アソビのタネ

子どもがいるならどこでも「もっと楽しく」「もっとのびのびと」「もっと安心して」いられる現場づくりでの実践を記していきます。

DAY8・危機的状況における遊びと子どもの心のケア~新型コロナによって行き場を失った子どもたちの日常を支えてきました~

こんにちは、プレーワーカーズ事務局の廣川和紀です。

 

ETV特集 選 「7人の小さき探求者~変わりゆく世界の真ん中で~」 というNHKのドキュメンタリー映像を見ました。

 https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/Y8G67491KX/

 

全国に先駆け、対話を通じてこどもが考える力を育む授業「p4c(ピーフォーシー)=こども哲学」を行ってきた、宮城県気仙沼市の小学校の6年生が主人公になっているのですが、

感染症対策のため、突然、休校が決まった瞬間も映し出されています。

子どもの意見を全く聞かないまま、突然決定し、急に「学校」がなくなったことや、休校中の思いなど、7人の6年生がそれぞれ言葉にしていく様子が印象的でした。

 

(休校になることについて、どうですか?)

「子どもも意見を言いたいです!大人と子どもの差別があります」

「イラつきと悲しみです」

 

(休校になってしばらく経つけど、どんなことを考えていますか?)

 

「暇だから、頭が考える気がなくなったのかも」

「学校をずっと待ってる」

「家の中が落ち着かない状況です」

「変わりがない。明日もこれなのか」

「希望もない。何も感じなくなっている」

「怖さもないし、うれしみもない」

 

 この番組を視聴していて、私は、

「意欲」がなくなってしまっていることが、とても辛いと感じました。

 

自分で考えて、自分で決めて、自分がやってみたいことを自由にやるのが”遊び”だと思っているので、

考えたい、やってみたい、~~したい!、こうなりたい!

そういった、「意欲」の低下は、何よりも危惧するところだと感じています。

 

以前から、いや、もう数十年も前から、遊びの「空間・時間・仲間」が減少していることが言われていますが、

そこに「方法」(遊び方の伝承など)の貧困化も相まって、遊び環境の悪循環が起こり、

遊び意欲の喪失が生まれます。

(参考:こどもを育む環境蝕む環境 仙田満 朝日新聞出版)

 

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ここで、ひとつ問いを立てるとしたら、何になるでしょう。

 

 

「なぜ、私たちは生きていたいのか」

 

p4c(ピーフォーシー)=こども哲学にならって考えてみれば、

このくらい、究極の問いに立ち戻る必要があると感じました。

 

生きることに意味なんて必要ありませんが、楽しさも希望もなければ、

そして、対話・会話する仲間や遊ぶ友達にも会えなければ、

何のために生きていかなければいけないのかすら分からなくなります。

 

それを取り戻すのは、「今」の充実しかありません。

 

学校に行って、友だちと話すこと、遊ぶこと

親も含め、誰かにやさしくしてもらうこと、やさしくすること

 

そうやって、自分の存在価値を確認できるから、

生きていてもいいんだ

と思えるようになるのではないでしょうか?

 

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IPA 危機的状況における遊び 子どものくらしに関わる人のためのガイド≫

文:テレサ・キャシー デザイン:ヴォテペドロ

日本語版発行:IPA日本支部 翻訳:嶋村仁志 堀田奈都希 レイアウト:矢野真利那

 

前回の記事では、リスク・ベネフィットのことについて書きましたが、

当然、地域や時期など状況によって、対応は異なるでしょう。

都市部では、実質的な感染リスクが高く、外出ができない状況でしたが、地方では、「世間の目」を気にして、外に出ることができないという状況もありました。

 

外に出れず、誰とも会うことを許されず、普段の生活を送れなくなってしまったことにより、心理的ストレスが大きくなっているとしたら、それは、生きる原動力に直結する由々しき事態になります。

 

子どもの居場所〇〇に来る子どもたちは、限定的ではありますが、地域の中で数人のグループで過ごすことができたので、まだ良かったかもしれませんが、

6月に入り、学校が始まると、疲れた様子を見せていると聞きます。

自由に遊んでいるようでも、やはりそれまでの日常とは程遠く、心理的負担が積み重なってきたことがよくわかります。

 

宮城県では、学校が再開し、休校期間中の”遅れ”を取り戻す生活に変わっています。

 

誰か、子どもたちに、「ガマン生活お疲れ様」と言ってあげているのでしょうか?

