実施しました。主催は子どもセンターらいつ。講師兼コーディネーターは、当団体理事廣川和紀です。


 石巻には、子どもの遊びに関わる仕事に就いている人、すなわちプレーワーカーがたくさんいます。なんと、4団体、総勢18人が集まりました。 

 

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 内訳は

石巻市子どもセンターらいつ

石巻市が運営する児童館です。石巻市は、宮城県内で唯一「子どもの権利に関する条例」を定めていて、この“らいつ”ができてからは、子どもによる子どものための活動も活発になっています。

 

NPO法人にじいろクレヨン

震災をきっかけに立ち上がった子ども支援団体です。避難所、仮設住宅での遊び場、居場所づくりの活動から始まり、今では復興公営住宅での活動や民間の児童館、子育て広場など多くの事業展開をしています。

 

NPO法人こども∞感ぱにー

遊び場づくり、子育て・不登校支援を行う団体です。鹿妻、渡波地区を拠点に地域に根ざした活動を続け.石巻のモデル的な役割を果たすまでになっています。

 

一般社団法人プレーワーカーズ

 遊び場づくり支援、プレーワーク研修を行う団体です。主に岩手、宮城、福島の広域で活動していますが、石巻にも震災直後から関わってきました。

 

石巻には他にも子どものための活動はたくさんありますが、今回は子どもの遊びを職業としている人をメインに集めました。また代表者や経営者ではなく若手職員を中心にしました。

  

【なぜ若手職員を対象にしたのか。】

それはもう単純明快。

上司に言えないことってあるじゃないですか。

 

 100人以上の大きな会社なら同期もたくさんいて、仕事終わりの1杯でグチの1つや2つ3つや4つ…出ますよね。

 

でもこの業界まだまだ発展途上なので同期と呼べる人や気持ちが分かる人が団体内に少ない。じゃあ、横でつながろうよ。そういうことです。

 

もちろん、はけ口大会を開催したわけではありません。

 

もう少し丁寧に書くと

・自団体のことを自分で表現できるようにする

・プレイワークを学ぶ

・行政、社会に提言できるようなネットワークの第一歩

かな。

 

本題に入りましょう。

 

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午後から現場に向かわなければいけない人もいたため、朝早くから集合し、スタートしました。ということで、まずは、ホールに移動し、アイスブレイク

 

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 体が温まったところで、部屋に戻り、グループワークを始めます。

 

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今回の研修は、ほとんどがグループでのディスカッションです。

 

話し合いの場では、全員が主役になって欲しいので、いくつかルールを設けました。

 

・話すときは「トーキングオブジェクト」を持つ

・話し手以外は聴く

・否定しない

・自信を持つ

 

簡単なことですが、参加者が意識するかどうかでずいぶん違います。

 

そして、内容としては、

①「自分のこと」を話す

②「自団体のこと」を話す

③「子どもの遊びを触発する」を話し合う

 でした。

 

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今回のメインテーマは、③の「子どもの遊びを触発する」です。

 プレイワーク研究会のテキストを使い、ディスカッションをしました。

 

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遊びを触発?

遊びのダイナミズム?

してもいいラインってなんだ?

プレーワーカーにもキャラクターがある

子どもの遊びには陰と陽、静と動がある

 

などなど、疑問や色んな意見が飛び交いました。

 

テキストが正解というわけではなく、こうして自分自身を振り返ったり、お互いが考えていることを深く知ったりできたことがよかったのだと思います。

 

実際、「プレーワーカーズの人が何であんな動きをしていたのかやっと理解できた。」という感想も出てきました。

 

これからも定期的に集まりたい!

自主的にでも勉強会したい!

 

参加者からそんな声が聞こえてくるほど、有意義な時間になったように思います。

 

石巻はプレイワークがアツイ!!

 

こんな報告をこれからもしていきたいです。

 

廣川和紀 

 

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一般社団法人プレーワーカーズ 

 

〇プレーカー・プレーワーカーを呼びたい方、

講演・研修・遊び場づくりなど、その他ご相談はこちらへご連絡ください

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トカイナカのハンタイ

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気になって検索すると「トカイナカ」という概念にたどり着いた。

 でも、今回はその反対からスタートすることになった。

 

◯トカイナカとは

トカイナカとは、都会と田舎の中間のことをいう造語である。どこの地域のことを指すのか、はたまたどんな時に使うのかは、人によって違うが、東京都の多摩地区や埼玉県など都会の便利さも享受しつつ田舎の豊かさも満喫できるような場所のことを言うらしい。

そして、意識的な部分から見れば、都会に住んでいた人が田舎に憧れてプチ移住するという概念なのだろう。

 

石巻市蛇田地区

そもそも東京近郊と比べたら、石巻は田舎だ。海があり、山もあり、田んぼも広がっている。自然豊かな環境で暮らしたいと思ったら、候補の一つに挙げてもいいくらいステキなところである。

 

今回の舞台である石巻市蛇田地区も20年もさかのぼれば田んぼの広がる田舎だったという話はよく聞く。しかし、1996年にイトーヨーカドーができ、2007年にイオンモールができた。さらに追い打ちをかけたのが2011年の東日本大震災である。被災地最大の集団移転団地ができたのもこの蛇田地区だ。急激にまちが様変わりしたことは想像に難くない。トカイナカとは反対に田舎に住んでた人が急に都会で暮らしはじめたという感覚だろう。

 

 さて、子どもの環境に目を向けてみる。蛇田小学校の児童数は750人を超えた。これも石巻最大だ。

 

◯スキマがない

依頼は、ひとりのお母さんの声だった。

「蛇田小学校の体育館工事が始まって、校庭の半分が使えない。放課後も遊ぶ場がなくて、小学生が全く外に出ない。」

そして、こんなマップも見せてくれた。

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衝撃だったのは、「大通りを越えてはいけない」そして、「みんなそれを守っている」さらには、「違反が見つかったら学校へ通報される」というにわかには信じられない話だった。

 

イマの世の中の常識がそこにあるのなら僕の認識不足でしかないが、子ども監視社会としか言えない状況はイマココにある。

 

さて、どこで遊ぼうか。

 

◯ 散歩

2016年12月11日(日)

依頼者である蛇田小学校6年生の母親と子どもたちと共に学区内で遊べそうな場所、プレーパークができそうな場所を探すことにした。

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1、住宅街の中の自然公園

ごくごく狭い敷地と観察池。池の方には柵があって行けない。曰く生き物は何も来ない。どうして大人が作るものはチグハグなんだろう?

 

2、学区外の土手

大きな川の土手が遊びやすいスポットだった。しかし、今は工事中で入ることすらできない。

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3、川の主が居るところ

NPO法人ひたかみ水の里が手づくりした小川があり、小さなプレーパークのような場所だった。カヌー体験もでき、薪ストーブもある。川のこと、地域のことを知り尽くしたおじさんがいるのも魅力でいつでも遊びに来れそう。

学区のはじっこだから高学年が自転車で来れるかどうか。

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4、お寺の住職さん

民生委員も務める住職さんがいるお寺。講堂は子育て団体にも貸し出ししているらしく、話が早い。七輪を持ってきて仲間づくりをするのに最適かもしれない。

 

5、神社と林

神社がある小さな公園。すべり台とブランコがあり、遊び場活動をするのには良さそう。ただ、大通りや主要道路から裏に入ったところで、知る人ぞ知るといった場所だ。すぐ横には小さな林もあり、これもまた工夫次第で遊べそう。

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灯台元暗し

色々歩いてまわった結果、最後の神社の場所が良さそうだ僕らは感じた。

依頼者のお母さんからすると、学区の外れでもあり、車に乗っていると気付かないような場所だったので、「こんな場所?」と候補から外していたところだった。

しかし、子どもたちはそんな場所で、遊びはじめ、軽く1時間は遊び込んだ。帰りの時間が差し迫っていたため、終了となったが、いつまでも遊んでいられるのだろう。

 

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子どもの遊び心は、「場」から感じるものを受け取って刺激される。プレーワーカーにもそれが見えているから、子どもの気持ちを通訳することができる。大人目線では見えていないことを伝えるのもプレーワーカーの役割だろう。

 

 そして、帰ることにしたのだが、わき道を抜けるとよく知る光景があった。NPO法人にじいろクレヨンと共に活動をしている復興公営住宅の公園(新しくできた公園)のすぐ近くだった。

 

「この場所なら、公営住宅に住む子どもたちも来やすいね。」

 

まさに灯台元暗しだ。

きたなシュラン(見た目は汚いけれど、料理は美味しいレストラン)のような穴場を発見することができた。

 

この日のアテンドは、塩田大介と廣川和紀。

余裕があれば、一緒にまわった小学校6年生3人との会話や遊び、学校や社会、大人への一言などを紹介したい。

 

廣川和紀(かずき)

 

 

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