 

子どもの意見を聞かず、休みたかったわけでもないのに、急に行き場を失い、友だちと会うことすら制限されてきた(いる)のに、

「長ーい春休み、たくさん遊んだでしょ!」

で済まされてしまうのでしょうか?

 

上に、QRコードが入った画像を添付していますが、

IPA(international play association)では、危機的な状況の中、遊びは、子どもが平常心や楽しむ心を取り戻すのを助ける重要な治癒的役割があると明記しています。

ストレスを処理し、自分たちなりに状況に対処するためのひとつの方法として「遊び」が重要ということです。

 

その中には、子どもたちが小さかった時に楽しんでいた遊び方に戻ることや、病気・喪失・さらには死を連想させる遊びをする子どもが出てくるかもしれません。

それは、ストレス、退屈さ、混乱といった気持ちを子どもなりに整理し、表出させていると考えられます。

 

思えば、私たち大人も、直接対面で人と会えない分、オンライン飲み会などで、友人と話し、「このコロナ禍をどう考えるか」について、対話してきました。

小学生でも高学年くらいになれば、「会話」や「対話」によっても、この世界に起こっていることを整理すると思いますが、「遊び」もその方法のひとつになります。

 

事実、〇〇に来ている子も、ゴールデンウィーク明けに

「密です!密です!」と叫びながら、遊んでいました。

子どもたちはテレビから毎日流れる大量の情報をどのように受け取っているのでしょうか?

この言動を子どものストレスと安易に直結させて良いかどうかは分かりません。

幼児が「うんち、おしっこ!」と連発するのが、大人から「おしっこは?うんち出ない?」としょっちゅう聞かれて、身近に感じているからだとすると、

「密です!」も、大人の言動を反映した情報処理のひとつでしかないのかもしれません。

東日本大震災直後の「津波遊び」のように、大人が煙たがる不謹慎なものとして、不快なものとして、うつるのかどうか、もはや慣れすぎている私の感覚ではよく分かりませんが、

この子どもたちが見せる言動を止めずに、自由に遊ぶための「環境」を残しておくことは、ストレス昇華の観点から見てもとても重要です。

 

5歳になった娘も、家でのお人形遊びの時に、

「コロナなので、マスクつけてください」

と言って、お人形の口に、スライムをくっつけて遊んでいました。

まさに、コロナ遊びですね。

 

 

プレイワーカー仲間の堀田奈都希さんが、これらのことについて、イラスト付きで分かりやすくまとめてくれているので、ご紹介します。

 

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家で、我慢を強いられている真っ最中であっても遊びはとても重要ですが、

これからも新しい生活様式の名のもとに、人と人の距離が離れたままの、生活が続くこともまたストレスがかかるはずです。

 

授業の遅れを取り戻すために、夏休みが削られ、行事も中止になり、

少しの”ゆとり”もないまま、学校の「お勉強」だけが淡々と続くことも、子どもにとってストレスでしょう。

 

子どもが子どもらしく「遊ぶ」ということの価値や重要性がまだまだ一般化されていない中で、withコロナは、間違いなく、子どもたちの心を追い詰めていきます。

 

これからもまだ、外遊びによる子どもの緊急支援が必要かもしれません。

 

 次の記事は、私が思うこれからの感染症対策も含めた、子どもを取り巻く環境のあり方を書いてみたいと思います。

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